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“ガソリン車よりも長寿命”は間違い?いまさら知らないとは言えないディーゼルエンジンの長所

ディーゼル

はたらく車の多くがディーゼルエンジンを採用


ディーゼルエンジン ガソリンエンジン エンジンオイル

©Wellnhofer Designs/stock.adobe.com



トラックやトレーラー、バス、消防車など人々の生活にかかせないいわゆる“はたらく車”は、重いものを載せていても坂道などで停止しないよう、一般的な乗用車のエンジンよりも大きな、大排気量のエンジンを搭載しています。

“小型”と呼ばれるトラックであっても、乗用車であれば大排気量と言われる3,000ccクラスのエンジンを搭載し、“大型”トラックになると桁が増えて10,000ccやそれ以上のクラスのエンジンを搭載。

軽自動車が660cc、一般的な乗用車が1,500ccや2,000ccであることを考えると、はたらく車のエンジンはとても大きいことがわかるでしょう。

これらの“はたらく車”のエンジンは排気量が大きいということ以外にも、レギュラーやハイオクといったガソリンを燃料とするガソリンエンジンではなく、軽油を燃料とするディーゼルエンジンであるという違いがあります。

ディーゼルエンジンは乗用車でも、“クリーンディーゼル”としてディーゼルエンジンを搭載するものも販売されているため、存在そのものは一般に知られていますが、ではなぜディーゼルエンジンが大型車に多く採用されるエンジンなのか、その理由を明確に答えられる人は多くないようです。

大型車がディーゼルを採用する理由は?


トラック ディーゼルエンジン ガソリンエンジン エンジンオイル

ディーゼルエンジンの特徴として「ガソリンエンジンよりも寿命が長い」「ガソリンエンジンよりも頑丈」といったことがよく挙げられます。

自家用車として使われる乗用車と違い、“はたらく車”は長距離や長時間の利用が多く、運転中に壊れてしまえば大きな損失を生むことになってしまうため、“はたらく車”で多く採用されるディーゼルエンジンがそれに適した長寿命の頑丈なエンジンだと考える人が多いのでしょう。

しかし、実際にはガソリンエンジンとディーゼルエンジンでは、構造上の違いによる寿命の差はほとんどなく、むしろ自家用車のような使い方では、ディーゼルエンジンのほうが早くにダメージが蓄積する場合もあります。

では、ディーゼルエンジンのほうが寿命が短いのでしょうか?

繰り返しますが、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンでは寿命の差はほとんどありません。

“はたらく車”のほとんどがディーゼルエンジンを搭載するのには、別の理由があります。

前述のとおり、“はたらく車”は重いものを載せていても坂道などで停止しないよう、一般的な乗用車のエンジンよりも大きな、大排気量のエンジンを搭載しています。

詳細は省きますが、排気量が大きければ大きいほどエンジンのトルクが大きくなり、重いものを積んでいても坂道を難なく登ることが可能です。

ガソリンエンジンとディーゼルエンジンではエンジン内部の燃焼方式が異なり、1気筒あたりの大きさの限界に差があります。

ガソリンエンジンでは、おおむね1気筒あたり600cc程度が限界と言われており、4気筒で3,000ccクラスの乗用車というのはほとんどありません。

3,000ccクラスのガソリンエンジンは、多くの場合で6気筒エンジンを採用します。

ガソリンエンジンで排気量を上げる方法は、気筒数を増やすということになるのです。

増える気筒数の分だけ部品点数が増えるため、コストなどが上昇します。

いっぽう、ディーゼルエンジンは1気筒あたりの大きさに限界がなく、船舶用の超・大型なエンジンの中には1気筒あたり30,000ccを超すものも。

同じ排気量で比較するとガソリンエンジンよりも少ない気筒数で目標の排気量、トルクを実現できるため、それだけコストなどガソリンエンジンよりも抑えられます。

これが、“はたらく車”の多くがディーゼルエンジンを搭載している理由です。

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「エンジンかけっぱなし」がエンジンにとっては良い状態


ディーゼルエンジン ガソリンエンジン エンジンオイル

©ktktmik/stock.adobe.com



ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンよりもコストなど抑えながら大排気量を実現できることが、重いものを運ぶ“はたらく車”のほとんどが搭載する理由であると説明しました。

しかし、結果的に故障リスクを抑えられているのであれば、「ガソリンエンジンよりも寿命が長い」「ガソリンエンジンよりも頑丈」というのも間違いではないと言えます。

実際に、トラックなどの大型車の走行距離は一般的な自家用車よりもはるかに多く、それはエンジンが丈夫だからという理由があるように思えるでしょう。

しかし、実はエンジンの寿命にもっとも良い影響を与えるのは、ガソリンエンジンかディーゼルエンジンかというエンジンの構造の違いではなく、「エンジンをかけっぱなしにしている」ということです。

「週に1回の買い物」などの目的で使われる自家用車と違い、“はたらく車”、特に長距離トラックなどは、一度エンジンをかければしばらくエンジンを停止させずに長時間・長距離を走行し続けます。

実は、日常的な利用でもっともエンジンに負荷がかかる瞬間は始動時

動いていない部品が動くときにもっとも抵抗が大きく、負荷がかかるため、長時間エンジンを動かし続けて始動回数を少なくすることが、エンジンの寿命を伸ばすことにつながります。

これはディーゼルエンジンでなくとも、ガソリンエンジンでも同じことが言えます。

たとえば、ガソリンではなくLPGガスを燃料とするタクシーは、エンジン自体の構造はガソリンエンジンとそう変わりませんが、タクシーを利用した際にメーターを覗き込むと、その走行距離が30万や50万キロになっていることは珍しくありません。

タクシーもトラックなどと同様に、一度エンジンをかけたら長時間かけっぱなしになります。

稼働が終わったあとも数日で再び動き出しまた長時間かけっぱなしとなるため、走行距離に対して始動回数は少ないのです。

反対に、短距離で始動を繰り返すような利用をしていると、エンジンの寿命は短くなるおそれがあります。

このようなエンジンへの負荷が高い条件で利用することは「シビアコンディション」と呼ばれ、車の寿命を少しでも伸ばすためにはメンテナンスが非常に重要となってきます。

エンジンの寿命延ばすには適切なオイル管理を


ディーゼルエンジン ガソリンエンジン エンジンオイル

©Byrd Setta/stock.adobe.com



「エンジンかけっぱなし」がエンジンにとって良い状態であることと、日常的な利用でもっともエンジンに負荷がかかる瞬間は始動時であることには、共通して“エンジンオイル”の存在が重要となってきます。

エンジンオイルはエンジン内部の潤滑や冷却、洗浄、密閉、防錆などさまざまな役割を持ち、エンジンが本来の性能を長期間発揮するために、その管理は重要なものとなります。

その重要性は「人間でいえば血液」と例えられることがあるほど、なくてはならない存在です。

エンジンが動作中はエンジン内を循環して各部の保護などを行いますが、エンジンが停止するとエンジンオイルも循環を停止。

しばらくは各部に付着したオイルが残っているものの、時間とともにどんどんエンジン下部にあるオイルパンへ落ちていきますので、最終的にはオイルがついていない、金属むき出しの状態となります。

その状態でエンジンを始動させることはドライスタートやコールドスタートと呼ばれ、金属同士が直接擦れ合い、摩耗を促進します。

ひんぱんに利用されない自家用車ではこのコールドスタートが常態化していることも多いのですが、前述のとおり“はたらく車”の場合は「エンジンかけっぱなし」である時間、つまりエンジンオイルが十分に行き渡った状態にある時間が長く、それが自家用車よりも長持ちしている理由なのです。

しかし、これはあくまでも適切にエンジンオイルを管理していることが前提となります。

メーカーが指定する時期を大幅に超えてもまだ交換していない場合や、オイルが減っている状態などではエンジンオイルの本来の性能が発揮されず、エンジンにダメージが及ぶ場合があります。

ディーゼルエンジンであってもガソリンエンジンであってもこれは変わりません。

以上のことから、ガソリンエンジンであっても、「頑丈」と言われるディーゼルエンジンであっても、構造の違いによる寿命には差がなく、寿命を伸ばすためにはエンジンオイルが本来の性能を発揮できるよう適切に管理することが重要であると言えるでしょう。

ライター:MOBY編集部 高山 志郎
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