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【体験談】ハイエースのバンコンをドレスアップするときのタイヤ&ホイールの選び方

カッコよく安全に!ハイエースのタイヤとホイールを交換してみた
トヨタのハイエースやハイエースベースのバンコンでの車中泊をしている人やしたい人、多いのではないでしょうか。
キャンピングカーや車中泊仕様車のタイヤホイールといえば、安全性や走行安定性、燃費、乗り心地を左右する、足回りの要ですよね。
さらに、ドレスアップを狙ってインチアップしたりすることも、車好きとしては重要視したいところ。
私はハイエースワゴンGLベースのバンコンに乗っていて、実際にタイヤのインチアップとホイールの交換をしています。
その経験から今回は、タイヤ&ホイールを選ぶポイントを紹介したいと思います。
タイヤのインチアップって何?メリット、デメリットは

インチアップとは、純正装着しているタイヤと外径を変えずに、ホイールを大きくしてタイヤの高さを低くすることです。
ハイエースの場合、純正は15インチのLTタイヤ。
15インチから16インチ以上にホイールを大きくすることをインチアップと呼びます。
私が考えるインチアップのメリット・デメリットをまとめると↑の表のようになります。
私たちは、ちょうどタイヤの交換時期が来ていたので、ハイエースワゴンGLのバンコンを15インチから17インチにインチアップしました。
ドレスアップが主な目的です。
実際にインチアップして300kmほど走った印象では、それほど乗り心地の悪さを感じませんでした。
ワゴンGLが貨物車ではなく乗用車構造であること、以前キャブコンに乗っていた時の乗り心地を知っていたので、乗り心地の悪さを感じなかったのではないかと思います。
ロードノイズも同様でした。
燃費に関しては1回しか給油できていないのではっきりしたことは言えませんが、今のところ大きな変化はありません。
個人的な印象は、乗り心地、ロードノイズについては(元々のハイエースワゴンGL)>(インチアップしたハイエースワゴンGL)>(以前乗っていた足回りを強化したキャブコン)でした。
次のページ▷▷▷【タイヤ&ホイール選びの注意点!間違えると違反や事故にもつながるかも・・・】
ハイエースのタイヤ&ホイール選びの注意点
ハイエースのタイヤをインチアップする際のいちばんの注意点は、元の耐荷重を変えずに保安基準を適合させられるかだと考えます。
タイヤ&ホイール選びはお店選びから

キャンピングカー取扱店やハイエース専門店に行くと豊富な種類のタイヤやホイールの現物を見て検討しながら購入できるのでおススメ。
店舗では実物を見られるだけでなく、店舗のスタッフさんに直接相談できるのもいいところ。
専門店のスタッフさんなら安全面を考慮した商品を提案してくれるでしょう。
ハイエースやキャラバンなどのバンコンはタイヤを締めるナットの数が6つです。
6穴ホイールというのが珍しいので現物を見るのがなかなか大変。
私たちの場合、最初にカー用品店に行ってみたのですが、6穴ホイールを展示しているお店がありませんでした。
店内にはタイヤホイールが豊富に展示されているのですが、5穴・4穴のホイールばかり。
スタッフさんに尋ねたところ、6穴は取り寄せになるとのことでした。
実物を見てハイエースのタイヤホイールを選ぶなら、まずはハイエースやキャラバンのカスタム専門店やカムロードなどのトラックベースの場合、キャンピングカー取扱店へ行ってみるのが近道です。
タイヤ選びの基準

タイヤを選ぶときは、純正タイヤのスペックを把握することが大切。
ハイエースワゴンGLの純正タイヤは195/80 R15 107/105N LTでした。
この表示は、タイヤ幅195mm、扁平率80%、ラジアルタイヤ(R)でリム径が15インチ、荷重指数(LI)がシングル時107でWタイヤ時105、最高速度140km(N)の小型トラック用タイヤ(LT)を示しています。
基本的にはこのスペックと同等かそれ以上のタイヤを選びます。
例えば、LTタイヤなので、交換時もLT(Light Truck)タイヤかCタイヤ(Commercial Vehicle)を選ぶ、という感じです。
インチアップする際は、このスペックを同等かそれ以上にするため、更に注意が必要です。
①タイヤの外径を変えない
タイヤの外径を大きく変えてしまうと、タイヤが車体に接触してしまう危険性があります。
また、タイヤの円周が変わると、スピードメーターに誤差が出て、車検が通らないことも考えられます。
スタッフの方に聞いて外径を変えずにインチアップできるタイヤの種類を選定してもらうといいですね。
結果的にインチアップできる範囲が決められてくると思います。
私たちの場合、16~18インチのタイヤを提案されましたので、17インチにしました。
②荷重指数Load Index(LI)を下げない
荷重指数とは、1本のタイヤで支えることができる最大負荷能力を示す指数です。
タイヤの規格と空気圧によって耐荷重量が変わります。
車検証にある、前軸重・後軸重をタイヤ2本で支えることになりますので、それぞれの重さを下回らないようにします。
そのためには、純正タイヤのLIを下回らないことが必須です。
私たちの場合、純正タイヤのLIは107でしたので、LIが109のタイヤを選択しました。
③車体からはみ出さない、干渉させない
法律で、タイヤの横幅は車体に合わせることが義務付けられています。
タイヤがフェンダーよりも外側へはみ出たり、車体やブレーキに接触したりすることは法律違反となり、車検も通りません。
車体への干渉、またフェンダーからのはみ出しのないようにセッティングをします。
私たちの場合、タイヤ幅を広くしたい希望があったのですが、車体からはみ出ない、干渉しない最大幅として215mmを専門店のスタッフさんから提案していただきました。
④空気圧を変更して適切に管理する
ハイエースワゴンGL純正の場合、空気圧は前輪300kPa、後輪325kPaです。
このままの空気圧でインチアップしたタイヤを使ってしまうと、タイヤの負荷能力が落ちてしまいます。
インチアップしたタイヤに合わせた適正空気圧に変更して管理します。
適正空気圧の算出方法は、2ステップです。
1)純正タイヤのLI、最大負荷能力を調べる。
LIが107の場合、最大負荷能力は前輪800kg、後輪840kg(LTタイヤの規格)。
2)空気圧-負荷能力対応表でインチアップ後の空気圧を導き出す。
私たちのハイエースでは17インチ、LIが109のCタイヤを選択しました。
Cタイヤ規格の空気圧-負荷能力対応表を確認し、前輪800kg、後輪840kg以上になるポイントを導き出します。
対応表では、前輪で807kg、後輪で847kgの最大負荷能力を持つ空気圧が該当しました。
結果、空気圧は前輪350kPa、後輪370kPaまで上げる必要があります。
LTタイヤは乗用車用JATMA規格とは違うのでご注意ください。
空気圧-負荷能力対応表が見つからない、算出が大変というときは、スタッフもしくはタイヤメーカーに聞いてみましょう。
ホイール選びの基準

ホイールを選ぶときは、素材・構造・サイズ等を検討する必要があります。
ホイールの素材はアルミ、スチール(鉄チン)、カーボン、マグネシウムがあります。
キャンピングカーの場合は車量が重いので、スチール(鉄チン)かアルミになるでしょう。
ホイール交換する場合は、国土交通省で定められている強度を満たした製品を選ぶ必要があります。
JWL・JWL-T、VIAのマークがついたホイールを選びましょう。

ホイールの構造は3種類あります。
キャンピングカーの場合は車量が重いので、耐久性とデザイン性のバランスが特に重要です。
私たちの場合、当初は2ピースを希望していましたが、強度の点から1ピースを提案していただきました。
サイズはリム径・リム幅・PCD(Pitch Circle Diameter、穴の間隔のこと)・穴数・インセット(リム幅の中心線からの距離)を考慮します。
PCDと穴数は純正に合わせます。
ハイエースワゴンGLの場合、PCDは139.7 mm、穴数は6つです。
リム径・リム幅はインチアップしたタイヤに合わせます。
インセットは仕上がりのデザイン面と車体やブレーキに干渉しない安全面の両面を実現させるセッティングが必要。
ここはプロにお任せするのがよいでしょう。
ドレスアップした後のメンテナンスは?

道路運送車両法では、キャンピングカーに限らず自動車は全て、ユーザーが管理責任を負うことが明記されており、日常点検と定期点検が義務付けられています。
車検は必ず受けるものという認識があると思いますが、日常点検はおろそかにしがち。
日常点検はコツさえ押さえれば、誰でもできる簡単な項目ばかりです。
キャンピングカーの痛ましい事故は、原因の1つに空気圧不足が指摘されています。
ぜひ日常点検で空気圧管理を行いましょう。
タイヤ点検のポイントは?
ポイントは3つあります。
① 空気圧

適正空気圧は運転席ドアの近くもしくは、センターピラーに貼付されているシールに表示されています。
インチアップした場合は、交換したタイヤの適正空気圧を必ず維持しましょう。
タイヤの空気圧はガソリンスタンドで簡単にチェックできます。
また、自宅や出先ですぐ確認したい場合は、空気圧チェッカーやタイヤ空気圧モニタリングシステム(TPMS)の導入を検討してもいいと思います。
私たちはTPMSを導入しています。
常に空気圧を知ることができるし、減圧した際は警告音で知らせてくれるので安心です。
もし、空気圧が足りない場合は、ガソリンスタンドで空気を入れるか、自動車エアポンプ(自動車タイヤ空気入れコンプレッサー)で入れて対応します。
② タイヤの亀裂や損傷、また異状な摩耗
キャンピングカーは荷物や家具が常に載っている状態なので、タイヤが消耗しやすいです。使用前に点検しましょう。
まず、タイヤの全周を亀裂や損傷がないかを目視します。
次に、釘、石、その他の異物が刺さったり、かみ込んだりしていないかを確認しましょう。
最後に、タイヤの接地面の片側だけや一部だけが異状に摩耗していないかをチェック。
もし、異変があればタイヤ交換が必要です。
③タイヤの溝の深さ

タイヤの溝の深さも確認しましょう。
スリップ・サインが出たら交換の合図です。

放置すると、バーストやスリップの原因になります。
もし、スリップ・サインが出ていなくても、使用期間や走行距離で交換を検討します。
キャンピングカーのタイヤ交換の目安は3年といわれています。
目安にしてください。
便利!日常点検チェックリストを活用しよう
バンコン型のキャンピングカーの場合、タイヤ点検の他にどんな点検項目があるのか?
チェックリストがあると便利ですよね。
一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会から「My Car Hand Book」が公開されています。
自家用貨物自動車(ライトバン、トラックなど)用のチェックリストが掲載されているので、ぜひチェックしてみてください。
点検方法も図解入りで詳しく解説してあります。
ベース車両にあわせて日常点検を確実に行っていきましょう。