車のエアコンが効かない原因とは?車のエアコンの仕組みや対処法も紹介
エアコンの冷房・暖房や、A/Cボタンについての正しい使い方を解説。
燃費への影響、エアコンの修理費用、悪臭の原因・メンテナンス方法なども。
燃費をよくしてガソリン代を節約するためには、なるべく冷房・暖房を使わないようにしたほうがいい?という疑問にお答えします。
目次
車のエアコンの仕組み
かつて、車のエアコンは装備設定がなかったり、オプションアイテムとなっていたりしていました。
家庭向けのエアコンや冷蔵庫と同じく、空気を瞬時で冷やす仕組みを取り入れることで、車内空間を快適にできるのが特徴。
車に欠かせない標準装備となっています。
しかし、単純な説明で空気を瞬時に冷やすというだけでは、どのようにエアコンが働いているのかわかりにくいかもしれません。
この項目では、車のエアコンの仕組みを5つの段階にわけて解説します。
コンプレッサーでエアコンガスを圧縮し「半液体」に変える
まず、車のエアコンを使い始めると働き始めるのが「エアコンガス」と「コンプレッサー」です。
車内をチェックしてみると、インパネに備わっているスイッチ類に「A/C」と呼ばれるボタンがあります。
このボタンでコンプレッサーを始動・停止させる仕組みです。
スイッチを入れるとコンプレッサーが働き、配管を循環するエアコンガスを圧縮します。
圧縮されたエアコンガスは80℃程度の高温をもつ“半液体”へ変化。半液体は次の部位に移動して冷却や不純物が取り除かれます。
コンデンサーで冷却し完全な液体とする
エアコンガスはコンプレッサーの圧縮で高温の半液体へ変化したのち、「コンデンサー」で冷却されます。
コンデンサーは、細い管が曲がりくねってできている配管パーツとなっており、外部から空気を取り込むのが特徴。
コンプレッサーで高温となった半液体を冷やして、60℃程度にまで温度を下げます。
これで、コンプレッサーで圧縮される前は気体となっていたエアコンガスは液体へ完全に変化するのです。
レシーバーで液体を一旦蓄えて不純物を取り除く
コンデンサーで冷却された液体は「レシーバー」へ移動し、一旦蓄えられます。
レシーバーでは、液体となったエアコンガスを蓄えるほかにも、余った水分や不純物を取り除く役割を担っており、配管を循環させるに欠かせないパーツです。
エキスパンションバルブで液体を膨張させ霧状化→エバポレーターへ
液体状態のエアコンガスは、レシーバーから「エキスパンションバルブ」へ移動し、膨張して霧に変化します。
液体から気体に切り替わったことで温度が10℃程度まで下がります。
これにより、外気で温まった車内を、エアコンの空気で冷やす条件が整いました。
エバポレーターでブロアファンの空気を冷却する
エキスパンションバルブで膨張され、霧=気体となったエアコンガスは「エバポレーター」へ移動します。
エバポレーターは、別名で「熱交換器」とも呼ばれています。
「ブロアファン」と呼ばれるパーツによって車内・車外から送り込まれた空気を使い、含まれている熱を奪って冷却し、車内へ冷たい空気を送り込むのが主な役割です。
湿度を取り除く役割を担うなど優秀なパーツで、ここまでの5つの段階を経て、車内に冷たい空気を送る終着点となります。
そして、エアコンガスは再びコンプレッサーへ戻り圧縮される工程からの循環を繰り返して、エアコンの仕組みを成り立たせているのです。
車のエアコンが効かない原因とは
車のエアコンは上記で解説したように、エアコンガスが周回するような配管レイアウトで、各部分に備わったパーツを通じて温度の上下がありながらも車内へ空気を送り込みます。
しかし、車のエアコンを使っていて、以下のようなトラブルに見舞われた経験はないでしょうか。
- 冷房が効かない
- 暖房が効かない
- 風が出てこない
- エアコンが作動しない
車のエアコンには冷房以外にも暖房、内気循環および外気吸入の機能が備わっています。
細かい温度が指定できる“オートエアコン”を装備している車種も増えましたが、設定したとおりの冷風や温風が出なくなると故障を疑わなければなりません。
車のエアコンで考えられるトラブルは以下の7つとなります。
- エアコンガスに不具合がある
- コンプレッサーが壊れている
- エバポレーターが壊れている
- サーモスタットが壊れている
- 冷却水が漏れているor不足している
- ブロアファンが壊れている
- リレーorヒューズが壊れている
エアコンガスに不具合がある
初歩的なエアコンのトラブルとなるのが、エアコンガスの不具合です。
エアコンガスは圧縮や膨張を繰り返して、車内へ送り込む空気を冷やせますが、稀にガスが通る配管が割れてしまうケースがあります。
割れた配管からガスが漏れ出し、十分な量が確保できないとエアコンのON/OFF関係なく使えなくなるでしょう。
コンプレッサーが壊れている
エアコンの吹き出し口から出てくる空気が冷たくならないトラブルで考えられるのは、コンプレッサーの故障です。
エアコンガスは、車内へ送る空気を冷やす役割が終わると、高温の気体となって再び配管に戻ります。
エアコンガスに再び空気を冷やす役割をさせるため、コンプレッサーで高温の気体から少し温度を下げた半液体の状態へ圧縮させます。
コンプレッサーが故障していると、圧縮機能が使えないため、エアコンガスを気体から液体へ変化させられずに空気を冷やす役割ができなくなります。
エバポレーターが壊れている
エバポレーターが故障しているのも、エアコンが効かなくなる要因となります。
エバポレーターの故障は、エアコンを長時間使う頻度が多いと発生しやすいようです。
エアコンガスをコンプレッサーで圧縮させ、エキスパンションバルブにより霧化させると高温から温度を下げられますが、水滴がエバポレーターに付着して凍り付く現象があるようです。
別途装備されているセンサーが凍り付かないよう制御しているものの、故障するとエバポレーターが凍り、エアコンが作動しなくなるとのこと。
また、エバポレーターにホコリや細かいゴミが溜まり、目詰まりを起こすと正常にエアコンが働かない原因ともなるようです。
サーモスタットが壊れている
サーモスタットの故障も、エアコンが効かなくなるトラブルの1つに挙げられます。
サーモスタットの役割は、エンジンルーム内に備わった冷却水を調節すること。
エアコンは冷たい空気だけでなく暖かい空気も出せることで暖房の役割も担えますが、機能させるにはエンジンの熱で温めた冷却水を利用します。
サーモスタットで冷却水の循環を調節し、素早く暖かい空気を作り出す仕組みです。
サーモスタットが故障すると冷却水の循環が調節できなくなるため、暖房が温まらなくなります。
冷却水が漏れているor不足している
サーモスタットの故障以前に、冷却水に異常があるとエアコンが効かなくなる原因となるようです。
冷却水はエアコンの暖房を快適に使えるようにする以外にも、エンジンの発熱を抑えてトラブルなく車を走らせるのに貢献します。
しかし、冷却水がタンクから漏れていたり、規定量より少なかったりすれば、暖かい空気がエアコンの吹き出し口から出なくなり暖房が使えません。
付随して、冷却水のトラブルはエンジン自体にも影響を及ぼすため、一刻も早く対応しなければなりません。
ブロアファンが壊れている
ブロアファンの故障も、エアコンのトラブルで考えられる要因です。
ブロアファンには冷やした空気をエアコンの吹き出し口から排出し、風を送り込む役割が求められています。
ブロアファンを働かせるモーターが壊れてしまうと異音が生じたり、空気が出なくなったりするケースがあるようです。
リレーorヒューズが壊れている
細かい箇所ですが、「リレー」「ヒューズ」と呼ばれるパーツの故障もエアコンが効かなくなる要因となります。
リレーは「継電器」とも呼ばれており、エアコンをはじめ、車に搭載されている電気系統パーツの制御を担っています。
リレーが故障すると制御が効かなくなり、エアコンのコンプレッサーが作動しなくなる原因にもつながるため注意しなければなりません。
ヒューズもリレー同様、車に欠かせないパーツです。
コード配線を保護し、電気系機器を正常に動かす役割を担っています。
ヒューズが壊れてしまうとコード配線に電流が流れなくなり、エアコンをはじめ車の電気系機器が機能しなくなるトラブルが生じるようです。
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