【体験記】物価高のスイスをキャンピングカー旅して発見!無料車中泊スポットと節約術

ヨーロッパアルプスのど真ん中に位置し、絶景の宝庫として知られるスイス。
誰もが一度は訪れてみたいと憧れる旅先ではないでしょうか?
キャンピングカーでヨーロッパを旅している私たち夫婦にとっても、スイスはずっと気になっていた国のひとつでした。
でも正直、物価の高さや、車中泊に対するルールの厳しさを考えると、「行ってみたいけどハードル高そう…」と、なかなか踏み出せず。
それでも「やっぱり自分の目で見てみたい!」という気持ちが強くなり、この夏、ついに10日間のスイス・キャンピングカー旅を決行しました。
今回は、スイスでのリアルな車中泊事情や物価の現実、旅中に気をつけたいこと、そして私たちが実践したちょっとした節約術などをシェアしたいと思います。
スイスでのキャンピングカー旅を検討している方は、ぜひ今回の内容を参考にして、理想の旅を実現してください。
憧れのスイスで10日間のキャンピングカー旅をしてみた!

私たち夫婦は、キャンピングカーでヨーロッパを旅しながら暮らしており、気づけばもう2年半。
イタリアで中古購入したキャンピングカーとともに、南はポルトガルの海辺から、北はノルウェーの北極圏まで、これまで19カ国を走り抜けてきました。
中でもスイスは、私たちにとって訪れたい「憧れ」の国だったのです。
大の登山&キャンプ好きな私たちは、街よりも自然の中で過ごす時間に心惹かれるタイプ。
だからこそ、アルプスの山々が連なるスイスは、まさに理想の旅先だったのです。
とはいえ、物価の高さやキャンピングカーへの規制の厳しさから、なかなか踏み出せずにいました。
それでも、去年イタリアからドイツへ向かう途中で、たまたま2日間だけ通過したスイスの景色が、私たちの心を一瞬で奪いました。
目の前にそびえる圧倒的なアルプス、湖の信じられない透明度、絵本のように可愛い村、その一つひとつが心に刻まれ、「いつか絶対、ちゃんとスイスを旅しよう」と誓ったのです。
そして今年の夏。ついに、その夢が叶いました!
今回は、スイスをぐるりと10日間かけてキャンピングカーで巡る旅。
物価の高さや車中泊の制限をどう乗り越えたか、無料の車中泊スポットや節約の工夫など、リアルな体験をたっぷりお届けします。
実際に旅してみて感じたのは、「工夫次第で、スイスはキャンピングカー旅でも十分楽しめる国だった!」ということ。
自然のスケールは圧倒的で、走っているだけで窓の外の風景に何度も息を呑みました。
【スイスでの車中泊事情】「どこでも泊まれる」はNG?

スイスといえば、アルプスの雄大な山々や透き通る湖、豊かな森に囲まれた自然の楽園。
そんな絶景の中をキャンピングカーで自由に旅できたら最高!と思う方も多いのではないでしょうか。
でも実際は、スイスでは許可された場所以外での車中泊は禁止されており、自由な旅にはそれなりの準備と工夫が必要です。
ヨーロッパには、公共の駐車場や、自然の中でのワイルドキャンプ(野宿・野営)に寛容な国も多くありますが、スイスはその中でも特に「規制が厳しい国」として知られています。
日中の駐車は問題なくても、「夜22時以降は宿泊禁止」という場所が多く、違反すれば200CHF(約3万6千円)もの罰金が科されることも。

実際に私たちがスイスを旅した際も、「No Overnight Stay(夜間滞在禁止)」や「キャンピングカー駐車禁止」といった看板を至るところで見かけました。
場所によっては日中でも駐車できないケースもあり、「キャンピングカーってあまり歓迎されていない…?」と感じる場面も。
ですが、車中泊が一切できないわけではありません。
有料にはなりますが、安心して泊まれる施設もきちんと整備されています。
ただし、スイスは全体的に物価が高いため、料金はやや高め。
旅の予算やルートを事前にしっかり立てることが重要です。
有料でも安心して車中泊できる施設
スイスでは、お金を払えば車中泊できる場所はいくつか用意されていますが、スペインやフランスのように無料スポットが豊富な国とは事情が異なります。
そのため「えっ、どこにも泊まれない…!?」と焦らないためにも事前の情報収集と計画がとても大切です。
①オートキャンプ場
電源・水道・トイレ・シャワー・Wi-Fiなどが完備されている場所も多い。
ハイシーズンは予約必須の場所もあり、区画がやや狭いことも。
料金目安:1泊40〜60CHF(約7,000〜10,000円:人数、車種によって変動あり)
②RVパークやキャンピングカーOKの駐車場
比較的簡易的な施設で、水道などの設備がある場所もありますが、駐車場のみのところも多い。
料金:1泊20〜40CHF(約3,000〜7,000円)
③農場キャンプ / 個人宅の敷地
農場の一角や牧草地など、個人が所有する敷地を貸してくれるスタイル。
最低限の設備(または設備なし)の場所が多い。
料金:1泊20〜30CHF(約3,000円〜5,000円)
スイスで見つけた無料の車中泊スポット

私たちの旅のスタイルは、なるべくお金をかけずに楽しむこと。
できる限り無料で車中泊スポットを活用しながら旅をしていますが、物価の高いスイスではその「宿泊費」が最大の課題でした。
スイスでは無料で車中泊できる場所は限られており、とくに人気観光地の周辺では、ほぼ全滅といっても過言ではありません。
それでも私たちは諦めず、入念なリサーチとアプリの活用によって、10日間すべてを無料の車中泊スポットで過ごすことに成功しました!
大活躍した2つのアプリ

Park4night
車中泊スポットや無料の給水・排水ポイント、RVパークなどを検索できるマップアプリ。
利用者のリアルな口コミや写真付きで、無料・有料問わずさまざまな車中泊スポットを見つけ出すことができます。
Google Map
Park4nightで候補を見つけたら、Google Mapの航空写真・ストリートビュー・周辺の様子を確認し、実際にキャンピングカーが停まれそうかチェックしていました。
車中泊スポットを見つけるアプリの紹介記事はこちら
探し方のコツと現地での工夫

無料の車中泊スポットを見つけるには、「観光地から離れる」のが鉄則。
以下のような場所に注目して探しました。
・アルプスの麓や山の上、自然豊かな郊外エリア
・登山道の入り口や、地元住民しか来ないような静かな湖畔
・観光地でも住宅地でもない、ちょっと外れた自然の中
また、現地に到着したら必ず「車中泊禁止」の看板がないか最終確認。
アプリの情報が古いこともあるため、最終判断は現地で慎重に行います。
マナーと節度を忘れずに
無料スポットは「使わせてもらっている」という意識がとても大切。
・イスやテーブルを外に出さない
・ゴミは必ず持ち帰る
・夜は静かに過ごす
といった基本的なマナーを守り、周囲に迷惑をかけないことを徹底しました。
【道路事情・運転の注意点】有料ステッカーなしでも旅はできる?!

スイスでキャンピングカー旅をする際にぜひ知っておきたいのが「有料道路」と「ヴィニエット(Vignette)」の存在です。
高速道路を使うには、このヴィニエット(Vignette)と呼ばれる有料ステッカーの購入が義務付けられており、フロントガラスに貼って使用します。
料金は年間40CHF(約7,000円)です。
このステッカーは、ガソリンスタンドや郵便局、高速道路入口付近、オンラインなどで購入可能。
貼らずに走行すると、高額な罰金(約200CHF +ステッカー代)が課されるので、うっかり無断で走ってしまわないように要注意です。
ただし、このヴィニエットはあくまで「高速道路利用時のみ」必要なもので、一般道だけを走るのであれば購入不要。
今回は節約を兼ねて、ヴィニエットを購入せず、すべて一般道を走るルートでスイスを旅しました。
スイスで一般道だけを走るコツ
スイスの高速道路には、日本のような料金所やゲートがないため、気づかないうちに有料区間に入ってしまう、なんてこともあるので十分に注意する必要がありました。
また、場所によっては、高速道路を通らないとアクセスできない場合もあるので、訪問予定のスポットとルートを事前に調べておくことがとても大切です。
①Googleマップのナビ設定
Googleマップで目的地を設定したら、ナビ画面のオプションから「有料道路を使わない」と「高速道路を使わない」の両方にチェックを入れましょう。
②道路標識の色に注目!

緑色の標識 → 有料高速道路(ヴィニエット必須)
青色・白色の標識→ 無料の一般道路やローカル道路
緑色の標識のルートは避け、青または白の標識を選びましょう。
③時間はかかるけど、そのぶん旅が豊かになる
一般道を走ると、確かに多少の遠回りや時間のロスはありますが、その分、牧草地やアルプスの裾野に広がる田舎町など、まるで映画のような景色に出会える贅沢なルートになります。
「急がない旅」や「景色を楽しむ旅」をしたい人にとっては、ぴったりです。
運転時の注意点
スイスの一般道は山岳地帯を通るルートも多く、とくにキャンピングカーでの走行には注意が必要です。

・急カーブや細い道が多く、すれ違いに注意!譲り合いとスピード調整が大切
・標高差があるため、下り坂ではエンジンブレーキを活用。ブレーキのヒートアップに注意!
・動物に注意!牛や羊が道路に出てくることも
・冬や標高の高い地域では、急な天候変化や雪道のリスクあり(時期によっては道路閉鎖されていることも)
ルートの事前リサーチが必要だったりとちょっと面倒ではありますが、一般道をうまく活用すれば、節約しながらスイスの「素の風景」を味わえる贅沢な旅も実現できます。
驚きの物価事情と節約の工夫

スイス旅行でまず驚かされたのが「物価の高さ」です。
ある程度は覚悟していたものの、実際に現地を訪れてみると、想像を超えるレベルでした。
例えば──
・外食:ランチで1人20〜40CHF(約3,600〜7,000円)、ディナーは1万円越えが当たり前。
・ホテル:1泊200CHF(約36,000円)前後。
・ガソリン:1Lあたり約1.8CHF(約330円)。
・観光費:山岳リフトは1回90CHF〜(約16,000円)、駐車場もほとんど有料。
何をするにも「高い」がつきまとうスイス。
そんな中、私たちはなんと10日間で現地で使ったお金はたったの90CHF(約15,000円)でした。
節約の工夫①食費ゼロ
その秘密は、スイスに入る前に立ち寄ったイタリアでの買い出しと、徹底した自炊スタイル。
イタリアのディスカウントスーパー「Lidl」で、缶詰、パスタ、チーズ、パン、野菜など10日分の食材を買い込み、キャンピングカーの冷蔵庫と収納をフル活用。
旅のあいだ、外食は一切せず、毎日車内で自炊しました。
ヨーロッパのスーパー事情を紹介した記事はこちら
節約の工夫②燃料&ガスも「スイス入り前に満タン」
ガソリンやガスも、物価の安いイタリアで満タンにしておいたおかげで、スイス国内での給油は一度もなし。
高コストな燃料費も回避できました。
節約の工夫③観光は「自然の中」で無料で楽しむ
自然の中でのお金を使わないハイキングやトレッキングを楽しむスタイルだったので、かなりの節約が実現しました。
唯一お金を使ったのは、日中の駐車場代や山岳リフト代、そして少しのお土産のみ。
旅の満足度はそのままに、1日たったの約750円
こうして食費ゼロ、宿泊費ゼロという驚異の節約旅が実現できました。
日割りすると、1人1日あたり約750円という驚きのコストパフォーマンス。
物価が高いことで知られるスイスでこの金額は、自分たちでも信じられないほどです。
スイスのような高コスト国でも、ちょっとした工夫と情報収集があれば、予算を抑え無理なく楽しむことができるのだと実感しました。
規制はあるけど、工夫すれば快適に楽しめる!

スイスは物価が高く、ドイツやフランスのように自由気ままな車中泊がしにくい国ですが、工夫と事前の情報収集、そして少しの行動力があれば、想像以上に快適で、コストを抑えた旅が実現できます。
「スイスは高いから無理」とあきらめてしまう前に、今回のようなスタイルの旅もあることを、ぜひ選択肢のひとつとして知ってもらえたら嬉しいです。
自分たちのペースで自由に動けるキャンピングカー旅だからこそできる、“等身大のスイス体験”。
ぜひ、スイスの絶景と魅力を存分に楽しんでみてください。
次回の記事では、実際に訪れたスイスの絶景スポットをご紹介しますので、お楽しみに!