電気冷蔵庫を通して電気の使い方を考えてみた
電気の使い方をマネジメントする
冷蔵庫についての説明の話が長くなってしまったが、ここからが本題と言えば本題。
「冷凍庫としての機能が車載器として大変有益なことを今回の旅で実感」と先に書いたが、その理由を述べよう。
冷凍庫というのは、スカスカしているより凍ったものがみっちり詰まっている方が保冷効果が高く、電力の消費が抑えられることはご存知の方も多いことかと思う。
この性質に着眼し、私は今回この冷蔵・冷凍庫を冷凍庫として使うことを考えた。
どんな高性能なクーラボックスでもいきなり保冷剤や氷と一緒に冷えていない飲み物や食材を入れても十分な能力を発揮することはできない。
飲み物や食材は予め冷やしておき、庫内も出かける前にプレヒートならぬプレクールしておくことが効果的だ。
これは電気を使う冷蔵庫でも同様だ。
出かける前に交流100Vで十分冷やしておけば、ポータブル電源の電力消費をセーブでき、車から電源をとるなら、車のバッテリーの負担を減らすことになる。
実際の使い方は、まず家で冷蔵・冷凍庫を交流100Vに繋いで-20℃に設定し、庫内を最大限に冷やしておく。
十分温度が下がったら、設定温度を-10℃に変更する。
-10℃まで冷えていれば冷凍庫として十分で、電力も節約できるからだ。
ここで音について補足説明を加えておくと、最初のうちはコンプレッサーがフル稼働し、それなりにうるさい。
しかし、一旦庫内が冷えてしまうと冷却装置がそんなに一生懸命働かなくて良くなり、少なくとも私が気なるレベルではなくなる。
そして、冷凍ピザなど電子レンジ不要で熱量も少なく簡単に調理できる冷凍食品を少々と、凍らせた保冷剤や氷をみっちり詰め込み、車のシガーライターソケットに接続して出発する。
そして、十分に冷やした飲み物や食材は、凍らせた保冷剤を詰めた別の普通のクーラーボックスに入れて出かけるのだ。
出発してから8時間くらい経って宿泊地に到着したら、冷凍庫はポータブル電源に繋ぎ変える。
晩飯には例えば今回だったら庫内に入れてあった冷凍ピザを食べるのだが、これがまた最近非常に使用頻度の高くなっている電気のホットサンドメーカーと相性が良い。
25cmのピザだったら、半分に切ってそれを半分に折れば(1/4サイズにする)、電気のホットサンドメーカーに丁度良い感じでフィットするのだ。
こうすると見た目はピザと少々趣の異なるものになってしまうが、狭い車内でも食べやすく、間にハムなどの具材を挟むこともできて、逆になかなかに良かったりもする。
ぜひお試しあれ。
クーラーボックスの中のビールもまだキンキンに冷えたまま。至福のひと時だ。
寝る前にはクーラーボックスの中に入っていた溶けかかった保冷剤と、冷凍庫の中にあったカチンカチンに凍ったままの保冷剤を交換する。
これが今回の技の要だ。
ここで気になるのがポータブル電源のバッテリーのもちだ。
実際に全く問題なかったのだが、その後数値的に検証してみようと思い家で実験してみたところ、私の愛用する容量が720WhのEcoFlow River Proでこの冷蔵庫を使用(設定温度は-10℃)した場合の電力消費量は、1時間当たり2%程度だった。
12時間使っても24%、調理や扇風機などにも使っても、一晩の消費量は多くてせいぜい50%程度の計算になる。
2日目以降に旅先でとった方法は、夜の間は冷蔵・冷凍庫はポータブル電源に繋いでおき、朝出発する時点で冷蔵・冷凍庫の電源は切り、ポータブル電源をシガーライターソケットに繋いで2~3時間程度走行する。
この2~3時間という数字は、「River Proがシガーライターソケットからの給電で、0~100%まで充電されるのに要する時間が6.5時間」に基づいている。
概ね2~3時間程度走行すれば一晩で消費したRiver Proの電力を回復できるということだ。
また、その後の家での実験で、試しに保冷剤と氷を入れた冷蔵・冷凍庫の電源を切ってみたところ、2時間経過後が上の画像。
水滴一粒だけで氷はほぼ溶けていない。
4時間後(下の画像)も氷はほんの僅かに溶けている程度だった。
しっかり庫内が冷えていれば、2~3時間程度電源を切ってもほぼ問題ないことをこの実験で確認できた。
2~3時間の走行では充電が足りなかったとしても、天気さえ良ければ足りない分は屋根のソーラーパネルからの充電で補える。
因みに、充電中は使用できないポータブル電源もあるので、ソーラーパネルからの充電中でも電気を使えることはRiver Proの強みの一つでもある。
また、ソーラーパネルは日光に対するちょっとした向きや角度の違いで充電効率は大きく異なる。
日中移動しないのであれば、もっと効率の良いソーラーパネルを使って、車の屋根の上より効率の良い方法で充電することも可能だ。
もっと走行する場合は、River Proの充電が終わったら、シガーライターソケットには冷凍庫を接続する。
その後はクーラーボックスの中の保冷剤が溶けかかってきた頃合いを見計らって、冷凍庫の中の保冷剤と交換する。
この繰り返し。
実際にこんな使い方で、車のシガーライターソケットからの給電と最も良いときでせいぜい60W程度(平均したら良くても40~50W程度)しか発電しない車の屋根のソーラパネルとの併用で、電気が足りなくなってしまうことはなかった。
地のものを食べるのも旅の楽しみでもあるし、家にいたって毎食熱源の必要な食事をしているわけでもない。
毎食自炊したわけでもないが、電気のホットサンドメーカーと電気のクッキングケトルだけでガスなどの火を使用することもなく1週間乗り切れてしまい、と言うより決して侘しい食生活を送っていたわけでもなく、至って普通に過ごせてしまった。
そして、常に冷たい飲み物を飲むことができ、生野菜や卵などのナマモノも安心して運ぶことができるだけでなく、冷凍食品も利用できる。
おまけにお土産にナマモノを買うこともでき、1週間後に家に着いた時に冷凍庫の中の氷と保冷剤は凍ったままで、クーラーボックスの中に残っていた飲み物はキンキンに冷えたままだった。
こんな風に冷蔵・冷凍庫とクーラーボックスを併用し、電気の使い方をコントロールすれば、外部電源などに頼らなくても十分快適に1週間旅することが可能なことが実証できたわけだ。
今回は実証が先で家での実験が後になったが、予め使い方をシミュレーションしておくのも良いと思う。
ついでに付け加えておくと、そこそこ暑い夜、窓など開けていられない大雨の晩もあったが、この首振り機能付きの扇風機があれば寝苦しいことなどなく、十分だった。
魅力は尽きない。
その後の家での実験で、試しに保冷剤3枚を入れたまま36時間以上電源を切って置いてみたところ、3枚の保冷剤の一番上は半分以上溶けていたが、一番下はなんと7割以上凍ったままだった。
案外この躯体自体の保冷能力もかなり高いようだ。それも電力諸費の少なさに大いに貢献していると思う。
これは大変嬉しい結果でもあるが、益々動力なしの無茶苦茶高価なクーラーボックスの存在意義に疑問を感じてしまい、映えとかに興味のない私としては、なんだか凄く得をしたような気分になってしまった。
これからもこの冷蔵・冷凍庫が大活躍してくれて、手放せない存在になることは間違いなさそうだ。