キャンピングトレーラーを購入する前に知っておきたい基礎知識とメリット・デメリット
キャンピングカーと言えば、ハイエースなどのバンをベースにしたバンコンや、トラックをベースにしたキャブコンなどをイメージされる方が多いと思います。実際に国内キャンピングカービルダーの多くは、そのいずれかをメインで製造している会社がほとんどです。しかし、最近ではそのどちらのタイプでもない、自分の車でキャンピングカーを牽引するキャンピングトレーラーの人気も徐々に高まってきているようです。
今回は自走式のキャンピングカーに比べ、まだまだ情報が少ないキャンピングトレーラーについての基礎知識やメリット、デメリットについてまとめてみました。
目次
トレーラーの種類
国内でビルダーが制作しているキャブコンやバンコン等とは違い、キャンピングトレーラーは海外から輸入されている物がほとんどです。
海外から輸入され日本で流通しているトレーラーには大きく分けて「ヨーロピアンタイプ」と「アメリカンタイプ」があります。
日本国内では道交法によって車幅2.5mを超える車は禁止されているため、サイズの大きいアメリカンタイプよりもやや小さめのヨーロピアンタイプの方がシェアは高い傾向ですが、使用用途によってどちらのトレーラが適しているかは変わってくるので購入する前にそれぞれの特徴をつかんでおきましょう。
ヨーロピアンタイプ
Hobbyなどに代表されるヨーロピアンタイプのトレーラーの基本的な骨格はFRP(繊維強化プラスチック)で構成されています。サイドパネルはアルミ板を採用しているモデルが多く、アメリカンタイプよりも軽い車体が多いです。
アメリカンタイプ
長期で滞在するキャンプなどに合わせて設計されているため、頑丈で室内装備が充実しているのがアメリカンタイプの特徴です。ヨーロピアンタイプに比べ重量は重く、車体がぶれない高い走行性能を備えています。
トレーラーについて知っておきたいこと
軸(タイヤの数)の違い
ヨーロピアンタイプ、アメリカンタイプ、どちらも1軸、2軸の車体があるので一概には言えませんが、重量が軽いヨーロピアンは1軸のものが多く、重量の重いアメリカンは2軸であることが多いです。軸の違いによって運転時の感覚が異なるほか、高速道路の料金も変わります。
ETCレーンでは車軸をカウントしており、トレーラを牽引していない時にはヘッド車(トレーラーを牽引する自動車)のみの料金、トレーラーを牽引している時はその料金に自動的に計算されます。(ETC車載器のセットアップが必要です)
・被けん引車(トレーラー)が1軸の場合、車種区分が1つ上がる
・被けん引車(トレーラー)が2軸の場合、車種区分が2つ上がる
ただし、例外としてトレーラーの車軸間距離が1m未満である場合は、2軸であっても車種区分は1ランク上がるだけで済みます。この場合は、ETCが車軸を自動カウントしてしまう為、ETCではなく有人の料金所を利用する必要があります。
連結時の専用パーツ
ヒッチメンバー
トレーラーをヘッド車に連結して走行するためには必要なパーツがいくつかあります。まずはヒッチメンバーです。ヒッチメンバーはフレームのようなパーツで、ヘッド車の
車体に取り付けます。
ヒッチメンバーには牽引できる最大重量が決まっていますので、牽引する予定のトレーラーに対して十分な強度があるかを事前に調べておくことが必要です。
ヒッチボール
先ほどご紹介したヒッチメンバーにヒッチボールを装着すればトレーラーを牽引することができます。トレーラーを牽引する時以外はヒッチボールを外してカーゴキャリアやステップなど別のパーツを装着することもできます。
電源カプラー
電源カプラーとはヘッド車からトレーラー側に電気を供給するために使用するパーツです。トレーラーをヘッド車に接続する時にヘッド車からトレーラーに電源を供給できます。
ストップランプやウインカー等もこのカプラーを使ってヘッド車と連動させます。ヨーロピアンタイプとアメリカンタイプでは、カプラーの形状や端子の数が異なるので気をつけましょう。
牽引免許について
トレーラーの購入を考えている方が一番気になるのが牽引免許についてではないでしょうか。基本的に牽引免許が必要かどうかはトレーラーの重量によって下記の様に異なります。
・車両重量750kg以下:普通自動車運転免許があればけん引免許は不要
・車両重量750kg〜2000kg:限定けん引免許証で牽引可能
・車両重量750kg〜:けん引免許証で牽引可能
つまり750kg以下の小型モデルであれば普通自動車免許があれば法律上は運転が可能です。
けん引免許が必要無い750kg以下のトレーラーはこういった小型のものになります。
小さいので簡単に運転できそうですが、小型モデルはヘッド車の後輪とトレーラーの車軸の距離が短く、ヘッド車の動きがダイレクトにトレーラに伝わるので慣れていない方が運転するのは意外と難しいです。
トレーラーは前に進む分には比較的簡単なのですが、バックとなると慣れるまでは特に難しいので、購入するトレーラーの重量に関わらず、可能であれば練習も兼ねてけん引免許を取得した方が安心かもしれません。
牽引免許の取得にかかる時間と費用
牽引免許の取得には以下の2つの方法があります。
・教習所で卒業検定合格後、運転免許試験場にて適正試験に合格
・運転免許試験場にて、技能検定、適正試験ともに合格
いわゆる一発試験は費用も安く時間も短く済みそうですが、初めてトレーラーを運転し、一発で技能試験を突破するのは非常に難しいので、無難に教習所に通ったほうが良いと思います。
一般的な教習所では取得費用は約10〜15万円程度、普通自動車免許を既に取得済みの場合には学科教習はないので、受講時間は、技能教習を12時間受講することで取得可能です。
キャンピングトレーラーのメリット
1.居住性能が高い
キャンピングトレーラーの良い点として、まずは居住性能の高さが挙げられます。自走するために必要な設備やパーツはトレーラーには必要がないので、キャブコンやバンコン等と比べて内装設備が充実しているものが多く、キッチンも広く、ダブルベッドやトイレ、シャワーまで備えているモデルが多いのが特徴です。
自宅と変わらないベッドやキッチン(場合によっては自宅より豪華!?)を使えるのはとても嬉しいですね。
2.ヘッド車との切り離しが可能
キャンピングトレーラーはキャンプ場などでトレーラー部分を切り離し、トレーラーは家として、ヘッド車は旅の足として使用することが可能です。例えば、キャンプ場に行った時に旅先の飲食店や温泉などにはヘッド車だけで行き、帰ってきたらキャンプ場のトレーラーで快適に過ごすといったことができるので旅行先の選択肢も広がります。
3.本体価格・維持費が安い
キャンピングカーと同じでキャンピングトレーラーも価格は車種によって大きく異なりますが、キャンピングトレーラーは新車でも100万円代や200万円代から販売されている車種が多くあります。
豪華な海外モデルでも500万円以下のものも多く販売されており、自走式のキャブコンやバンコンと比べると半額かそれ以上に安価です。また、キャンピングカーと比べ車検や税金などの維持費用が安いのも特徴です。車種にもよりますが、エンジンのついている車に比べ、半分以下のコストで済む場合が多いです。
キャンピングトレーラーのデメリット
1.駐車できるスペースが少ない
トレーラーを引いたまま駐車できる場所は非常に限られてしまいます。キャンプ場などトレーラを置ける拠点がある場合は問題ありませんが、トレーラーを牽引している状態では、基本的に大型車の駐車スペースに駐車することになりますので、旅行中のちょっとした寄り道が困難ということもあります。
また、都会ではトレーラーを牽引した状態では保管できる大きな駐車場も少ないので、トレーラー専用の駐車場を別途用意する必要があり、車2台分の駐車スペースの確保が必要です。ただ、これはキャブコンなどを購入した場合も同じで、普段使いの車と、キャンピングカーの2台持ちという方も多いと思いますので、保管場所に関してはどちらも変わらないかもしれません。
2.高速料金が高くなる
上記でも述べましたが、牽引するトレーラーによっては車種区分が2つ上がる場合もあるので、高速料金が割高になります。キャンピングカーやキャンピングトレーラーの購入を考えていらっしゃる方は旅好きの方も多いと思いますので、長距離移動する際は事前にどれぐらいの費用がかかるのか調べておくと良いかもしれません。
まとめ
今回はキャンピングトレーラーの基礎知識についてご紹介してきました。
アウトドアや旅好きな人にとっての憧れの1つでもあるキャンピングカーとキャンピングトレーラーですが、どちらにも長所、短所があります。オーナーの用途次第で、どのタイプが適しているかは変わりますが、コスト面では購入費用、維持費用ともにトレーラーの方が安価に抑えることができそうです。
キャンピングカーの購入を検討している方はキャンピングトレーラーも視野に入れて検討されてはいかがでしょうか?