ちょっと違った視点から考える雨対策〜雨に濡れた時に便利な車中泊グッズなど〜
スノコ
小さなスノコがあると、濡れた地面や砂や泥が着きやすいような地面の上で服を着替える時も濡れた靴を履き替える時にも役に立つ。シャワーを浴びる時にも便利だ。
また、人間だけではなくて、湿った地面、砂や土の地面にコンテナボックスやクーラーボックスなどの荷物を下すときも、この上に置くと底が汚れず、再度車内に積むときに余計な泥や砂を持ち込むのを防ぐことができる。
スノコは完成品も市販されているが、市販品を使う場合は人が乗っても十分な強度がある物を選ぶ必要もあるが、簡単な工作なので、好みのサイズのものを自作してしまうのも良いと思う。
画像のスノコ(と言っても板が2枚だけ)は自作で、ビスがサビ落ちても打ち替えて、かれこれ20年以上使っている。
コンテナボックスの蓋を裏返してこのスノコを置けばちょっとしたテーブル代わりにもなる。
そしたら、先日この蓋専用のスノコもホームセンターで見かけた。しかし、人が乗れる程の強度はなさそうだった。マルチパーパスで私にはこれで十分。朽ち果てるまで使おうと思っている。
ブラシ
濡れた泥や砂を車内に無駄に持ち込むと後で掃除が面倒だ。車内に入る前に靴底の泥や砂を落とせるように、入り口付近にこんなブラシを置いておくと便利。
それでも私の車は常に砂だらけなのだが、たまに掃除機もかけるけど、床の掃除用具もこれがメインだ。
車内を濡らさない・汚さない対策の理由
ここまで、車内を濡らさない・汚さない対策について述べてきたが、極度の清潔好きだからではない。
私は濡れることが前提のスポーツが生業で趣味でもあるので、濡れることには耐性があり、実際は標準的な人よりは濡れることを苦に感じない。靴を履いたまま寝てしまうこともある程だから、もちろん私の車は土禁ではない。
しかし、そんな私がこうして少し気を遣う理由は、「後から掃除したり乾かしたりといった手間が面倒くさいから」に尽きる。
また、無神経にびしょ濡れの体のまま車内に入って濡れた物を放置して、寝るときに不快だと雨を恨むのもお門違いだ。
「今日の一針明日の十針」ということわざがあるが、「少しだけ気を遣うと後が面倒くさくないし、車内で快適に過ごせる」といった提案だ。
タープ
これは以前、別の記事で紹介した自作のサイドオーニング。
立派な市販のサイドオーニングや車にくっつけるテントとはコンセプトが全く違う。大袈裟でなくあえてこじんまりしたものが欲しくて自作した。
これは自分が濡れたくないために作ったものではない。
サイドのスライドドアは便利だが、雨や雪が降っている時に開け放しておくと、車内に容赦なく雨や雪が入り込んでしまう。
雨の日に重宝する跳ね上げ式のリアゲートに近い手軽さで、跳ね上げ式のリアゲートのようにサイドドアを開け放しておけるようにしたくて作ったのが、嘘偽りなく5分以内で設置も撤収もできるのが自慢のこのオーニングだ。
消臭剤
気をつけても濡れる時は濡れる。そして布が生乾きになると、菌が繁殖して臭くなる。おまけに私の車は海水で濡れた物などが積まれていて、少し油断していると車内がかなり臭くなっていることがある。
エアコンの吹き出し口に取り付ける車専用の消臭剤や、置くタイプの消臭剤などもあるが、そんなものでは太刀打ちできない臭いになることもしばしばだ。
そこで登場するのが普通の家庭用の布地にダイレクトにスプレーするタイプの消臭剤だ。CMでも言っているように匂いの主な原因は布地や壁に染みついている。
シートや布地の壁やカーペット、ブランケットやクッションなど洗うのが無理な場所や洗うのが難しいものが雨に濡れて臭くなった場合も、普通の家庭用の消臭剤を布地にダイレクトにスプレーするのが断然効果的。
これも車内の常備品の一つだ。
湿気対策
車内の湿気が取り沙汰されることもある。しかし、蒸し暑さに辟易とする夜はあっても、私は長年車中泊をしていて実際には普通の家のような不具合を感じた覚えはない。
つい最近までエアコンのない車に乗っていたこともあったが、現在の車には大変便利なエアコンというものが装備されているのが圧倒的に多数だ。
あまり長時間エンジンをかけっぱなしで駐車し続けることは良くないが、普通の家よりよっぽどコンパクトな空間なのだから、エアコンをかければ割と短時間で除湿はできてしまう。
車内の除湿は、除湿剤などを使うよりエアコンが現実的な手段だと思う。そして晴れたらドアを開け放つことだ。
モーターホームのような巨大なスペースの場合はどうかわからないが、普通の家よりずっと簡単に除湿できてしまうのは、むしろVANの魅力の一つでもあると思っている。
最後に雨音について
車の中は雨音がうるさいとか言う人もいるようだ。しかし、強がっているわけではなくて、車内で聴く雨音は私には心地良く響く。
若い頃、テントの中で寝ていて夜中にふと目が覚めたら体が半分水の中に浸かっていたことがあった。
その時寝ていたテントは元々重いけど、濡れると吸水してとてつもなく重くなる生地でできていて、グランドシートと本体は別体(だからこの時のように張る場所が悪いと水溜りの中で寝ることになる)で、鉄のポール2本を柱にして張るテントだった。
現在だったらスマホで天気をマメにチェックすることができて、こういう目に遭わないよう事前に対策を立てることができるが、もちろんそんな便利なものなどもない時代の話だ。
寝ている間に大変な嵐に遭遇していたようで、テントの中には4~5人いたのだが、私が目覚めた時には皆すでに身を起こしていて、そのうちの2人は風でテントが倒れないように各々1本ずつ必死でポールを支えていた。そして1人は、こんな状況でよく寝ているものだと呆れ顔で私を見下ろしていた。
当然車などない。濡れてとてつもなく重くなっても、雨が降っていてもテントは背負って歩いていた。山で仲間のテントが風で吹っ飛んだこともあった。
程度の差はあれ度々似たような経験をし、辛い思いもしたけど勉強になることも多かった。
そして、標準よりは濡れることに十分な耐性のある私だが、冷たい雨に濡れるのはやはり辛い。丈夫で軽いハイテクなテントを使用できるようになった現在でも、テントの中で聴く雨音には時に不安感を煽られることもある。
しかし、車内で聴く雨音は真逆だ。こんな経験をしてきた私にとっては、車内で聴く雨音は車のある幸せや贅沢を感じさせてくれるものなのだ。
大雨が降って鉄板でできた車の屋根をバタバタと打つ音は、絶対に濡れずに寝られることを証明してくれる音であり、ある種優越感に浸ったような気分にさせてくれる音だ。この中にいれば翌朝雨の中を濡れた重いテントを背負って歩かないで済む安堵感も与えてくれる。
車の中で寝ていて雨が降ってきても苦でないどころか、車の屋根を叩く雨音を聴いていると、ジーン・ケリーが雨の中でタップダンスを踊っているシーンを思い出し、小躍りしたくなるようなことさえある。
何事も感じ方次第、気持ちの持ちようだ。
ハイテクなテントがある時代に、車の横にわざわざコットンやワンポールのテントなど旧式なテントを張って悦に浸るのも楽しみ方の一つであるなら、鉄板を叩く雨音に安心感を感じて心躍らせるのもありだ。
などと書いていたら「Raindrops Keep Fall’n On My Head(邦題:雨にぬれても)」を歌ったB J トーマス氏の訃報を知り、昨晩はこの原稿を書きながらループで聴いてしまった。
この曲は69年のアメリカ映画「明日に向かって撃て!」の主題歌だ。映画も良かったが、憂鬱な気分や身に降りかかる厄介な事を雨に濡れることになぞらえ、「文句言ってたって始まらないぜ!」のような前向きな内容の歌詞のこの歌も大変良かった。
そう言えば、若い頃に天候不順でテントの中で停滞している時にはトランジスタラジオで音楽を聴いていた。車内で聴く雨音も良いけど、音楽も車内の雨対策に大いに貢献するものの一つだと思う。