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【猛暑のヨーロッパで車中泊体験】エアコンなしのキャンピングカーで41°Cの灼熱地獄を乗り切った方法

真夏のキャンピングカーの車内は、想像以上に過酷な暑さになることがあります。
私たちは約2年半、キャンピングカーで暮らしながらヨーロッパを周遊してきましたが、毎年夏は涼しい北の国や標高の高い山岳地帯へ行き、暑さから逃げる旅をしていました。
ところが今年、旅の途中で思わぬトラブルが発生。
猛暑のイタリア・ミラノで足止めを食らってしまったのです。
外気温は連日30℃越え、車内はついに41℃に達し、まさに「灼熱のサウナ生活」を体験しました。
そこで今回は、そんな過酷な環境の中で、「エアコンなし」でどうやって猛暑を乗り切ったのか、実際に試した対策と効果があったアイテムをリアルに紹介します。
日本もすごく暑いようなので「これから夏に車中泊旅する人」「車中泊の暑さ対策を知りたい人」は、私たちのリアルな体験談を少しでも参考にしてもらえれば幸いです。
夏から逃げながらヨーロッパを2年半キャンピングカー旅してきた

私たち夫婦は、キャンピングカーで暮らしながらヨーロッパを周遊しており、気づけばもう2年半が経ちました。
中古で購入したキャンピングカーと共に、イタリアから旅をスタートし、スイス、ドイツ、ノルウェー、オランダ、スペインなど、これまで合計19カ国を訪れることができました。
車内でリモートワークをしつつ、「まるでその土地に暮らす」ように各国を巡って、時間やルートに縛られない、ゆる〜いスタイルで旅を続けています。
キャンピングカーには、キッチンやベッド、トイレ、シャワーなど、生活に必要な設備が一通りそろっているため、快適に暮らせています。
ただ、ひとつだけどうしても避けられない天敵が、「暑さ」です。
エアコンなしで猛暑をどう乗り切ってきた?
ヨーロッパ製のキャンピングカーは長くて寒い冬を乗り越えるための、断熱材やガスヒーターなどの装備は万全。
その分、夏の暑さへの備えはあまり整っていません。
エアコンもなし。
だから、夏場の車中泊旅は、まさに“暑さとの戦い”になるのです。
そこで私たちは、毎年のように「暑さから逃げるルート」を組んで旅をしてきました。
ヨーロッパの夏も日本と同じく30°Cを超える猛暑日が続く地域もあるので、なるべく「避暑スポット」を探しながら旅をしています。
1年目の夏は、イタリアのアルプスへ。
標高2,000m近い山岳地帯で、涼しく快適な夏を送ることができました。
2年目の夏は、緯度を上げて北の国へ。
ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの北欧3国を巡り、さらに北極圏まで足を伸ばしました。
そこではなんと、夏でも「肌寒い」と感じる日があるほどで、自然に囲まれた最高の夏を楽しめました。
このように、標高の高い場所や北の国など、夏でも涼しく過ごせる場所へ移動しながら、私たちは暑さのピークから逃げて、これまで旅を続けることができました。
今年の夏は逃げきれなかった…

今年の夏も、昨年と同じように「暑さから逃げる旅」を計画していました。
向かう先は、スイスとオーストリアの山岳地帯。
涼しくて自然豊かなエリアで、のんびりと過ごすつもりでした。
ところが、旅に欠かせない”ポータブル電源”が突然故障。
サポートセンターに問い合わせたところ、新品を送ってもらえることになりました。
「私たちがキャンピングカーで生活しながら旅をしていること」と、「電源がないと生活に支障が出ること」をしっかり説明し、メーカー側からは、「5〜7日で届く」と明言。
それを信じて、私たちは受け取りのためベース地であるイタリア・ミラノへ。
この地域は夏の暑さが厳しいことで知られていますが、「数日くらいならなんとかなるだろう」と考え、予定を変更してミラノ付近に短期滞在することに決めたのです。
しかし、その直後から悪夢のような日々が始まりました。
歴史的猛暑の到来

故障品を返送手続きをした直後、ヨーロッパ全体を記録的な猛暑が直撃。
スペイン、フランス、イタリア各地で35℃を超える日が続き、ニュースでも「記録的な熱波」と報道されるほど。
滞在していたミラノ周辺は、都市部ゆえにキャンピングカー向けの施設も少なく、近くに避暑地もありません。
車内の気温は、連日41℃を超え。
まさに“灼熱地獄”で、生活するのもやっとな状態でした。
「もう少しで届くはず…」、「届いたらすぐに涼しい場所へ避難しよう!」
そうお互い励ましながら耐えていましたが、待てど暮らせどポータブル電源は届かず、サポートからの連絡もぷっつり途絶えました。
問い合わせメールも返事なし。
気づけば、連絡が取れないまま2週間が過ぎていました。
暑さと不安で心も折れかけ、「もしかして騙された?」「もしかして忘れられてる?」と疑心暗鬼に。
電源なし、41℃の灼熱生活
電源がない生活では、仕事用のパソコンやスマホの充電、照明、扇風機すら使えません。
そんな中で迎える41℃の猛暑は、本当に過酷でした。
涼しい場所へ移動したくても、配送のタイミングが分からず、身動きが取れないまま「耐える」しかない毎日。
結局、ポータブル電源が届くまでにかかった期間は3週間!
「長くても1週間程度だろう」と考えていた私たちにとって、完全に予想外の事態でした。
旅のスケジュールは大幅に狂い、避暑地へ行けないままミラノで過ごすことに。
これまでで最も過酷な、「真夏のキャンピングカー灼熱体験」となりました。
3週間、ただ暑さと不安に押しつぶされながら、待ち続けた日々。
正直、もう二度と味わいたくはない、悪夢のような体験でした。
エアコンなしのキャンピングカー?

実はヨーロッパのキャンピングカーでは、キャビンに「エアコンがついていない」のがごく普通です。
最新モデルでは装備される車も増えていますが、私たちの2005年式の古いモデルではエアコンなしが当たり前。
その理由は、ヨーロッパでは夏より冬の期間が長く、寒さ対策が重視されてきたからです。
キャンピングカーにはガスヒーターや温水ボイラーなどの暖房設備が標準装備されますが、冷房はオプション、もしくは非対応がほとんどです。
エアコン設備が難しい理由
仮に後付けでエアコンを設置しても、稼働には大きな電力が必要です。
ソーラーパネルやサブバッテリーを大幅に強化してもパワー不足で、結局は外部電源が必要になります。
そのため、エアコンを取り付けるキャンピングカーはそう多くありません。
そもそもヨーロッパではキャンピングカーに限らず、一般家庭やオフィスもエアコンなしというケースが少なくありません。
古い建物では構造上の理由や景観保護のため、配管や室外機の設置が制限・禁止されている地域もあります。
そのため、「エアコンがないこと」が前提の暮らしや建築文化が根強く残っています。
日本では、「夏にエアコンなしなんてありえない!」と思うかもしれませんが、ヨーロッパでは「エアコンがなくてもなんとか暮らす」のが、今もスタンダードなのです。
41°Cの車中泊生活で灼熱体験!実際に起こったトラブルとは?

トラブル①41°Cの車内はまるでサウナ状態
今年の夏、ミラノ近郊での3週間の車中泊生活は、まさに灼熱地獄でした。
日中は35°C前後、車内の温度は41°C超え、鉄の箱の中でジワジワと蒸されているような感覚。
窓を開け、扇風機を回しても入ってくるのは熱風で、一切涼しくなりませんでした。
トラブル②ソーラーパネルが使えず電力不足
「日陰の下なら涼しくなる!」と日陰を探して停めたものの、今度はソーラーパネルで充電できず電力不足に…。
扇風機すら使えない状況になってしまいました。
トラブル③夜も下がらない車内温度
夜になっても車内温度は下がらず、熱がこもったまま。
寝苦しくて、毎晩何度も目が覚め、ぐっすり眠れる日はありませんでした。
トラブル④電子機器のオーバーヒート
暑さで困ったのは身体だけではありません。
パソコンやスマホなどの電子機器が、高温で停止してしまうのです。
車内で仕事をしようとしても、パソコンは「高温のため使用できません」と表示され、スマホもアラートを出して沈黙。
仕事どころではなく、「このまま電子機器が故障するんじゃないか?」とヒヤヒヤしました。
トラブル⑤調理が地獄!火を使わない食事ばかり

調理にも大きな影響がありました。
コンロの火を使えばさらに車内温度が上がるため、調理は命がけ。
汗だくでキッチンに立つ気になれず、サラダやパン、缶詰など「火を使わない食事」が続きました。
トラブル⑥冷蔵庫・常温保存品のトラブル
外気温の影響で冷蔵庫は効きが悪く、飲み物はぬるく、冷凍品は溶ける始末。
「これは大丈夫かな?」「まさか冷蔵庫の故障?」と不安になりながら、できるだけ早く消費するしかありませんでした。
さらに厄介だったのが、「常温保存品」の管理。
40℃を超える車内はもはや“常温”とは呼べず、食材や薬、化粧品の劣化。
持っていた目薬は、暑さで蒸発するという、想定外のトラブルもありました。
トラブル⑦汗が止まらない!熱中症リスクも
そして何より、ただ座っているだけでも汗が滝のように流れ、タオルが何枚あっても足りないほど。
想像をはるかに超える過酷な真夏の車中泊体験に、熱中症のリスクと装備故障の危機と隣り合わせの生活だったのです。
実際に効果があった暑さ対策&アイテムベスト5
想像以上に「暑さ」が車中泊に大きな影響を及ぼすことを痛感し、対策の重要性を身をもって実感しました。
暑さ対策は“ある程度できる”ものの、完全には避けられないという現実も。
そんな中で、私たちが実際に使ってみて「これは効果があった!」と感じた暑さ対策アイテムを5つ詳しくご紹介します。
①扇風機のダブル使い(USB扇風機とシガーソケット扇風機)

扇風機は、USB充電式とシガーソケット式の2種類を併用して、24時間フル稼働!
どちらもクリップ式なので、ベッド横や棚など、好きな場所に取り付けられてとても便利。
特にシガーソケットタイプは、風量がパワフル&首振り機能付きで、車内全体に風を送ってくれる優れモノでした。

設置のコツは、「風の通り道を意識すること」。
1台を窓際に設置して外の風を取り込みながら、もう1台で車内の空気を循環させると、思った以上に体感温度が下がります。
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②サイドオーニングで日陰を作る

サイドオーニングを出して日陰を作るのも効果的です。
車の横にしっかりと日陰ができ、車内よりも外の方が涼しく感じられるようになります。
私たちはよく、オーニングの下にテーブルとチェアを出して、日陰でパソコン作業をしたりしていました。
さらに、直射日光を遮れるため、冷蔵庫の効きもアップ!
コツは「オーニングをなるべく低めに張る」こと。
車内への光の侵入もカットするようにすると、効果が倍増しました。
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③サンシェードの徹底活用!太陽の光を車内に入れない

「光=熱」なので、日中は太陽光を車内に入れないのが重要!
特にフロントガラス用のサンシェードは絶対にマスト。
場合によっては、内側と外側からのダブル使いで徹底的に熱を遮断しました。
ただし、光を遮ると今度は「窓から風が入らない」という問題に直面します。
そこでおすすめなのが、「外開きタイプの窓」です!

外開きの窓なら、窓を開けて換気をしつつ、外側のガラスにサンシェードを掛けられるため、「風は入るのに光は遮る」という理想の状態が作れます。
窓から直射日光が入らないだけで、車内の体感温度は驚くほど違います。
サンシェードがない場合は、キャンプ用の断熱マットやタオルで代用するのもおすすめです。
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④保冷剤で体を冷やす
体を直接冷やすのは、暑さ対策として非常に効果的です。
冷やした保冷剤をタオルに包んで首や脇の下に当てると、じわ〜っと体温が下がり、とても楽になります。
私たちは大小さまざまなタイプの保冷剤を常備し、日中や寝る前などに使って一気にクールダウンしていました。
地味な方法ですが、一番体感的に効果を感じられ、救世主的な存在でした。
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⑤涼しい場所へ避難
どう頑張っても、日中の車内はPC作業に向きません…。
暑さでパソコンも体もオーバーヒートして、仕事どころではないです。
そんな時は、マクドナルドやIKEA、ショッピングモールなどのエアコンが効いている施設を活用していました。
施設によっては、PCテーブルやWi-Fiもあって、とても快適で作業もはかどります。
特に良かったのがIKEA。
専用のスペースがあり、広くて静かな上に、軽食も楽しめるので最強でした(笑)。
午後の暑さのピーク時間帯は、無理に我慢せず「避難する」ことも大事な選択肢だと思います。
※水分補給について
言うまでもないですが、水分補給は最重要事項です。熱中症にならないためにも、私たちは毎日、1人2リットル以上あたりを飲んでいました。
まとめ
3週間のミラノ車中泊は、対策を駆使して、なんとか乗り切れました。
熱中症にはならなかったものの、日中は頭がボーッとしたり、やる気が出ない日も多く、体力も気力も削られ、ただただ「暑さから逃げたい」という思いでいっぱいでした。
ただ、不思議なことに、人間の体はすごいもので、数日経つと少しずつ暑さに順応していく感覚もありました。
それでも痛感したのは、エアコンのない車内では「暑さ対策には限界がある」という事実。
今回のようにどうしても逃げ場がない状況では仕方ありませんが、夏はやっぱり「涼しい避暑スポットへ逃げる」が一番の対策だと強く感じました。
ミラノの灼熱から解放された私たちは、ついにスイスへ北上。
そこでは、日中でも15℃台という信じられないほどの快適な気候!
やっぱり場所選びが重要だと確信しました。
今回の私たちの経験が、これからキャンピングカー旅を検討している方にとって、少しでも参考になればうれしいです。