キャンプや車旅で便利な食材の活用法と工夫について



車で旅をしたりキャンプする場合は、多くの荷物を運ぶ事ができて、重さに対してもあまり気を遣わなくて済む。


食材に関しても、クーラーボックスや小型の冷蔵庫なども使えるから、重くて傷みやすい生モノの運搬にも困らない。


しかし、一泊ならなんでもござれだが、数日に渡る場合は食材選びにもちょっと工夫が必要になる。


また、他にメインの目的があって、手段としてキャンプや車中泊をするような場合。例えばキャンプや車中泊が、アウトドアスポーツに興じるための宿泊手段である人だったら、料理に多くの手間や時間を費やしたくはないし、生モノを運ぶために気を遣ったり、そのために車内の多くのスペースを潰したくなどもないこともあるだろう。


そこで今回は、アウトドアや災害時を特に意識して作られた食品というわけではないけど、キャンプや車中泊に便利な食材や、その活用法、工夫を紹介したい。



乾燥食材の活用


乾燥食材には干し椎茸や切り干し大根、高野豆腐など伝統的なものもあれば、最新の技術で作られたフリーズドライなど様々なタイプがある。

どれも便利な食材だが、案外見過ごしていたり思いつきにくいもの、面白い活用法を幾つか紹介する。

もちろん、まだまだ他にも色々あって、ここで挙げるのはほんの一例だ。

乾燥食材を普通に使うだけでなく、さらに工夫を重ねて色々な活用法を見出すのも面白い。

大豆ミート


大豆ミート

大豆を原料とする乾燥の代用肉がある。

私は菜食主義者ではないから、原料が大豆である必要などないのだが、生ではなく常温保存できる肉となると、コンビーフやランチョンミート(これもよく使うけど)などの缶詰かレトルト、或いはビーフジャーキーなどの類か、サラミなどのドライソーセージなどとなってしまう。

これらも便利なのだが、生の肉の代わりにはなりにくい。

大豆ミートには比較的大きめのタイプと、挽肉タイプなど数種類ある。

大きめのタイプは唐揚げの鶏肉の代わりなどには比較的良いが、正直言って手間をかけずに肉らしさを出すのは難しく、キャンプ料理で使うメリットはあまり多くないように思う。

しかし、挽肉タイプはかなり便利に使える。特に味が濃いめの料理に使うと、代用肉であることをほとんど意識させないレベルにまでなることがある。

レトルトや缶詰・瓶詰めのミートソースやカレー、マーボー豆腐の素などに、この挽肉モドキを加えると、肉が増量された感じになり、なんとなくボリューム感の寂しかったレトルトや缶詰が俄然リッチになる。いつでもどこでも、ちょっとプア目なソース類を「お肉タップリ」にすることができるのだ。

カレーやミートソースには吸水(戻す)させることなくそのまま加えても使える。大きめタイプより吸水時間は短くて済むが、しっかり水分を吸わせるように少し注意が必要だ。

常温保存ができて水分がないから軽い。とにかくこの乾燥大豆挽肉モドキは持っておくと便利だ。

乾燥味噌汁の具


味噌汁の具

数種類の野菜やワカメなどがミックスされた味噌汁の具材用乾燥食品がある。

生の野菜類を色々揃えて刻んだりしていたら手間も時間もかかってしまうが、そんな手間や時間が全く不要で、乾燥食材だから軽くて常温保存が可能。

これを出汁入りの味噌と混ぜるだけで簡単に味噌汁が作れてしまうのはもちろん、具の内容によっては味噌汁以外にも使えるものもあり、と言うよりほとんどが味噌汁以外に使っているのだが、それが大変便利なのだ。

案外コンソメ系のスープに合うものも多いし、ご飯に混ぜて炊いたり雑炊を作るのにも良い。

キャベツなどの野菜の多いタイプはラーメンにもバッチリだ。カップ麺でも袋インスタント麺でも、これを入れるだけで豪華になって大変重宝する。特にタンメン風になる塩ラーメンや味噌ラーメンにおすすめ。

似たものに「ラーメンの具」というのもあるが、それより使い回しも効くし、野菜たっぷりタイプを入れた方が豪華な感じになって良い。

そこにあった食材を片っ端から適当に混ぜて煮ただけで、同じ物は二度と作れないけど案外素晴らしいものが出来上がってしまう、なんてことがあるが、そんな時にも大活躍する食材の一つである。

粉チーズ


粉チーズ

固形のチーズは大抵冷蔵が必要だが、粉チーズは冷蔵庫に入れると固まってしまうこともあり、実は保存方法に「直射日光・高温多湿をさけて…」とだけ記載されていることが多い(大抵そうだと思うけど、全部調べたわけではないので)。

案外キャンプ向きの食材なのだ。

乾燥大豆挽肉モドキがプアなレトルトソースをリッチに変えると書いたが、チーズがあるのとないのとでは大違いだ。

結構色々な料理に使え、洋食系ばかりでなく、スープにもよるし好みも分かれるがラーメンにも使える。例えば、シーフードやカレー、チリトマト味のカップ麺などは格段にリッチになる。

ひもじい場合はそのまま食べても案外イケる。

人力移動のキャンプでも小さな容器に移し替えて、必ず忘れずに持って行くものの一つだ。

インスタントラーメン


ご存知お湯をかけるだけの元祖インスタントラーメンのチキンラーメン、またはこのタイプは非常に重宝する。

普通にお湯をかけても美味しくいただけるが、そのままでも美味しく食べられるのは野外でも車中でも災害時にも大きな利点だ。細かく砕いてサラダのトッピングなどとして使うなんて技もある。

また、車ならスペース的に余裕があるからあまり気にかける必要はないかもしれないが、マルタイ棒ラーメンは、インスタントラーメンでありながら素麺のような棒状になっているので、荷物のスペースが節約でき、人力移動者からのリスペクトが非常に高い。車の場合も、食材入れに常備しておくのにマルタイ棒ラーメンは便利だ。

ジャガリコ


ジャガリコ

乾燥食品と言うかお菓子の部類。チキンラーメン・マルタイ棒ラーメンに続きダイレクトに商品名を挙げてしまうけど、ジャガリコはそのまま食べても美味しいのはもちろんのこと、これを砕いてお湯を入れてかき混ぜればマッシュドポテトになる

乾燥のマッシュドポテトもあるのだから何もジャガリコを使わなくても・・・と思われるかもしれないが、これの良さは味付きであること、そして普段はそのまま食べるけど、「たまには目先を変えて」もできることだ。

お湯の量は1パックに対して1カップくらいだろうか? ジャガリコマッシュドポテトはそのまま食べても良いが、サラダに加えたり、ベーコン風味のふりかけのようなやつと混ぜるなど、ひと工夫して使うとより魅力が増す。

煎り大豆


豆類

煎り大豆なんて年に一度、節分の時にしかお目にかかることもない人も多いと思う。

もちろんそのまま食べられるが、米と混ぜて炊いてしまっても良い。大豆は良質なタンパク質の塊だから、一緒に炊けばご飯のおかずが少なくても栄養が摂れる。

長く煮込めば柔くなるから、そういった料理に加えるのも良い。和洋中華何にでも使える。

また、乾燥した豆は煮るのに時間がかかるが、便利な調理済みの豆類は色々あり、活用の幅も広い。

レトルトパウチや密閉袋入り食材


レトルト類

個人的なことだが私は卵が大好きだ。好きな食べ物はと聞かれたら「卵!」と答えても構わない。しかし、生の鶏卵は持ち運びに便利とは言えず、茹で卵は生卵より傷みやすい。

そこで登場するのが密閉されたポリプロピレンの袋に入った常温保存のできる茹でたうずらの卵だ。うずらの卵だって立派な卵。味も濃い。

中華の大皿料理なんかに入っている場合は遠慮の塊になるか奪い合いになる存在だ。小さいながらも料理を非常に豊かにしてくれる食材なのだ。

そして、タンパク質豊富で栄養価が高く、スポーツをした時にも最適。

他にもマッシュルーム、あさり、ヤングコーン、豆類など(大抵茹でてある)など何かと重宝するものが色々ある。そして量が手頃なのも使いやすい。

また、缶入りではなくレトルトパウチのツナやコンビーフや煮魚などがあるが、缶詰より軽くて嵩張らず、ゴミもコンパクトになって便利だ。

全て生の食材を使って料理することを考えるより、このタイプの素材モノを上手く活用すると、手間と時間をかけずに食材豊富な料理を作ることができて合理的だ。

冷凍食品の活用


冷凍食品は調理が簡単で時短できるだけでなく、しっかり凍っていればそれ自体がクーラーボックスの中を冷やす、いわば保冷剤のような役割も果たしてくれる。少なくともキャンプ初日には便利に使える(二日前以降は凍った状態を保つのが難しい)ので、生の食材と上手く組み合わせて使うのがおすすめだ。

また、お弁当のおかず用で、自然解凍するだけで食べられる(朝弁当箱にそのまま詰めるとお昼に食べ頃に解凍している)ものなどもあり、そんなのも上手く活用すると料理の手間と時間を省くことができて便利だ。

冷凍枝豆

一番のおすすめは冷凍枝豆(画像にあるのは正解には茶豆だけど、これが美味い!)だ。茹でて冷凍してある枝豆は、熱することなく自然解凍で食べられる。

クーラーボックスの中ではビールを冷たい状態に保つ役割を果たしてくれて、飲める場所に到着(※ 飲んだ後の車の運転は絶対にNG、その日の終着点)したらビールのお供になってくれる。

そして、半解凍状態が案外オツなのだ。

中身を出してご飯を炊く時に混ぜても良いし、スープやカレーなど、加えても違和感がないどころか合う料理は案外多く、サラダに加えるのも良し。なんとも健気で素晴らしい食材だ!

現地調達の食材も活用!


車旅で道の駅などを利用する人は多い。

道の駅で出来上がった食品を買って食べるのも良いが、新鮮な現地の食材が売られていることも多いので、簡単に調理できるものを買って自分で調理して食べるのも良い。

(※ RVパークなどではない普通の道の駅の駐車場や、施設内に設けられた公園や広場のようなところで料理をしたり、トイレの洗面所を洗い物などに使うのは絶対にNG!)

私はこれまで漬物にあまり関心がなく、人生に絶対に必要なものとも思っていなかったのだが、あろうことか最近ぬか漬けを始めた。というのも、面白いアイディアを思いついたからだ。

まだ実行に移してはいないのだが、車に糠床を積んでおいて、旅先の道の駅で新鮮な野菜を入手し、糠漬けにして道中の食糧にするというアイディアだ。きっと楽しいと思う。

食材ではないけれど・・・


オリーブ・醤油

スパイスやハーブ類などを色々取り揃えてキャンプに持って行くことを趣味のようにしている人もいるが、私は凝ったことをやりたければ家でやれば良いと思ってしまうタイプだから、そんなに色々持って行くことはない。

何か特別に作る予定でもなければ、持って行くのは塩と醤油とブラックペッパーと、一味かハバネロやカイエンペッパーなどのとにかく辛さの強いチリパウダー系(辛いものが好きだから)、それとせいぜい乾燥バジル程度だ。

塩

それから、クレイジーソルトとかマジックソルトなどに代表されるスパイスやハーブなどを色々ブレンドした塩やケイジャンペッパーなども、それだけでなんだか料理らしくなってしまうから便利なので持って行くことが多い。

あともう一つ、絶対に忘れてはならないのはオリーブオイルだ。もちろん炒め物など調理にも使うのだが、他にも色々使える。

何も味のないパンにオリーブオイルをかけて塩をほんの少々振るだけも、そのまま食べるよりずっと美味くなる。

塩焼きの魚で一般的に想像するのは和食だが、普通に焼いた魚や貝などにオリーブオイルをかけるだけで、和食とはちょっと違う世界になる(実際トルコなどではそうやって魚を食べるのがポピュラーなようだ)。

流行りのサバ缶も醤油ではなくオリーブオイルをかければ洋風になって、パンやパスタにも合うようになる。

その他にも色々活用法はあるが、少し残念な料理でもかけるだけでかなり復活させてくれ、大変便利なのだ。

工夫を楽しもう


キャンプで時間をかけて凝った料理をするのも楽しいかもしれない。しかし、今回紹介したような、便利な食材にちょっと工夫をするというのも、合理的なだけでなく、大変楽しいものだ。

是非色々試して、オリジナルな技を編み出してみてはいかがだろうか?