キャンカーでお葬式に行った話。

キャンカーでお葬式に行った話。



読者の皆様こんにちは。キャンカー初心者オーナーのエジイです。

早くも4稿目となり、ご覧頂き有難うございます。

今回は、お葬式というタイトルですので、どういうことだろうと思われるかもしれませんが、実は私、キャンピングカーで「お葬式」に行ってきたのです。

誰の葬式かと言えば、私の父でして、記事にするなんて神経を疑われるかも知れませんが、追悼と記録という事で書かせて頂きます。

宜しければご覧になって下さい。

ある平日の朝に


前回の記事で、「キャンプがてら父に孫を見せに行ったこと」「父の具合が悪くなり1人キャンピングカーで会いに行ったこと」などをお伝えしましたが、その時の私の見立てですと、医者が言うほど父の容態が悪いとは感じていませんでした。

▼前回の記事はこちら



医者の所見では、万が一もあり得るとのことでしたが、回復状況を見て、私の住む千葉の家で同居するか、あるいは今住んでいる伊豆よりもっと私の家の近くに越してきて暮らすかなどと父と話していたのです。

私は1人息子で、大学入学と同時に、通学もあって父とは離れて暮らし、それ以来26年それぞれ別々の生活をしていました。

また母とは高1で死別しており、父はよほど女運が無いのか、その後に内縁関係にあった方にも先立たれておりました。

父は、「まだまだお前の世話にはならねえ」と頑固だし、住み慣れた伊豆の暮らしがいいと言っていたのですが、父の訃報はいよいよ同居か最低でも近くに引き取るべき時だと思っていた矢先に届いたのです。

出社前の身支度を整えている最中に携帯が何度も騒ぎ、着信の市外局番を見て、病院からだと察しました。

父に何かあったな?という胸騒ぎは的中してしまったのです。

父は享年76でした。

準備〜出発


父の訃報を受けた私は気持ちを落ち着かせてから勤務先へ連絡し、とにかく千葉から伊豆へ向かわなければなりません。

嫁さんと子供達を連れていこうかと迷いましたが、数日間宿泊することになりそうですし、小学校入学以来、娘は皆勤賞なので休ませたくはありません。

下の子の保育園送迎には嫁さんが乗用ファーストカーを使用するので、結局私ひとりでキャンピングカーに乗って父のもとに行くことが決定。

宿泊先は父の自宅でも良かったのですが、数ヶ月入院していたので家の中は散らかっているだろうと思い、複数日を車中泊する覚悟で、普段使っている寝具、衣類、喪服を積み込み出発。

そして嫁さんのアドバイスもあり、私の戸籍謄本も市役所ですぐに受け取り、計画の無い旅が始まりました。

勤務先に立ち寄る


エジイは建設業の営業職を勤めておりまして、月末にはいろいろと業務がありバタバタします。

この時も月末にかけての旅だったのですが、虫の知らせだったのか、営業マンとしての諸業務は全て終わっており、あとは経費関係の処理をするだけ。

勤務先の錦糸町は、伊豆へ向かう通り道でもあったので、少し仕事をしに立ち寄ることにしました。

スカイツリーを目前にキャンピングカーが走っている様子は、さぞかし目立っていたかと思います。

勤務先近隣のコインパーキングに駐車していたのですが、都心のそんな場所でもキャンピングカーは枠内にしっかりと収まっていました。

社内にはイントラで訃報が伝わっていましたが、年の近い同僚は気を使ってバカ話しをしてくれたので、私は気持ちを幾分か落ち着かせて勤務先を後にすることができました。

病院到着〜面会


走り慣れた道でしたが、不幸があった最中ですので、運転には充分に注意しながら走行し、病院には結局夕刻の到着となりました。

しかし、父の遺体は既に近くの葬儀社に移送されており、そこでの対面となりました。父はいい顔をしていました。

現地では、別の告別式が執り行われており、駐車場に入るや、誘導係の人はキャンピングカーを見て面食らった顔をしていましたが、広いスペースに誘導いただきました。

そして葬儀の打ち合わせ。

今の御時世、葬儀社から火葬場への直葬することが多いそうで、翌日すぐに荼毘の空きがあったものの、私の気持ちの整理と父の自宅の整理、父の地元での交流も配慮し、遺体は数日間、葬儀社に預かっていただく事としました。

どこで寝よう?


病院や葬儀社への対応が済み、父の自宅へ。

想像はついていましたが、父の家の中は入院した時のままの状態でした。

そして借家だったこともあり、私の滞在中に全て家財を処分しなければなりません。

粗方の物量を把握して、そのまま泊まろうかとも思いましたが、昔、上の娘を見せに来た時のことなどが思い出されて複雑な心境になりそうなのと、携帯の電波状況も良くなかったので繋がらない恐れもあって、家の中を多少整理するだけに留め父の家を後にしました。

突然のことでしたので、キャンプ場など予約しておらず、どこかの道の駅でも行こうかと考えているうちに思い出したのが、東伊豆から伊東まで戻ったところにある「伊東マリンタウン」でした。

伊東マリンタウンのキャンピングカーが並んだ駐車場

そこはかねてからキャンピングカーがよく停泊していることで知られており、店も限られて不便な東伊豆より、幾分賑やかな伊東のほうがいいだろうと、初日はそこでを仮眠をとる事としました。

行ってみると、24時間空いているトイレがあり、朝5時からやっている大浴場もあり、物販、飲食も申し分ありません。

こんな時でも腹は減るもので、マリンタウンに向かう途中で入手したスーパーの寿司を車内でたいらげました。

伊東市内だからなのか、キャンカーテレビの受信状態もとても良い。

夜も更けて仮眠を取ったのですが、駐車位置によっては朝方に付近を通る電車の音で目が覚めてしまいます。気になる方は海寄りがオススメかも知れません。

また、施設内の風呂が早朝から営業しており、費用も昼や夜のほぼ半額となっており、入浴されるなら朝方がお得です。同じ事を考える方は多く、洗い場はほぼ満席でした。

伊豆のハイシーズンの道路渋滞は深刻ですので、伊東に前日入りし、早朝入浴されてから半島を攻めた方が効率的です。

皆さんそれを知ってか、前日入りされている方の多いこと。人気の場所だとは聞いていましたが、想像以上でした。

遺品整理


さすがのキャンカーでも


翌日は、早朝から父の自宅に行って家財整理の作業に取り掛かりました。

町指定のゴミ袋も調達してそれぞれ分別し、かなりのハイピッチで作業を進めました。

大物はコタツや座卓、組み布団、レンジなど。

当初、キャンピングカーに処分するものを詰め込み、町のクリーンセンターに持ち込む覚悟もしていましたが、クリーンセンターで、ちんたら下ろしていられないし、載せる量からも非効率と判断してレンタカーを用意することにしました。

とは言えやはり観光地だからでしょうか、ハイエースなどの商用車がないか何軒か聞いてみるも取り扱いがなく、仕方なくスタンドが運営するレンタカーで、トヨタノアのワイドサイズを借り、座席を畳んで荷物を積むことに。

スタンドにはもちろんキャンピングカーで乗り付けたのですが、スタンドの人は「何でこの人、キャンカーを置いて乗用車をレンタル?意味わかんねー」と言いたげな表情。突然来たキャンピングカーの仮置き場所にも苦労したようでした。

そして限られた借用時間でクリーンセンターを2往復し、240kg分の荷物をなんとか処分。

ただ、家電リサイクル法に絡む冷蔵庫と洗濯機に手を焼く事となります。

意外に高い


なんとか全体的に片付いて、最後に残ったのは、1日あたりの持込制限がある布団類、ガステーブル、冷蔵庫、洗濯機でした。

そのうち冷蔵庫、洗濯機は家電リサイクル法対象品であり、正規の事業者に有料で引き取って貰わねばなりません。

その他の家財は遺品整理の業者に声をかけて丸投げすることもできたのですが、最後まで自分でやることにし、再度レンタカーを借りるのも面倒かつ無駄なので、遂にキャンピングカーの出動となりました。

因みに家電リサイクル費用は全国変わらず、冷蔵庫、洗濯機の2つで15,000円程度でした。

まさかキャンカーで


全てを片付けて、キャンピングカーでクリーンセンターへ向かいます。

累計3回目ですので、こちらはクリーンセンターの構内も手続きも慣れたものですが、作業員の方々はキャンピングカーにぶったまげておりました。

車両ごと計量器に乗り、廃棄スペースに自走で移動するのですが、その構内はゴミ収集車が充分に通る大きな自動鉄扉があります。

衛生対策上の区分けでしょうが、その大きな鉄扉が開くと、皆さん目を丸くされ、キャンカーが来たよ?しかも千葉ナンバー!?と不思議そうにしていました。

しかし、そこは3回目。

現場のリーダーらしき方は私の顔を覚えていて下さり、その日は喪服のスラックスにワイシャツを着込んでいたこともあってか、訳ありと理解されていたようです。

キャンピングカーで廃棄品持込みなんてことは、これが最初で最後だと思いました。

リアハッチに取り付けられたエアコンの室外機

なおキャンカーのリアハッチは仮設のエアコンで塞いでおり、側面扉からの荷下ろししかできず、やはり荷物を運ぶには向いてない車だと痛感した次第です。

動くオフィス


話しは変わりますが、先にもお伝えした通り、エジイは建設業の営業職を勤めております。

いくら不幸があったとはいえ、動いている現場、トラブル、見積依頼など、仕事柄気になって仕方ありません。

そんな時だからと全て後手にすると、却って後が大変になりますので、営業用の携帯電話、パソコン、ルーターとなるiPadは持参しておりました。それらを利用して相手先と連絡を取り合っておりました。

リモートワーク仕様のキャンピングカー

いくら観光地にいるとはいえ、仕事先との話しには集中しなければならず、また電源や充電の面からもキャンピングカーはマイオフィスとして最高でした。

キャンピングカーは「災害対策にも!」とクローズアップされがちですが、オフィスカー仕様のキャンピングカーやそのレンタルがあっても良いかと思います。というか、あれば借ります!

昨今のコロナウイルス対策にも、重宝しそうです。

お別れ


父を荼毘に伏す日。

葬儀社さんにキャンピングカーで乗り込み、着替えと身支度をして、いざ出棺です。

しかし、私1人では父が入っている棺を車に納めることはできないので、葬儀社の数人の方にお手伝いいただき出棺。

霊柩車

運転担当の方は、年配の方が多いなかで、私の担当者は比較的若い方でしたので往復の車中では話しが尽きず、気が紛れました。今の時代、葬儀も様々でロケット葬なるものの話しも聞きました。

そして全てが終わり、遺骨を持ち帰ることになったのですが、今は風呂敷とかでなく、専用の不織布バッグとかあるんですね。

まるでトートバッグでした。

さらば伊豆


海に夕日が沈んでいく様子

滞在中、遺品整理や役場の手続き等、全く暇を持て余す時間は無かったわけですが、どういうわけか夕暮れがくると、なんとももの悲しい気持ちになってきたのを覚えています。

全くキャンピングカーの話題から逸れてしまいましたが、そもそもキャンピングカー購入後のメリットとして、父に孫たちを気軽に見せに行けるなぁとも思っていただけに、それが果たせず正直なところ悔やまれてなりません。

不謹慎なのかも知れませんが、葬儀社の方に遺体の父と写真を撮って貰ったのですが、後から自分の顔を見返すと、今まで見た事のない悔やんだ形相をしていました。

父が健在だったとしても、体力的にキャンピングカーでの移動は厳しかったでしょうが、一度は乗せたかったです。

伊豆からの帰路、それまでは気丈にしておりましたが、少し離れると感傷的な気分なってしまったので気を取り直し、助手席でシートベルトに守られている遺骨に向かって「さあ帰るぞ千葉へ!」と声をかけたものの、伊豆には来る機会が減る、いや当分来ないだろうと思いながら、家路を急いだのでした。

「孝行のしたい時分に親はなし」まさに私はそうなってしまったわけです。

どうか皆様、私みたいな事にならぬ様、親孝行を考える方がいましたら、是非とも早くに行動に移して下さいね。

キャンカーの購入時もそうでしたが、今回も限られた時間や、家族との接し方を益々考えさせられました。

当たり前ですが、その時を大事に、そして思ったらすぐに行動に移していかないと、時間は巻き戻せないですしね。

まとめ


1.キャンカーは、何があっても本当に役に立ちます。海外でモーターホームというだけあります。

2.伊豆を旅されるなら、経験上ハイシーズンは前泊移動がオススメ。千葉から伊豆まで、最大12時間を費やした事もあります。1泊2日で帰りも同じ時間を費やし、首がおかしくなりました。

3.後悔するくらいなら、思いは行動に移す。

キャンカーネタから逸れた内容が多くございましたが、ご覧いただき有難うございました。