DIYでより快適に!リビングストーン5(LIVING STONE5)のオーナーにインタビュー
イタリア発のカーブランド、フィアット社のデュカトをベースにしたキャンピングカー「リビングストーン5(LIVING STONE5)」で、週末と大型連休の気ままな車旅を楽しんでいるのが、福島県在住のささき夫婦だ。
キャンピングカーショーでひと目惚れをして、国内で輸入販売を手がけるフジカーズジャパンから購入したという。
もともとの充実した装備に加えて、自転車のスペースを自作するなど、DIYでさらに快適な車内環境を整えているささき夫婦。
3代目となる愛車の特に気に入っているポイント、こだわりのDIY、車旅の楽しみ方などをたっぷりお聞きした。
ささき夫婦(福島県)
愛車:ローラーチーム リビングストーン5(LIVING STONE5)
キャンピングカー歴:10年
目次
必要なモノをすべて搭載。ひと目惚れして購入した3代目のキャンピングカー
―現在のキャンピングカーを購入されたきっかけを教えてください。
現在のキャンピングカーの前は、自前で改造した「トヨタ ノア」に2年間、その後、「トヨタ ハイエース FOCSホライズン」に乗っていました。
それも楽しかったのですが、防犯のためにシェードを張り、寝る前に荷物をすべて床下に移動するなど、プライバシーを確保するために毎回30分以上かかっていたので、もっと快適に車旅をしたいと思うようになり、現在のキャンピングカーを購入しました。
購入したキャンピングカーはイタリアの「ローラーチーム(ROLLER TEAM)」が製作する「リビングストーン5(LIVING STONE5)」というフィアット社のデュカトをベースにした車です。
幕張のキャンピングカーショーでひと目見た瞬間に惹かれて、フジカーズジャパンさんから購入しました。
―過去のキャンピングカーに比べて、今のキャンピングカーはいかがでしょうか。
「家は3回建てないと理想の家にならない」と言うことがありますが、キャンピングカーも同じだと思います。
現在のキャンピングカーは3代目ですが、3代目にしてようやく、今まで足りなかったもの、やりたかったことをすべて詰め込めたと思っています。
シェード1つ取ってもそうですね。今まで張るのに時間がかかっていましたが、今回ワンタッチブラインドになったので、1分弱でプライバシーを確保できるようになりました。
テレビなどの電気は大容量のサブバッテリーで使い放題という感じです。
ガスコンロ、水道、電子レンジ、冷凍冷蔵庫もあります。常設のダブルベッドやたくさんの収納棚もあって、とても快適です。
室内高が高く、立って歩けるところも気に入っていますね。
収納性が高く、設備も充実した車内。ダブル充電でバッテリー残量不足の心配もなし
―リビングストーン5の装備を見せていただけますか。
全体的に、さらに自分好みになるよう、DIYで改良を重ねています。
居室側の窓には全て網戸が標準装備されていますが、運転席と助手席の窓にもにも虫よけのため、ホームセンターで「ウィンドウネット フロントドア用」を購入しました。
リビングストーン5はサイドミラーが大きいのでそのままでは使えず、リメイクして使用しています。
折りたたみ自転車を積むために、ベッドをDIYで約10センチ高くしました。ぴったりと収納できるのでとても気に入っています。
キッチンはカセットガス式の2口バーナーです。カセットガスはコンビニやスーパーなどでも手に入るので便利ですね。
シンクは使わないので、その代わりに電子レンジを設置しました。走行中に動かないよう、地震用の転倒防止伸縮棒で固定しています。
バリスタを使えるように、電気配線も加工しました。
走行中は、カセットガスで冷蔵庫を冷やしています。3wayタイプなので、カセットガス以外にもDC12V、AC100Vでの動作が可能です。
念のため、カセットガスは通年8本は常備しています。
冬は1日2本あれば十分なのですが、夏は外気温が30度を超えると20時間も持たず、しかも冷蔵庫の中は10度以下にならないんですよね。
そんなわけで、夏の秘策として、エンゲルのポータブル冷凍冷蔵庫を使って保冷剤を持参することに。
ポータブル冷蔵庫で凍らせた保冷剤を約12時間おきにリビングストーン5の冷蔵庫に投入しています。少し手間なのですが、こうすることで冷蔵庫内の温度が5度以下になるように調整しています。

このポータブル冷蔵庫を使うために、100AH、1280whのリチウムイオンバッテリーと走行充電器、100Wの太陽光パネルも自作で追加しました。
そのおかげで、ポータブル冷蔵庫も24時間運転が可能になりました。しかも3時間も走行すれば、バッテリーはほぼ満充電になりますし、天気が良い日が続けば3日使ってもまだバッテリー残量に余裕がありますよ。
次にベッドなのですが、夫婦だけの車旅なので上段のベッドは外しています。
天井にはルーフエアコンがあるので、夏も快適です。
断熱加工がしっかりなされているので、日差しによる室内の温度上昇がなだらかなのも大きいですね。夜もぐっすりと眠れますよ。
プライベートルームのシャワー・トイレが付いていますが、これは緊急時だけ使用します。普段は収納庫になっていますが、困った時にはいつでも行けるという安心感があって心強いですね。
―先程も少し触れられていましたが、電気系統はどのような感じでしょうか。
サブバッテリーは400AHのリチウムイオン式バッテリーを搭載しています。5100whの容量があるので、エアコンが約10時間も連続運転できますよ。
ネスレのバリスタを朝・昼・午後に2杯ずつ、電子レンジを朝・昼・夜に3回それに加えて冬はFFヒーターを夜間連続運転しても、今まで旅行中のバッテリー残量が不足することはありませんね。
10日にわたる車旅もしましたが、一度も残量不足になったことはないです。オルタネーター(130A)からの走行充電(40A)と155Wの太陽光パネルのダブル充電の効果は絶大です。
容量の最大まで放電が可能なリチウムならではのパワーですね。最近は、採用されているキャンピングカービルダーさんも多いそうですよ。
外部充電もあります。
外部充電ケーブルの破損対策として、必ずシフトにカバーをつけています。うっかりケーブルを付けたまま走ってしまうことも考えられるので……。
―特にお気に入りの装備は何ですか?
マルチシェードは気に入っていますね。前の車は、10分以上かけて全ての窓にマルチシェードを貼っていたのですが、結露が多く、朝起きた後の窓拭きは欠かせませんでした。
このワンタッチ式のシェードになってからは一瞬で閉じられるし、結露することもほぼ無くなったので感動しましたよ。
さらに自分好みになるようDIYでカスタマイズ
―カスタムされているポイントを教えてください。
クルッと回転できる運転席と助手席が自慢です。
大阪の「トライアル」さんで、レカロシート「LX-F IL110 ホワイト」を左右に装着してもらいました。このレカロシートは、トライアルさんの公式サイトでも紹介されているモノです。
レールの設定のない車種ですが、型取りから2泊3日で仕上げて頂きました。
シートの座面は純正より少しだけ低く、ハンドルの高さや踏みこんだときのアクセルの位置がぴったりフィットするようになりました。
とても快適なキャプテンシートで、社長さんにはとても感謝しています。
テレビの場所もこだわりの1つです。
ディーラーさんにテレビを持ち込んで、フリップダウン式に改造してもらいました。正面から観られるように設置場所を決めたので、首が痛くならないのが良いですね。
折り畳みも簡単にできます。
走行中はバンドで固定して、振動による異音を防止しています。
―DIYで工夫されているポイントなどはありますか?
最初にも少し触れたのですが、折りたたみ自転車のBROMPTONを入れるスペースは、DIYの中でも特にこだわりました。
このスペースがあるおかげで、いつでも気軽にポタリングができます。リアハッチは観音開き。自転車の積み下ろしも簡単です。
イレクターパイプで自転車を固定するのですが、これがなかなか良くできました。峠道でもびくともしません。自画自賛です(笑)。
他には、ベッドの足元に棚も自作しました。乾燥ファンを兼ねた自転車用ヘルメットも固定しています。
マキタの扇風機も、夏場にサーキュレーターとしてエアコンと併用しながら車内を効率よく冷やせるように固定。樹脂製の蝶ネジで簡単に取り外しできるようにしています。
マキタの扇風機ですが、最近スノーピークバージョンも発売されたようなので、お好みでチョイスされると良いかもしれません。
―付けて良かったと思うオプションはありますか?
オプションの120Lタンクは便利です。
約1,200kmは無給油で走行できるので、高速のガソリンスタンドで給油することなく、下道の格安ガソリンスタンドを使えるのも嬉しいです。付けて大正解でしたね。
ちなみに燃費は平均で11km/Lほどです。10km/Lを下回ることはありません。これは、油圧を用いて自動で変速してくれるロボダイズ式の6ATの効果だと思います。
運転がちょっと苦手な人がシフトチェンジをしているような変速ショックはありますが、慣れれば気になりません。
シフトアップとシフトダウンは、マニュアルでも可能で、ダウン時はきちんとブリッピングして回転を合わせてくれます。
ディーゼルエンジンなのですが、ちょっとレーシーな感じがして気に入っています。
フレキシブルに予定を組んで週末と連休の車旅を楽しむ
―キャンピングカーで普段どんな楽しみ方をされていますか。
子育てが終わったこともあり、土日と大型連休は、ほぼ毎回車旅に出かけています。
車中泊なのでホテルの予約が不要なこともあり、お天気にまかせて北から南、西から東と、自由きままに移動していますね。
リビングストーン5の長さは6m近くありますが、観光地でも、意外とどこでも車を停められますよ。
ただ、混みそうなスポットには開園の1時間前には駐車場に到着するよう心がけています。そうすると、誘導員の方が車体の大きさを考慮して邪魔にならないスペースに案内してくれたりするので、本当にありがたいですね。
旅先では、現地で有名なスーパーマーケットを探して、特産品、お肉、お魚、お惣菜などを買って楽しんでいます。ちなみに、最近は自転車を貸出している観光地が多いですね。
そういったところはサイクリングコースも充実しているので、駐車場に車を停めて、自前の自転車でポタリングをすることも。
「楽しむこと」を最優先にして、天気やシチュエーション次第で、臨機応変に予定を組んでいます。次の連休も今から待ち遠しいです。
―印象に残っている車旅を教えてください。
以前、ハイエースの「FOCSホライズン」を所有していた頃、夫が12日間の長期連休が取れたので、生まれ故郷である北海道を旅してきました。
5歳まで住んでいたものの、それ以降訪れたことがなかったので、懐かしいような新鮮なような感じでした。
6月でしたが気温は-8.4度ととても寒く、季節はずれの雪もチラホラ。夏服しか持っていなかったので、急遽予定を変更してイオンで長袖の洋服を買いました。
その後、函館山からの夜景や山口智充さんのドラマで有名になった旭川動物園へ。
道中の景色はとても美しく雄大で、すべてが絵になる風景でした。
どこまでも続く絶景ロード「ジェットコースターの路」や、CM・ポスターで有名な「セブンスターの木」、「青の池」など、見どころが多すぎて、時間がいくらあっても足りないほどでした。
食べ物も、スープカレーやウニ、白い恋人のソフトクリームなど、おいしいものがたくさんありました。
北海道はとても広く、当初計画していたプランの半分も行くことができなかったです。後で知ったのですが、北海道は東北6県と北関東を足したくらいの大きさなんですね。
今度はオンシーズンに現在のキャンピングカーで訪れてみたいと思います。
自由気ままな車旅の楽しさをもっと知ってもらいたい
―キャンピングカーを取り巻く環境で、今後期待することはありますか。
ほとんどの時間貸駐車場は、車高2.1m以下、全長5.0m以下、全幅1.9m以下の車両制限があります。
我が家のキャンピングカーは全高2.65m、全長5.995m、全幅2.05mなので、すべてオーバーしているのが悩みですね。
道の駅、RVパーク、高速サービスエリアなどで車を停めることが多いのですが、もっと都市型RVパークの数が増えてくれるとうれしいです。
RVパークの数が増えたら、そこを拠点にして、公共交通機関も使いながら世界遺産や文化遺産、ご当地グルメなどを堪能できるので。
24時間いつでもトイレを開放している日帰り温泉や、お酒を提供するお店も増えてくれると良いですね。
今よりさらにコンビニが進出してくれれば、文句なしかもしれません。
―今後の展望を教えてください。
子育てを終えてキャンピングカーライフを始めてから、ちょうど10年になります。
車旅の楽しさは年々増し、趣味も増えました。ハイキング、ワイナリーめぐり、ポタリング、御朱印集め、100名城スタンプ……など、挙げるとキリがありません。
趣味が増えるのに従ってモノもどんどん増えていきますが、楽しいことがたくさんあるので、どうしてもやめられないですね。
今年はさらに釣りにも挑戦する予定です。
今後は、全国のワイナリーめぐりに加えて、北海道と九州を一周してみたいですね。
毎年欠かさず観戦しているバイクレースのMoto GPを、キャンピングカーサイトに泊まってBBQをしながら生で観戦するのも夢の1つです。
ただ、発売30分でチケットが完売するという人気ぶりなので、こればかりはなかなか実現できそうにありません。
あとは、きれいな景色とおいしい空気の中でランチを楽しむことを私たちは「ランチキャンプ」と呼んでいるのですが、今後もいろいろな場所で続行するつもりです。
夫は現役のビジネスパーソンなので、車旅を楽しむのは主に週末と長期連休のみですが、毎回新しい発見と感動、そしてワクワクすることばかり。
自由気ままな車旅の楽しさを、もっと皆さんに知っていただきたいと思います。