バンライフ
【ヨーロッパの都市 vs. 自然】キャンピングカー旅で巡るのはどちらが魅力的か?リアルな体験談をお届け

キャンピングカーで旅をするなら、「都会」と「自然」どちらを巡りたいですか?
私たち夫婦はキャンピングカーでヨーロッパ各国を周遊し、気づけば2年半で21カ国を走破。
大都市の賑わいから、自然の中の静けさまで、さまざまな景色に出会ってきました。
ヨーロッパには、歴史ある美しい都市もあれば、思わず息をのむような大自然もあり、どちらも魅力的。
ただ、キャンピングカーという旅のスタイルで見ると、都市と自然では向き不向きに大きな違いがあります。
今回は、両方を巡った体験をもとに、それぞれの良さや注意点をリアルにご紹介。
最後に、「キャンピングカー旅と相性が良いのはどちらか」私たちの結論をお伝えします。
ヨーロッパ21カ国。都市も自然も巡ってきたけど、キャンピングカー旅だと大きな違いが!

私たち夫婦はキャンピングカーで暮らしながらヨーロッパを旅し、これまでに21カ国を巡ってきました。
イタリアを出発し、フランス・ベルギー・スペインなどの有名観光都市から、ノルウェーのフィヨルド、北極圏のフィンランドやスウェーデン、さらにスイスやオーストリアのアルプス山脈と、実にさまざまな場所を訪れました。
歴史の教科書やテレビの中でしか見たことのなかった、有名都市の観光も、日本では見ることのできない壮大な大自然の中で過ごす静かな時間もどちらも魅力的です。
ただ、キャンピングカー旅というスタイルで見ると、都心と自然では旅のしやすさが大きく違うと実感しました。
キャンピングカーは「移動する家」。
水の補給、ゴミ処理、トイレ、電気などのインフラが欠かせません。
キャンピングカー専用の施設の有無や使いやすさは、行き先選びに直結します。

また、「どこでも自由に泊まれる」というわけではありません。
地域によってはキャンピングカーでの車中泊の禁止や駐車制限があり、守るべきルールもいくつかあります。
ヨーロッパの都市をキャンピングカーで巡る魅力と注意点
ヨーロッパ都市の魅力

歴史ある街並み
ヨーロッパには、歴史の息づく美しい街並みが数多くあります。
多くの都市で旧市街が守られ、地域ごとの雰囲気や建築様式が色濃く残っています。
石畳の路地を歩き、石造りの建築を眺めたりと、ただ散策しているだけでも素敵な発見で溢れています。
世界的な美術館や博物館

美術館や博物館も充実していて、芸術や歴史に触れられるチャンスが豊富。
見学の前後は、マーケットやレストランが並び、名物料理を味わったり、地元の人と会話が弾んだりと、街ならではの文化的な刺激がたっぷりです。
マーケットやカフェでのグルメ体験

市場やカフェで、その地域の伝統的なスイーツや、レストランで名物料理を食べたりと「食」からその国を知るのも魅力的です。
さらに、季節のイベントやフェスティバルも食体験を盛り上げます。
冬はクリスマスマーケットでホットワインを片手にイルミネーションを満喫、夏は音楽祭やオクトーバーフェストで街が一気に活気づきます。
宗教的な伝統行事や地域独自の祭りも多く、その時、その場所でしか体験できない貴重なイベントです。
人との出会い、文化的な刺激が豊富

自然の中のバンライフは天気に左右されますが、都市は「雨でも楽しめる」のが大きなメリット。
美術館・博物館・市場・カフェ・ショッピングなど、どんな天気でも1日をたっぷり使って満喫できます。
さらに、都市にはスーパーや大型ショッピングモール、コインランドリー、DIYショップなど、生活インフラが充実。
旅の合間に立ち寄れば、衣食住の補給ができるのも大きなメリットです。
観光だけでなく、日常の用事もこなせる——都市を旅程に取り込むことで、キャンピングカー旅はより快適で豊かなものになります。
駐車場探し&交通規制

都市に近づくほど、いちばんの課題は「駐車」です。
道幅が狭くキャンピングカーが入れないエリアや、高さ制限のある駐車場が多く、料金も高額(2時間で15ユーロ(約2,500円))。
さらに各地の低排出ゾーン(LEZ)や交通制限区域(ZTL)などの規制もあり、誤って進入すると高額な罰金の恐れがあるため、事前確認は必須です。

都心部での駐車場探しに2時間もぐるぐる回る羽目になった等のエピソードもよく聞きます。
私たちは「Park4night」とGoogleマップで写真やレビューを見て、キャンピングカー可の駐車場を複数チェック。
都心部から少し離れた安全な駐車場に停め、公共交通機関で向かうようにしています。
こうすることで、現地での無駄な時間やストレスを大きく減らせました。
治安面のリスク

観光都市部ほど車上荒らしのリスクが高く、とくにキャンピングカーは「生活用品や貴重品が入っている車」として認識されており、車上荒らしのターゲットにされやすいです。
ローマやナポリ、ミラノ、パリ、マルセイユ、バルセロナ、マドリード、バレンシア、リスボンなどでは被害報告をよく聞きます。
私たちは危険度の高い都市は無理に訪れませんが、行く場合は、以下のような防犯対策を徹底しています。
【防犯対策】
・オートキャンプ場や監視付き・ゲート付きの有料駐車場に停める
・その駐車場や付近のレビューを確認して、安全エリアかどうかチェックする
・外から車の中が見えないように、サンシェードやカバー、カーテンなどで目隠しをする
・人気のない道や暗い通りに車を停めない
・貴重品は車内に残さず、一緒に持ち歩くか、車内にセーフティーボックスなどの隠し場所を作る
ヨーロッパの都市には魅力がたくさんありますが、キャンピングカー旅では準備と立ち回りが結果を左右します。
事前の情報収集と、慎重な行動さえ押さえれば、都市滞在も安心で快適に楽しめます。
ヨーロッパの自然をキャンピングカーで巡る魅力と注意点
ヨーロッパ自然の魅力

ヨーロッパを旅していると、壮大な山々、静かな湖畔、どこまでも続く森、そして美しい海岸線など、ただ走っているだけでも息をのむような絶景に出会うことがよくあります。
そんな自然の中をキャンピングカーで巡る旅は、まさに「非日常的な暮らし」を体験できる贅沢な時間です。
私たちは都市よりも自然エリアを選ぶことが多く、田舎町や自然エリアには無料で利用できるキャンピングカー施設の車中泊スポットも多くあり、低コストでのびのびと過ごせるのが魅力です。

さらに自然の奥地に入り込めば、人の目も気にせず、絶景のエリアを見つけることも。
ホテル滞在ではなかなか味わえない、「五つ星ホテル顔負け」とも言えるような絶景に囲まれての車中泊は、それだけで忘れられない思い出になります。

印象に残っている場所は数え切れません。
夏のドロミテでは2カ月間滞在しハイキングへ出かけたり、山の景色の中で最高に癒され、スイス・アルプスでは雪をかぶった山々を眺めながらの静かな車中泊を楽しんだり、ポルトガルの海沿いでは、波の音に包まれながら過ごしたり、スペインの砂漠地帯では夕焼けに染まる大地を見つめて一日を締めくくりました。

なかでもノルウェーは別格。
手つかずの大自然が広がる国で、自然享受権(Allemannsretten)のおかげで、決められたルールの範囲内であれば、大自然のど真ん中で自由に車中泊が可能です。

私たちはフィヨルドの近くや雄大な山の景色の中で車中泊をし、夜にはオーロラを見るという貴重な体験をしました。
アウトドア派にとってはまさに理想的な環境で、キャンピングカー旅にはピッタリの国だと感じました。
観光地を忙しく巡る旅とは違い、自然の中では心身ともにリフレッシュできるのが大きな魅力です。
好きなときに食事をし、好きなときに眠る、そんな自由な暮らしが、キャンピングカー旅ならではの楽しさだと感じています。
自然の中での注意点
ライフラインが限られている
自然エリアでは、スーパーやコンビニなどの買い物スポットが近くにないことがほとんどです。
山間部や田舎ではショップが数十キロ先ということもあるため、滞在日数に見合う食料や飲料水をしっかり把握して計画的に行うのが重要です。
電波が届かない。緊急時に助けを呼ぶのが難しい
自然エリアや山間部は携帯電波が届かないこともあります。
万が一に備え、事前に電波状況を調べ、オフライン地図をダウンロードしておくと安心です。
天候の急変に要注意
自然エリアでは、天気が変わりやすく、なかでも山岳地帯は晴天から一気に雷雨に一変することが珍しくありません。
キャンピングカーは外気の影響を受けやすく、風や雨の直撃をもろに受けてしまいます。
実際に私たちも、ドロミテ山脈に滞在中、夜に突然の雷と雹に襲われました。
雷が真上で何度も鳴り響き、雹が屋根を激しく叩き続け、車内にいても恐怖を感じるほどの嵐でした。
山中で逃げ場もなく、あのときは「もしも倒木や落石があったらどうしよう」と、ただ夜が明けるのを祈るしかなかった経験があります。
自然の中に入るときは、事前に天気予報をチェックすることはもちろん、急な悪天候にも対応できるよう、早めに安全な場所に移動する意識が大切です。
【結果】キャンピングカー旅するならやっぱり自然が一番!

2年半以上ヨーロッパを走り続けてきた私たちが出した答えは…「やっぱり、自然の中での車中泊がいちばん快適で楽しい!」ということ。
もちろん、都市には魅力がたくさんあります。
ただ、実際にキャンピングカーで都市部を訪れてみると、駐車や治安、騒音、交通規制など、どうしてもストレスが多くなりがち。
窓を開けるのにも気を遣い、のびのびと「車中泊を楽しむ」という感覚からは少し遠ざかります。
観光都市は、ホテル滞在や公共交通などのほうが向いていると感じます。
その点、自然エリアでは、テーブルや椅子を外に出して食事をしたり、朝起きて窓の外に広がる絶景を眺めながらコーヒーを淹れたり。
「移動する家」としてのキャンピングカーの魅力を、最大限に引き出せます。
おすすめの旅のスタイルは、都市は食料などの補給をしつつ、「スポット的」に短期間だけ楽しみ、旅のベースは自然エリアに置くという巡り方です。
そうすることで、心身ともに無理なく、キャンピングカー旅の魅力を最大限味わえます。