大問題?たいしたことない?キャンピングカーの駐車場問題
キャンピングカー購入の「障壁」に駐車場問題を挙げる人は多い。
「こんな大きな車、停められない」「周辺の道路が狭い」…など、その理由はさまざまだ。
ところが、詳しく話を聞いてみると、今現在乗っている車がけっこう大きなワゴン車だったりもする。
キャンピングカー=大きい車、という誤解や思い込みで問題を難しくしていることがままあるのだ。
そもそも「本当に大きい」のか?
軽キャンピングカーやコンパクトバンコンで駐車場に悩む人はいないだろう。こうしたお悩みは、バンコンやキャブコン以上のサイズ特有の問題といえるだろう。
キャンピングカーショーなどでよく見かける言葉に「2×5サイズ」というのがある。
これは全幅2m×全長5mのことで、一般的な駐車場の枠の大きさを示している。
ごく普通の駐車場枠に収まる車ですよ、ということだ。実際、月極駐車場を設計する際の車室の幅は、2.4mから2.5m以上、奥行きは5m以上が適切だとされている。
さて、理屈上は停められるはずだとわかっていても、ことはそう簡単ではない。
ご存知の通り、適切な位置に収めるには細かな切り返しも必要なのだから、車室周辺に十分な余裕が欲しいと思うのも当然だ。
そこで問題になるのが、その車がどれだけ細かく動けるか(=最小回転半径)だ。
意外に思われるかもしれないが、実はキャブコンのベース車両は小回りが得意。
例えば、トヨタ・カムロードの最小回転半径は4.9mだが、タクシー専用車両のトヨタ・JPN TAXIは5.3mもある。トヨタ・アルファードはもっと大きくて5.6mだ。
白くて背が高くて大きく見えるキャンピングカーだが、実は小回りの点ではそんじょそこらのワンボックスカーよりも機敏なのだ。
そう考えると(高さの問題を無視すれば)「アルファードが停められる駐車場なら大丈夫」と言いかえることもできそうだ。
ちなみに、どうしても駐車スペースに不安がある場合は販売店に相談すればいい。
実車を持ってきて、無理なく入庫できるかどうか、テストをしてくれるところがほとんどなのだ(実際「うちに停められるなら買う」という人は案外多いらしい)。
二台持ちしなくて大丈夫?
「キャンピングカーと普段使いの車と2台持つのは無理!」
これもキャンピングカー購入をためらう理由のひとつだ。
どんなキャンピングカーを選ぶかによるが、キャンピングカー=普段使いできない車、と決めつけるのは少々早計だ。
先に書いたとおり、平面駐車場なら大抵の駐車場に停められる。
実際、筆者の行きつけのスーパーマーケットには、知っているだけでキャブコン2台、バンコン1台の常連客がいる。通勤に使っている知人も複数いるし、近くにあるタイヤ工場の従業員駐車場に、何台かキャンピングカーが停まっているのも見かけている。
行きつけの店や通勤先に立体駐車場しかない、という場合を除けば普段使いと兼用しても差し支えない。
そのことに気づいた人は、そうやって日常の移動に利用しているのだと思う。
まして居室は広々としていて快適なキャンピングカー。中には通勤に使って、昼休みは駐車場で昼寝するという人までいる。
大型のキャンピングカーが欲しいのに…?
大型のキャンピングカーに乗っていると、まず聞かれるのが「普段どこに置いてるんですか?」。
実はこれにも、ちゃんと解決策がある。
一部の地域を除き、車両の登録には車庫証明が必要で「使用の本拠(自宅等)」から半径2km以内に駐車場を用意しなくてはならない。
都市部に住む人が大型キャンピングカーを持ちにくいのはそのせいだ。
倍額支払って2枠借りるか(それも貸主が許可してくれればの話)、それだけの広さの土地を探さねばならない。
そこで、救済策が用意されているのである。
全長5.7m以上・全幅1.9m以上で、車検証の“車体の形状”が「キャンピング車」となっている車両(自走でもトレーラーでも可)に限り、「認定されたキャンピングカー専用駐車場」が利用できる。
この「認定されたキャンピングカー専用駐車場」は「使用の本拠」からどれだけ離れていても問題ない。
多くの場合、こうした駐車場は大型キャンピングカーの販売店が用意しているので、置き場所に困りそうなら相談してみるのがおすすめだ。
「キャンピングカー専用駐車場」はきちんと鍵のかかるスペースでセキュリティも備わっていることが多い。
販売店直営なら、キャンピングカーに理解のあるスタッフがいてくれるのも心強い。購入した店の駐車場なら、ちょっとした修理や異変のチェックなども頼みやすい。
自宅からいったん駐車場まで行って、荷物を積み込む必要がある、などの手間こそあるが、それで快適な大型キャンピングカーが維持できるなら悪くない選択肢である。
地味に悩ましい、キャンピングカーの置き場所問題。
まず最初は販売店などで試乗させてもらって、運転の感覚を体験してみること。大きさへの誤解と先入観を解くことから始めてみよう。