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車旅に潜む『エコノミークラス症候群』の予防策をご紹介



皆さんはエコノミークラス症候群という言葉をご存知のでしょうか?

飛行機によく乗る方や、車中泊をよくする方であれば一度は耳にしたことがある方も多いと思います。

私自身、看護師として医療現場で働く中で何度か実際に見てきたこの病気は、症状が悪化すると命の危険を伴います。

そこで今回は車旅に潜むエコノミークラス症候群とその予防策についてご紹介していきたいと思います。

車によく乗る方は是非最後まで読んでみてくださいね。

エコノミークラス症候群って?


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ニュースなどでよく耳にする「エコノミークラス症候群」の正式名称は「肺血栓塞栓症」や「静脈血栓塞栓症」と言います。

長時間同じ姿勢を保ち続けることで、心臓から1番遠い足元の血流の循環が滞り、心臓に戻る血液中(静脈)に小さな塊(血栓)ができやすい状態になります。

そして、同一体勢から急に立ちあがるなどして循環の巡りが改善されると、血液とともに流された小さな血の塊(血栓)が肺の血管に詰まってしまうことで起きる病気です。

これは、長時間狭い飛行機や車内で座り続けたり、車で横になった状態でも足を動かさずベッド上で安静にしすぎたりする時などに特に起きやすい病気になります。

そして発症期間としては、同一体勢が長時間続いた直後に症状が出る方もいれば数日後に発症するケースもあります。

どんな症状があるの?




足の静脈に血栓ができてしまった場合の初期症状は、足がむくんだり、赤くなって腫れたり、痺れや痛みが出現することが挙げられます。

特に片足のみに症状が起こることが多くみられます。

しかしあまりに小さな血栓の場合は無症状のケースもあるので注意しましょう。

そして万が一血栓が肺の血管に詰まってしまったときの症状として1番多いのは突然起こる息苦しさです。

そして次に多いのが息を吸うときに胸が痛くなる症状。

胸の痛み程度としては差がありますが、胸の違和感や不快感、背中の痛みとして感じる方もいます。

その他にも咳や血痰、動悸、冷や汗が出現する方もいますが、1番重大な症状は、心臓から流れる血液量が減ることで血圧が低下し起こる失神やショックです。

病状が極めて重い場合は、突然死することもあるため、これらの症状がみられた際はすぐに病院を受診しましょう。

どんな人がなりやすいの?


エコノミークラス症候群は足元の血の巡りが滞ることで起こる病気のため、以下のような方は特にリスクがあり注意が必要ですよ。

・肥満傾向の人(BMI>25)
・60歳以上の人
・下肢静脈瘤のある人(血管のコブ)
・悪性腫瘍(がん)を患っている人
・過去に深部静脈血栓症、心筋梗塞、脳梗塞等を起こした事がある人
・経口避妊薬(ピル)を使用中の人
・妊娠中または出産直後の人
・生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症等)を患っている人
・過度のストレスや喫煙している方
・妊娠中、出産後



エコノミークラス症候群を予防しよう


エコノミークラス症候群についてご紹介してきましたが、ここでは具体的な予防法をご紹介していきたいと思います。

普段から足(ふくらはぎ)の筋力を鍛えておく


足トレ

足下半身を流れる血液は通常、重力に逆らって心臓に戻る必要がありますが、そこで手助けするのがふくらはぎの筋肉です。

そのため、人のふくらはぎは第二の心臓とも呼ばれており、ふくらはぎの筋肉量が少ない人ほど、足元の血流が悪くなりやすい傾向にあります。

足元の血流が悪いと血栓形成の原因となることもあるので、普段からふくらはぎなどの足の筋肉を無理のない程度に鍛えストレッチしておくことをお勧めします。

簡単な方法としては、以下のようになりますのでふとした瞬間にやってみて下さいくださいね。

①起立した姿勢でつま先をつけ踵を上下させる

<やり方>
1.起立した姿勢で足を肩幅に開き、真っ直ぐ立つ
2.背筋を伸ばし、踵をあげる
3.限界まで踵を浮かせたら、1秒キープ
4.息を吐きながらゆっくりと踵をおろす(地面に着けても、ギリギリのところで浮かしたままでも可)
5.無理のない程度に繰り返す

②座った状態踵の上げ下げ

<やり方>
1.足が浮かない程度に椅子に深く座る
2.足が床に対して垂直になるようにする
3.背筋を伸ばして、ゆっくり踵をあげる
4.踵を限界まで上げたら、1秒キープ
5.息を吐きながら、ゆっくりとおろす(地面に着けても、ギリギリのところで浮かしたままでも可)
6.無理のない程度に繰り返す

水分補給をしよう


水

身体が脱水症状になると、血液の巡りが悪くなり血栓ができやすい状態になると考えられています。

そのため、エコノミークラス症候群を予防するためには定期的にしっかりと水分補給を行うことが大切です。

車中泊の際にコーヒーやお茶、お酒を飲む方は、利尿作用によって体内の水分が排出されやすく、血管内の脱水を助長してしまう恐れがあります。

そのため、車旅の際はこまめに水やイオン水をしっかり飲むように心がけ、トイレは我慢せずに定期的に行くようにしましょう。

弾性ストッキング・弾性靴下を履こう


ストッキング

着圧機能を持つ弾性ストッキングや靴下を着用することで、足先から心臓への血液の戻りを助けエコノミークラス症候群の予防につながります。

着圧の強さはメーカーにもより、医療用弾性ストッキングであれば効果はより期待できますが、サイズさえ合っていれば市販の着圧ストッキングや靴下でも構いません。

サイズ選びをする際は足首やふくらはぎの太さを測り、しっかり自分の足に合わせたものを着用した方が効果は得られます。

また踵をしっかり合わせるなど正しい着用方法を把握する必要があるため、使用する際は、使用上の説明書を見てから着用しましょう。

丈の長さは様々で、膝までのものや、太ももまでのもの、腰までしっかり履けるものなどがあり、足の先が開いているものもあります。

夏場や弾性ストッキングを履いたことがない方にオススメなのは、膝下までの丈の長さのものです。

私は普段、靴を履いて運転する際はつま先までしっかりあるものを選び、車中泊で寝る際は蒸れを予防するためにつま先がないものを選ぶようにしています。

もし購入した弾性ストッキングを履いてかゆくなる場合は、素材が合っていないかもしれません。違うメーカーのものを試したり、皮膚の弱い方は木綿製の弾性ストッキングもオススメです。

元々動脈の血行障害がある方や糖尿病などの持病ある方は、かかりつけ医師の説明や使用上の注意をよく読んでから使用するようにして下さいね。






適宜休憩して足のマッサージや運動をしよう


マッサージ

車の運転を長時間するとそれだけエコノミークラス症候群のリスクが高まります。

そのため、2時間以内に1回は下記のような運動やマッサージをするなどして足元の血流を良くするように心がけてみてください。

・足の指を開いたり閉じたりを繰り返す
・座った状態で踵の上げ下げをする
・車から降りて起立した状態で踵の上げ下げをする
・足首を回す
・足首からふくらはぎのリンパの流れに沿って軽く揉んでマッサージする
・横になり、バスタオルなどを丸めたものを足の下に敷き、足を上げて休憩する
・仰向けになり、片足ずつ足を垂直に上げる

車中泊するなら平らな場所に止めて横になろう


平らな場所

車中泊時の睡眠時に大事なことが平な場所で寝ることです。

斜面で寝てしまうと熟睡できない上に、重力も一方に偏ってしまうため、睡眠姿勢は足と体を水平にすることがポイントです。

足を上げて寝るのも血栓予防には役立ちますが、ずっと脚を上げて寝ると腰に負荷がかかるので、就寝時は斜面のない平な場所で真っ直ぐな姿勢でねるようにしましょう。

まとめ


いかがでしたでしょうか?

今回はエコノミークラス症候群の予防策についてご紹介しましたが、キャンピングカーであれば足の血流が悪くなる前にすぐに横になることができ、足を伸ばせるスペースが確保されていることが多いため、エコノミークラス症候群も予防しやすいといえます。

そして、この病気は起きてしまってからは怖い病気になるので、日常的に第二の心臓であるふくらはぎの筋力を鍛えつつもストレッチをするなどしてほぐしてあげて下さいね。

皆さんにとって今回の記事が少しでもお役に立てれば幸いです。