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タイヤの適切な温度

「タイヤが温まっていない」って何?事故を誘発するタイヤと温度の関係性とは



一般車用のタイヤでも作動温度は60℃~80℃

自動車レースの最高峰、F1で使用されるタイヤは、乾燥路面用に5種類用意されています。

タイヤがグリップをする温度(作動温度)は、最も低いもので85℃程度、最も高いもので140℃程度を想定して作られており、作動温度の幅(領域)は20~30℃程度です。

レース用のタイヤは、非常に高い温度にならないと、性能を発揮してくれないことが分かります。

対して、私たちが普段乗っている車に装着されたラジアルタイヤは、どうなのでしょうか。

タイヤメーカーの関係者に取材すると、最も性能が発揮されるのは60℃~80℃程度という回答が得られました。

レーシングタイヤでは20℃程度と狭かったタイヤの作動温度領域については、サマータイヤが7℃~100℃程度になるといいます。

120℃を超えるとゴムが溶け出すため、タイヤが高すぎる温度のまま走行するのは危険です。

レーシングカーほどではありませんが、一般車用のラジアルタイヤでも、タイヤが冷えていればグリップ力は落ちます。

市街地を走行する速度では感じにくいですが、エンジンが温まっていない始動直後は、タイヤの準備運動も終わっていません。

エンジンと同様に、10分ほど走行すればタイヤは温まり、本来の性能を発揮してくれるでしょう。

温度が高すぎる・低すぎるタイヤで走行するのは危険

パンク

夏になると、強い直射日光の影響で、道路表面の温度は60℃を超える状態になることもあります。

このような路面状況で、長時間高速道路を走り続けるような状況になると、タイヤの温度が高くなりすぎる事もあるのです。

一般車の場合、タイヤ温度の上昇でグリップが極端に落ちることはありません。

しかし、タイヤ空気圧を高める事に繋がります。そして、温められたゴムが柔らかくなり、タイヤの強度が下がっていく可能性も出てきます。

内側から膨張するタイヤを支えきれずに、傷やひび割れなどの弱くなった部分から、タイヤがバースト(破裂)する危険があるのです。

夏の長距離ドライブでは、事前の空気圧チェックと、タイヤに傷やひび割れなどがないか、点検をしっかり行うことが重要になります。

タイヤ

©New Africa/stock.adobe.com

また、寒い時期も注意が必要です。サマータイヤの作動温度領域が7℃程度を最低値としていることを、先ほど説明しました。

つまり、外気温や路面温度が7℃を下回った状態では、雪や氷が無くとも、サマータイヤでは、車がスリップしやすい状況になるということです。

外気温が低い状態でも、一定時間走行してタイヤの温度が上がれば、作動温度領域に入ります。

しかし、市街地走行ではタイヤの温度上昇幅は小さく、少し停車時間が長くなると、すぐに冷えてしまうものです。

タイヤが冷えればグリップ力が落ち、車が危険な状態で運転を強いられることになります。

冬場に外気温が10℃を下回るような地域では、積雪の有無に関係なく、スタッドレスタイヤを準備し、気温の低下とともに履き替えることをおすすめします。

レーシングカーほどシビアではありませんが、走行前・走行中・そして走行後のタイヤ温度を知っておくことは重要です。

車と地面を繋ぐ唯一の存在であるタイヤを気遣えると、運転の安全性を、より一層高めることができるでしょう。

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ライター:Red29