知識
【路上駐車】駐車禁止になるorならないケースから迷惑路駐の通報方法まで

路上駐車とは?駐車の定義

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道路上に駐車する行為を路上駐車と呼びます。
私道以外の道路は公共の場であるため、法律で定められた方法を守らずに路上駐車すると取り締まりの対象となります。
路上駐車による処罰を避けるには、道路交通法に定められた駐車の定義やルールを知ることが肝要です。
駐車の定義とは?
駐車とは、一定の場所に車を留める行為です。
道路交通法の第2条では、「車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること」を駐車と定義しています。
また、5分以内の貨物の積み卸しや、人の乗り降りのための停止は、駐車にあたらないと道路交通法に規定されています。
これら短時間の停止(駐車以外の停止)は、道路交通法では「停車」の扱いになります。
駐車禁止となる路上駐車

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路上駐車が禁止されている場所
道路交通法では、特定の場所での路上駐車を禁止しています。
駐車ができない場所としてわかりやすいのは、駐車禁止の標識や道路標示のある道路です。
青地に赤い斜線が入った標識は駐車禁止を、青地に赤いバツ(×)が入った標識は駐停車禁止を表します。
また、歩道端の黄色い点線は駐車禁止を、黄色い実線は駐停車禁止を表します。
上記の標識や道路標示が目に入れば、その場所には駐車できないと即座に判断できるでしょう。
注意したいのは、路上駐車が禁止されており、かつ標識や道路表示がない場所です。
次の条件に該当する道路では、標識や道路標示の有無に関わらず駐車ができません。
場所 | 範囲 |
軌道敷内(路面電車の線路部分) 踏切内 坂の頂上付近 勾配の急な坂(10%勾配以上の坂) 交差点内 横断歩道 自転車横断帯 トンネル内※いずれの場所も駐停車禁止 | 全区間 |
火災報知器の周囲(駐車禁止) | 1m以内 |
駐車場・工場などの自動車用出入り口付近(駐車禁止) | 3m以内 |
交差点の側端付近 曲がり角付近 横断歩道または自転車横断帯の前後※いずれの場所も駐停車禁止 | 5m以内 |
道路工事区域の側端付近 消防用機械器具の置場の側端(または出入り口)付近 消防用防火水槽の側端(または出入り口)付近 消防用防火水槽の給水口と吸管投入孔の周辺 消火栓の周辺 指定消防水利の標識周辺※いずれの場所も駐車禁止 | |
バス停付近(運行時間中) 踏切の前後※いずれの場所も駐停車禁止 | 10m以内(バス停付近は半径10m以内) |
駐車すると車両右側の車道の余地が3.5m未満となる場所(無余地場所) ※駐車禁止 | 全区間 |
消火栓や防火水槽の付近には標識が立っているので、駐車禁止場所の目印にするとよいでしょう。
バス停付近については、停留所の前後ではなく周囲10mが駐停車禁止となります。
道路の幅によっては、バス停の反対車線側も駐停車禁止となるので注意してください。
無余地場所とは?
上記の表に記した「無余地場所」について捕捉しておきます。
車道の左側端に車を停めた際に、路側帯(歩行者の通行スペース)を除く道路の余地が3.5m未満となる場所には駐車できません。
また、路側帯に車を入れて駐車できる場合もありますが、条件が次のように限定されています。
実線1本で車道と区切られており、かつ幅75cm以上の余地を残せる路側帯であれば、駐車スペースとして利用できます。
このほかの路側帯を駐車に使うと、道路交通法違反となるので注意しましょう。
駐車余地の標識に注意
「駐車余地」の標識がある道路では、標識で指定された余地をとれないと駐車できません。
たとえば「駐車余地6m」の標識がある道路では、車両の右側に6mの余地を残すことが駐車の条件となります。
このように、駐車の際に確保すべき車道の余地が変わる場所もあるので、道路標識はよく確認するようにしましょう。
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合法?駐車禁止とならない路上駐車

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駐車方法を標識で指定している場所
青地に「P」と書かれた丸い標識のある道路(時間制限駐車区間)では、標識で指定された時間の範囲で路上駐車できます。
たとえば、Pの上に「9-19」右下に「60」と書かれた標識がある場所では、午前9時から午後7時の時間帯に、連続60分間まで合法で駐車することが可能です。
ただし、時間制限駐車区間に駐車する際は、有料のパーキング・メーターもしくはパーキング・チケット発給機を使用しなければなりません。
これら設備を使わずに駐車すると、標識に書かれた時間内であっても道路交通法違反となります。
補助標識は要確認
駐車可能な区間を示す標識には、時間制限駐車区間の標識のほかに、駐車可の標識(青地にPと書かれた四角い標識)があります。
これら標識のある場所に駐車をする際は、補助標識をよく確認しましょう。
駐車できない曜日や期間、駐車できる車両の種類などが補助標識で指定されている場合は、表示に従う必要があります。
たとえば、「日曜・休日を除く」「1月1日〜3日を除く」と補助標識に書かれている場合は、日曜日と休日および正月三が日はその場所に駐車できません。
また、補助標識に「標章車専用」と書かれている場合、その場所には「高齢運転者等標章」を持つドライバーだけが駐車できます。
標章を持たないドライバーが標章車専用の駐車区間に車を停めると、ほかの場所で駐車違反した場合より厳しい処罰が科されるので要注意です。
標識の指定時間外は駐車できる?
時間制限駐車区間では、標識で指定された時間外になると、パーキング・メーターやパーキング・チケットを使えなくなります。
では、駐車設備の稼働時間外となった場所には駐車できないのかというと、そうとは限りません。
時間制限駐車区間の標識のほかに駐車禁止の標識が設置されていない場合は、駐車設備の稼働時間外は駐車可能となります。
ただし、道路交通法で駐車禁止となっている場所には駐車できませんし、車庫法違反となる長時間駐車もできません。
駐車設備の稼働時間外となった場所に駐車する際は、その道路本来の規制をよく確認してください。
指定された日時だけが駐車禁止の場所
駐車禁止標識の上部に規制時間が記してある場合、指定時間外になると、その道路は駐車可能となります。
たとえば、駐車禁止標識の上部に「19-9」と書いてある場合だと、午後7時〜午前9時以外の時間であればその道路に駐車できます。
ただし、交差点付近や消防設備付近などの駐車禁止場所への駐車や、違法な長時間駐車はできません。
住宅街など家の前の路上駐車を通報する方法

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違法な路上駐車は通行者や近隣住民に迷惑をかけます。ときには家の前や自宅近所に路上駐車をされて、自身が迷惑を被るケースもあるでしょう。
こうした場合には警察に通報すれば、状況に応じた対処をしてもらえます。
駐車車両により通行ができない、または事故が起こりかねない、といった緊急対応を要する状態になっているなら、110番に緊急通報するとよいでしょう。
一方、緊急性が低い路上駐車や、常習的な路上駐車で困っている場合は、所轄の警察署や警察相談専用電話(#9110)に連絡すると相談に乗ってもらえます。
路上駐車を通報する際に準備すべきこと
路上駐車の通報を行う際は、警察がスムーズに対応できるように事前準備をしておきましょう。
具体的には、次のような情報を収集して、警察に伝えられるようにメモにまとめてください。
- 路上駐車している場所の住所や目印
- 路上駐車している車のナンバー
- 路上駐車している車の車種(メーカー、色など)
上記3つの情報があるか否かで、警察の初動にかかる時間が大きく変わります。
路上駐車している場所の住所がわからない場合は、スマホの地図アプリを活用するとよいでしょう。
地図アプリで駐車車両の近くの建物をタップすると、その建物の住所がわかります。
路上駐車を通報された場合はどうする?
駐車禁止の場所にうっかり路上駐車してしまい、近隣住民に通報される場合があるかもしれません。
路上駐車の通報が警察に入ると、警察官が現場に来て、拡声器でドライバーを呼び出します。
警察に呼ばれたからといって、必ずしも取り締まりを受けるわけではありません。
その場ですぐに車を動かせば、口頭での注意だけで済む場合があります。
一方、警察官の呼び出しに応じられなかった場合は、放置駐車確認標章(黄色い張り紙)を車に貼られる可能性があります。
放置車両確認標章が貼られた場合、運転者もしくは車の持ち主が処罰を受けなければなりません。
故障中の張り紙をしても取り締まられる?
車の故障により、やむを得ず駐車禁止の場所に停車することもあるでしょう。
この場合もドライバーが車を離れると駐車違反となります。
車に「故障中」の張り紙をしたとしても、取り締まりの対象からは除外されません。
車の故障で停車した場合は、その場でJAFやディーラーなどに連絡をして、車の付近で待機しましょう。
路上駐車を通報されて警察が来ても、事情を説明すれば取り締まられずに済む場合があります。
路上駐車の罰金と違反点数

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路上駐車に対する処罰は変則的であり、ドライバーが出頭するか否かで、処分の内容が変わります。
ドライバーが出頭した場合や、現場でドライバーが検挙された場合の処罰は次のとおりです。
標章車専用の駐車区間に一般車両を駐車して取り締まられた場合は、通常よりも反則金が2,000円高くなります。
また、長時間駐車による車庫法違反で検挙された場合は、次のように重い処罰が科されます。
車庫法違反に対する違反点数以外の処罰は、行政処分である放置違反金ではなく、刑事罰にあたる罰金となります。
刑事罰が科されると、前科がつくことになるので要注意です。
駐車違反は出頭しないほうが得?
放置車両確認標章を貼った時点では、警察は車両のドライバーを把握していません。
このため、駐車違反をした当人が警察に出頭しなかった場合は、放置車両の持ち主に違反金納付書が送付されます。
車の持ち主が違反金を納めれば処分完了となり、ドライバーに違反点数が付きません。
これだけを聞くと、放置車両確認標章を貼られても出頭しないほうが得なように思えます。
ただし、駐車違反で出頭しない行為を半年間に何度も繰り返すと、警察により当該車両の使用が禁止されてしまいます。
結果的に、車の持ち主が不利益を被ることになるので注意しましょう。
ハザードを点ければOKではない!正しい路上駐車のやり方

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ただし、間違った方法で駐車した場合は、違法駐車の取り締まり対象となるので要注意です。
「ハザードを点けていれば違反にならない」と考えているなら、認識を改めましょう。
路上駐車する際に守るべきポイントは次の3点です。
- なるべく道路の左側端に沿って停める
- 道路の進行方向に向かって停める
- 道路と平行に停める
この3点に加えて、先に解説した路側帯の駐車ルールも守りましょう。
また、斜め駐車や直角駐車の標識が立っている道路では、標識に従って駐車してください。
駐車中のハザードランプは点けなくてもいい?
駐車中のハザードの使用について、道路交通法では「夜間に5.5m以上の幅がある道路で駐停車する際に、非常点滅表示または尾灯を点けなければならない」としています。
この条件に当てはまらない場合は、ハザードランプを使用する必要はありません。
とはいえ、駐車中にハザードを点けても違法にはなりませんし、点灯させておいたほうが安全な場合もあります。
路上駐車する際にハザードを点けるか否かは、状況に応じて判断するとよいでしょう。
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ライター:MOBY編集部