今さら聞けない?電動自転車・電動アシスト自転車・原付きの違いを解説
目次
各々の利点欠点
運転免許の必要性の有無
軽車両扱いの自転車と特定小型原動機付自転車は運転免許が不要(特定小型原動機付自転車が免許不要なことは個人的には非常に大きな問題を抱えていると思っているが)で、原動機付自転車は運転免許が必要という大きな違いがある。
しかし、この記事の内容は「車載可能なその先の交通手段」についてなので、同乗者は別として基本的にクルマを運転する人向けだ。
運転免許の必要性の有無は、この場ではあまり関係のない話でもある。
本当の類似点と相違点比
特定小型原動機付自転車の交通法規について詳しくは知らないが、原動機付自転車とは制限速度が違うなど異なる部分も少なくはない反面、ナンバープレートの交付を受ける必要があることや、軽自動車税が課税されること、自賠責保険の加入義務があることや通行区分に関してなど、運転免許の必要性の有無以外は自転車より第一種原付に似た部分が多く、使い勝手に関しては、どちらかといえば「原動機付自転車と特定小型原動機付自転車 vs. 自転車(電動アシストも含め)」のような図式になると思う。
通行区分に関して付け加えると、自動車専用道路は自転車(軽車両)が走行できないのはもちろんだが、第二種原付(小型自動二輪)以下は走行不可なので、その点で自転車が原動機付自転車と特定小型原動機付自転車に引けをとることはない。
むしろ、原付が進入禁止でも自転車は可の道路もあるとか、自転車も車道走行が基本だが、場所によっては自転車の走行が許可される歩道もあるなど、自転車の方が有利なケースの方が多いようにも思う。
交通法規に関してはどうなのか?
運転免許の要らない自転車ではあるが、当然ながら公道では軽車両としての交通法規に則って走行しなければならない。
自転車の逆走や信号無視などは街を歩けば日常的に目にする光景だが、これらも立派な交通違反だ。
その他にも一例として、道路交通法第65条 に「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」なんていうのもある。
自転車の活用方法として、例えばRVパークなどにクルマを駐車し、そこから自転車に乗って街まで飲みに行くなんて使い方を思い描いている人もいるのではないだろうか。
そして、原付では飲酒運転は違反になるから自転車にしようと考える人もいそうだが、飲酒後に自転車を運転してクルマまで戻ったら、上記の通り歴とした交通違反だ。
なんとなく自転車が取り締まりなどに関しても一番緩そうなイメージがあるが、高を括ってはいけない。
何に乗っていても違反は違反なので、勘違いしないよう注意が必要だ。
飲酒しても自転車を押して歩くのは問題ないようだが、帰りはタクシーを利用するのもコンパクトにたためる機能を活かした使い方(バッグに収めておかないと乗車拒否されそうで、入っていても拒否される可能性がゼロではないが)の一つだと思う。
走行可能な距離は?
次に気になる人が多そうなのは走行可能な距離についてではないだろうか。
アシストのない自転車は、走行可能な距離が乗り手の体力次第であることは言うまでもないことだ。
それに対して、電動アシスト自転車はアシストのない自転車より漕ぐ力が少なくて済み、電動自転車と電動キックボードは基本的には全く漕がなくても進むので、どちらもアシストのない自転車より体力をセーブでき、それが最も大きなアドバンテージともなっている。
しかし、「電動」の付く乗り物がモーターの恩恵に肖ることができる距離はバッテリー次第だ。
バッテリー切れの際、電動アシスト自転車はペダルだけでの走行も可能で、ペダルが付いていて漕いで進むことのできる電動自転車もある。
しかし、どちらも普通の自転車より大抵は漕ぎ心地が重くなってしまい、バッテリーが切れたらアシストなしの自転車よりハードになってしまうことを肝に銘じておく必要がある。
電気があれば最も体力的に楽をできるのは電動自転車か電動キックボードだが、バッテリーが切れた場合は真逆になることを忘れてはならない。
また、特殊な機構によって合法的に自転車に切り替えられる車両もあるが、普通はナンバーの付いた電動自転車はバッテリーが切れてペダルを漕いでいても自転車扱いとはならないので、その点も注意が必要だ。
電動アシスト自転車と電動自転車を比較した場合はどうかといえば、一概には比較できないことだが、人力+電動よりフルに電動の方が電気の消費量が多いので、電動自転車(特にコンパクトに折りたためるタイプでは)や電動キックボードの方が、電動アシスト自転車より航続距離で劣ってしまう傾向がある。
しかし、クルマに手軽に積んでおけるようなサイズの電動自転車や電動キックボードは、大抵は乗り心地や走行性能があまり長距離走行には向いていないと感じられる乗り物だ。
そして、そもそも「車載可能なその先の交通手段」なのだから、長距離走行に向いた性能と乗り心地を求める必要もないはずだ。
車載可能なその先の交通手段」として考えるならば、それよりも収納性や軽さを優先すべきで、1日20kmも走行できれば十分と私は思うのだがいかがだろうか?
収納性と重さについて
電動キックボードは一般的に自転車より車輪が小さく、これが自転車より収納サイズに関して有利に働く。
しかし、折りたたみ式の自転車(アシストなし、電動アシスト、電動全て)はフレームが真ん中で折れるものが多く、収納時の長さは電動キックボードより短くなるものが多い。
また、電動アシストも電動も折りたたんだ寸法でアシストなしの自転車より不利になることはあまりない。
ということで、収納性ではどれが優っているとは簡単に白黒つけられないように思う。
重ささについては、当然軽い方が有利で、バッテリーのない自転車がこの点では最も有利だ。
そして、一概には言えことだが、似たようなサイズの電動アシスト自転車と電動自転車とを比較した場合、電動自転車の方が若干重くなる傾向があるように思う。
どれがどんな人に合うか?
大雑把にまとめれば、十分な体力がある人なら、充電する必要のないアシストなしのミニベロと呼ばれるようなタイプの自転車がベストだ。
楽はしたいけど、自転車であることの諸々の恩恵にあずかりたい人は電動アシスト自転車となる。
長距離の走行は望まないけど、とにかく体力を温存したい人が電動自転車か電動キックボードといったところではないかと思う。
運転免許を持っていることを前提として比較した場合、原動機付自転車に対しての特定小型原動機付自転車の優位性については、ハッキリ言って今のところ私には全くわからない。
どんな場面で活躍するか
クルマが大きい場合は、道路が細くなってしまうところなら、田舎でも街中でも「車載可能なその先の交通手段」があればとにかく重宝することは容易に想像がつく。
一旦広いところにクルマを停めて、偵察用に使うなんていうのも良いと思う。
では、小さなクルマの狭いスペースを削ってまで積んでおく利点はあるのか?
例え軽自動車であっても、無闇にどこでも停められるわけではないが、行きたいところの近くに駐車できるスペースが全くない場合もあれば、近くに駐車場がない場合もある。
また、小回りの利く乗り物なら、クルマで通過したら見落としてしまうようなものも見落とさずに隈なく見て回ることができる。
自然の中へというより、どちらかといえば私は街へ出かける旅で大いに威力を発揮すると思っている。
また、それとは逆のケースとして、トイレや水場が遠いキャンプ場内などでの移動手段としても活躍するし、オーニングを広げてしまうなど、クルマを移動するのが面倒になってしまった後に、ちょっと買い物に行きたいなどといった場合にも便利だ。
車中泊の可能な駐車場があっても、トイレが近くにない場合もあるが、そんな時にも重宝する。
似たような活用法として、私が普段よく行く海岸の駐車場はトイレからかなり離れているのだが、小は海中でも済ませられても、人気(ひとけ)のあるところで大も海中でというわけにはいかない。
そのため、事故防止(交通事故ではなくて)のため、保険のように普段海に行く際にも私は電動アシスト自転車を積んでいる。
陸上の乗り物だけとは限らない
最後にちょっと番外的な話を。
私の本業はSUPやカヤックを販売することなのだが、フォールディングカヤック(折りたたみの式カヤック)やインフレータブルSUP(空気で膨らますSUPのボード)も、もちろん車内に車載できる。
そして、通常はそれらに乗るためにクルマで出かけるとか、行った先での遊びと考えるのが普通だ。
しかし、どちらも立派な水上の移動手段だ。
これらも折りたたみ自転車などと同列に、クルマで行き着いた先の水上の交通手段と捉えて活用するのも面白いと思う。