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東京キャンピングカーショー2019で感じたキャンピングカーの変遷と注目ポイント

東京キャンピングカーショー2019で感じたキャンピングカーの変遷と注目ポイント

私から見た東京キャンピングカーショー


キャンピングカーショーについてのレポートは色々なところで書かれていると思うので、私がありきたりなイベント報告や、見てきた車を普通に紹介したところで面白くもない。私がどういう視点で車を見てきて、どんなことを考えながら見てきたのかなどを2回に分けて書かせてもらおうと思う。

人によって趣味趣向は違い、車に求める機能や性能も違う。そして、車の使い方も私自身もあまり一般的とは言い難かったりもするため、私の視点や考え方が直接的に参考にはならないかもしれない。

しかし、こんな風に考える奴もいるのかってことが、一般論や見た目や表面的なイメージなどに惑わされずに、自分に合った車を見つけるための触媒のような働きでもして、少しでも役に立てたらと思う。また悪く言うつもりはないが、褒め言葉ばかり並べず、感じたことなどは率直に述べたいと思うので悪しからず。

時代の変遷を実感した


主催者からのプレス向け資料によると、2017年のキャンピングカー総売上合計金額は424億6,975万円で、前年比102.3%(前年:365億4,291万円)、過去10年の出荷台数も右肩上がり、国内の総保有台数が10万台を突破したとある。

キャンピングカー保有台数の推移グラフ

出典:日本RV協会ニュース&リリース



なんだかキャンピングカーを取り巻く世界は凄いことになってきているようだ。会場に行ってまず驚いたのは、日本製の立派でお洒落なキャンピングカーがこんなにも沢山あるのかということ。少し前はもっと輸入車が多かったように思う。さすが400億円オーバーの市場であることを裏付けるような光景だった。

実は30年近く前に、キャンピングカーや特殊車両の架装をしている会社でアルバイトをしていた経験がある。勿体無いなあと思いつつ、コースターの20数人分の座席やら内張りからエアコンの吹き出し口など何から何まで内装を全て外して、がらんどうにしたり(そこから先は各々担当の職人さんの仕事)、身体中チクチクしながら断熱材を詰め込んだりしていたのだが、その頃の国産キャンピングカーは日本独自の雰囲気が色濃く漂い、アメリカやヨーロッパの車とはセンスが大きく異なっていた。

どのメーカーの車を見ても私としては、お世辞にもセンスが良いと思えるものは正直に言えばほとんどなく、内装はなんとなく演歌チックと言うか、カラオケスナック的な雰囲気が漂っているような感じが主流で、若かりし頃の私が国産車で唯一「アメ車みたいでカッコイイ」と思えたのは横浜モーターセールスのロデオだけだった。

横浜モーターセールス ロデオ

出典:ROUTE6



そして、その頃のキャンピングカーメーカーと言うと町工場とか工房といった言葉が似合うようなところの方が多かったように思う。しかし、ちょっと失礼な言い方だが、今回会場で見た光景は、何というか立派な会社っぽいような出展者が当たり前と言うか、自動車メーカーみたいな立派な出展者が多く、そんなところにも時代の移り変わりを感じてしまった。

今回見てきた数々の車の内装に目を向けると、たまに「どうしてここにゴールドの縁取りとかつけちゃうのかなあ。」とか「余計なステッカーなんて貼らない方が良いのに。」なんて残念なものもちらほら見かけた(あくまで私個人の意見)が、全体的にはセンスが格段に洗練されてきていることが感じられ、いかにも日本のドメスティックな雰囲気は薄らいできているように実感した。

キャンピングカーに何を求めるのか?


キャンピングカー 内装

ところで、キャンピングカーは、当然のことだが中で快適に寝られたり食事をしたりといった「生活」ができなければならない。これが基本で、これこそがキャンピングカーの特徴を大きく表す部分であり、キャンピングカーのメーカーもこうした部分に大ききく力を注いでいる。しかし、こうした装備が付くため、当然ながら「普通の車」より車両価格は大幅にアップしてしまう。

ただ普通に旅行するだけの場合、車両(キャンピングカーや車中泊仕様の車)のコストがよほど安くなければ、普通の乗用車や公共の交通機関で移動して普通に宿に泊まった方が快適で、車両代も含めたトータルなコストは少なくて済むと思う。

より純粋にキャンプの雰囲気を楽しみたいならテントを張って寝た方が良い。キャンピングカーの家にいるような快適さは、テントで寝るキャンプの楽しみを奪ってしまっているとも考えられる。大きな荷物がないなら、オートバイの方が屋根のある4輪車よりもっとずっと自由な旅の気分が味わえる。

設備が立派で価格も高いキャンピングカーがズラリと並んでいる光景は、私だって見ているだけでも楽しく、なんだかワクワクしてしまうのだが、逆にキャンピングカーが本当に必要で有効に活用している人って日本にそんなにいるのだろうかと、ふとこんな否定的な考えもよぎってしまった。

しかしこれでは元も子もない。勿論キャンピングカーには大きな魅力があり、そう思うからこうしてキャンピングカーのことを書かせてもらったりもしているのだ。

ということで、私が寝られる車やキャンピングカーに興味があったり必要性を感じる理由と車に求めるもの、選ぶ基準、展示車両のどんなところをチェックしてきたかなども合わせてご紹介しようと思う。

しかし、これは一例に過ぎない。自分にとってのより具体的な必要な理由や要望を整理してから車を選ぶことをおすすめしたいのだが、そのための参考例として活用してもらえたらと思う。


私がキャンピングカーで最も重視する点


アウトドアスポーツやウォータースポーツなどの足&基地としての活用を考える場合は、関連する道具を積むための十分なスペースが必要だ。シンプルに言えば、大きな荷物を運べる車でなければ意味がない。

例えば私の場合は、車内にインフレータブルのSUPのボードやフォールディングカヤックを積めることが必須だ。それがマウンテンバイクやスキー・スノーボードなどの人も勿論いる。

SUP 道具

左が特別に小さくなるタイプのインフレータブルSUP、真ん中が一般的な大きさのインフレータブルSUP、右がフォールディングカヤック。どちらのバッグも大きさが高さ90cm位x 幅40cm位x 奥行25cm位で、ヤマト運輸宅急便や日本郵便ゆうパックの160サイズぎりぎりセーフな程度の大きさだ。たためると言ってもそこそこ大きいが、自転車やオートバイの場合はもっと大きい。

私にとっての必須条件の1つ目が、この写真にあるようなインフレータブルSUP(用途に応じて複数)やフォールディングカヤックと関連の用具やウェットスーツなどのウェア類などを積んだまま車内で寝られることだ。

何も置いていない広い居住空間を見たり、車の周りにいかにもな雰囲気でそういった道具類が並べられた光景を見ると、全部積み込んでも快適な空間が確保されているのではと錯覚してしまうこともあるかと思う。

しかし、冷静になって目の前の実車にそういった具体的な自分に必要な荷物を積んだところを想像してみると、そのままでは寝たり食事したりなんて到底できなさそうな車も意外と多いことがわかる。就寝可能な人数より、実際の人数+人数分の荷物を想像してみることも大切だ。

実際の使用状況を考えると、例えば目的地に着く前に高速のSAとかで車内で寝る際に、荷物を外に出さなければ寝られないのでは全く意味がない。雨が降っていたりしたら、荷物を一旦外に出して整理して寝床を作るなんてこともしたくない。積んだ荷物はそのままですぐに寝られるようになっていなければ、キャンプ場でキャンプを楽しむための車としては役に立っても、実用車にはならないのだ。

そして、第2の条件と言うか理想的だと思うのは、インフレータブルではないSUPのボードを、できれば車の屋根ではなく中に積み、それをどかさなくても寝られることだ。

ハイエース ボード収納

私のキャラバンの車内の天井にはこうして常に9ft(約275cm)のボードが収まっていて、もちろんこのまま寝ることもできる。駐車中にボードの盗難に遭ったり走行中の事故(ボードを飛ばしてしまう)の心配がなく、また長距離を走ってもボードが傷む心配もない。

このためには室内長も必要だが、テールゲートの開く普通のバンだから入れらるけど、ドアの位置や大きさによっては例え車に十分な大きさがあったとして不可能となってしまう。

と言うことで、私の関心事は、居住設備より何より、兎にも角にも十分な積載スペースがあるかどうか。これに尽きる。

そして、私の場合はこれ(SUPやカヤックを扱うこと)が生業だから、仕事の旅の場合は自分の分だけでなく、ボードやカヤックを何本も積まなければならないこともあり、より一層荷物の積載スペースが重要になってくる。そんな視点で見てくるとこんなところに目が行く。

キャンピングカー リアハッチ

これは車体後部の少し高くなったところに横向きの常設ベッドがあり、その下が荷室になっている車。荷室が大変大きく取れていて、私の1つ目の条件をクリアしている。この写真の車はキャブコンだが、「車体後部に横向きのベッドがあって、その下が大きな荷室」は、ヨーロッパ車のバンをベースにした自作のバンライフの車の写真などでも一番多く見られるレイアアウトだ。横向きに寝られる幅のある車なら最も合理的なレイアアウトなのではと思う。

しかし、一つ注意しなければならないと思うことがある。キャンピングカーの設備は重量が重い。設備だけで車に相当に負担がかかっているのに、広い荷室に載せられるだけ重い荷物を積んでしまうと、許容範囲をオーバーしてシャーシが耐えられなくなってしまう可能性もあると思う。

また駆動方式がFFの場合は、駆動輪に十分な荷重がかからずトラクションが不足しまう可能性もある。どちらも非常に危険だ。広い荷室が欲しいと言っておきながら矛盾してしまうような見解だが、車を選ぶ際にはこうしたことも十分確認しておきたいものだ。

キャブコン リアハッチ

上の写真は国産車ベースの小型のキャブコン。後ろに大きく開く扉があり、ここから長いボードの出し入れができそうなところが良い。意外とこういった大きな開口部のあるキャブコンは多くないと思う。ボードを入れた後どこに置くかといった課題は残るが、買える買えないは別として、キャブコンならこのタイプだなと思った。

室内高と全高


キャンピングカー シャワー

絶対必要というわけではないけど、冬に海から上がった際に、できれば温かい室内でウェットスーツも全部脱いで温かいシャワーを浴びられたらと思うことがある。だから、もし私がバンではなくてキャンピングカーに乗るのなら、シャワー室のある車を選ぶことになると思う。しかし、それには相応の高さが必要だ。

立体駐車場は高さ制限が2.3mまでのところが多い。例えば羽田空港の駐車場などがそうだ。それ以下の2.1mとかのところも少なくないが、比較的大きな船橋のIKEAなんかでも2.45mまで(背の高い車用に屋外駐車場もあるが)となっている。この2.3mという高さは、ノーマルのキャリアなども付けていないハイエースやキャラバンのスーパーロング(ワイドボディーでハイルーフ)がギリギリ入る高さだ。

しかし、車高の高いハイエース・キャラバンのハイルーフとは言え、身長が160cm以上ある人が、真っ直ぐに立つことのできる室内高はない。160cmもあれば着替え程度には十分便利な高さで、車内で立って調理したりシャワーを浴びたりするのでなければ必要のない高さではあるが、あんなに大きく見えるハイエースやキャラバンのスパーロングでさえ、室内高はそんなに高くはないということだ。

低床なFFの車だったらどうだろうと思い調べてみところ、ミニバンをハイルーフに改造したで車で、全高ぎりぎり2.3m以内で室内高1.67mの車があった。しかし身長が175cmあるとやはり立つことは無理。現実的には、室内でシャワーを使える車の場合は、駐車場にかなり制約が出てしまうことは覚悟しなければならなさそうだ。

というところで結構長くなってしまったので、この続きはまた次回。

高さに続いて問題となるのが長さと幅。そして、シャワーが使えるか否かは別として、立体駐車場の高さ制限の問題をクリアしつつ室内高を稼ぐ方法としてポップアップルーフがあるが、ポップアップルーフの車も多かったのでポップアップルーフに関しての話。

それと、軽キャンパー・ミニバンキャンパーも多く注目度も高かったので、次回はそんなところを中心に話を進めたいと思う。

笠原 サタン

スポーツカーやピックアップトラックも好きだけど、車を見ると快適に寝られるかどうかを先ずは考えてしまう。 VANと旅と波乗りとネコをこよなく愛するPaddler。