キャンピングカー
【新モデル取材】中古車以上新車未満?ビルダーがつくる新発想キャンピングカー RENO-MOBI/ホワイトハウス

新車のハイエースのキャンピングカーが欲しい。
そう思ってキャンピングカービルダー(メーカー)に注文しても、新車だと2~3年待ちや納期未定と言われることも多い昨今。
その原因の一つとしてベース車となるハイエースがビルダーにもなかなか入ってこないという問題があるようです。
せっかく買おうと思っても、いつ納車になるかわからないのでは困ってしまいますよね。
この問題を少しでも解決しようと大手キャンピングカービルダーであるホワイトハウスキャンパー(以下、ホワイトハウス)が今回打ち出したのが『RENO-MOBI(リノモビ)』。
新しくて良質の中古ハイエースをベースにして、架装(居住)部分は全部新品で製作するというアイデアです。
RENO-MOBI第一号の完成車が2025年7月に開催された東京キャンピングカーショー2025でお披露目されていたので、ホワイトハウス株式会社 キャンパー事業部の石川めぐみさん(以下、石川さん)からお話を聞きました。
RENO-MOBIとは

住宅のリノベーションってありますよね。
大規模な改修によって現状の建物に新たな価値や機能を持たせるという意味です。
この考え方を車(≒モビリティ)に取り入れたのがホワイトハウスのRENO-MOBI。
リノベーション(RENOVATION)+モビリティ(MOBILITY)でRENO-MOBIという造語です。
「当社では新車のキャンピングカーももちろん受注していますが、バックオーダーを抱えていて注文順に製作するので、すでに納車までかなりお待ちいただいている状況。ベースのハイエース自体がなかなか仕入れられないこともあり、これからの新車注文となるとさらに納期が先になる可能性があります。
RENO-MOBIは基本的に中古のハイエースがベース。ホワイトハウスが中古のハイエースを仕入れて、キャンピングカーとしての架装部分を新しく作っていきます。ハイエースは中古車も人気ですが、すでにある車を買い取るので良質の中古車が見つかればすぐに製作をスタート。完成車を販売するのでタイミングが合えば即納できます」(石川さん)
実際に展示していたRENO-MOBI第一号車は、東京キャンピングカーショー2025の初日にその場で売約済みになったとのこと。
購入したのはこれまでホワイトハウスのキャンピングカーを買ったことのある人ではなく、今回の東京キャンピングカーショーの入場者がたまたまRENO-MOBI第一号車を見つけて即決したそうです。
RENO-MOBI第一号車はバンコン・コンパスの進化版

それでは、東京キャンピングカー2025でお披露目されていたRENO-MOBIの第一号車をくわしく見ていきましょう。
このモデルは、ホワイトハウスのオリジナルキャンピングカー・COMPASS(コンパス)がもとになっています。
ホワイトハウスではハイエースをベースにしたバンコンのコンパスシリーズを8種類発売していますが、コンパスはその中でいちばんの定番でありロングセラーモデル。
今回RENO-MOBI用にバージョンアップされています。
ポップアップルーフと出窓が特徴の外観

RENO-MOBIは、外装に大幅な改造を加えないバンコン(バンコンバージョン)タイプのキャンピングカーです。
ベース車は、トヨタのハイエースのワイドミドル。
2年落ち、走行約1万2,000kmの中古車。
2,700ccガソリンエンジンで、駆動方式は4WD。
ただし、ベースが中古車なので、年式や走行距離、排気量、駆動方式などは2号車以降では当然変わってきます。
外観上、通常のハイエースとの違いはまずポップアップルーフが付いていること。

そして車両右側がエクステンションウインドウ(出窓)になっているのが特徴。
ポップアップルーフを閉じている状態では、これがキャンピングカーだとはパッと見てわからないでしょう。

車両サイズは全長4,840×全幅1,920×全高2,090mm。
ベース車となっているハイエースのワイドミドルは全長4,840mm×全幅1,880mm×全高2,105mm。
全長は同じで、出窓が付いているので幅は3cm広いものの、高さはポップアップルーフがあるのにワイドミドルよりRENO-MOBI第一号車の方が低くて、高さ制限2.1mの駐車場もOK。
ハイエースを普段使いする感覚で乗れると思います。
乗車定員は6名。
就寝定員は、後部常設ベッドに2名、ダイネットのシートをフラットにして1名、ポップアップルーフに2名で、計5名となっています。
対面ダイネット、キッチン、常設ベッド……

RENO-MOBI第一号車の室内のレイアウトや装備は既存モデルのコンパスと同じです。
真後ろに向きを変えられるセカンドシートとサードシートで対面ダイネット。
ダイネットの横、運転席側に冷蔵庫(40リットル)とコンロ付きシンク。

最後部には常設ベッドというバンコンタイプのキャンピングカーによくあるオーソドックスな配置です。

「これまでのコンパスにはなかったアカシア材のテーブル天板、新色のフォレストブルーのソファ生地を採用しました。
スイッチ類の配置もこれまでのコンパスのユーザーの要望を反映してより使いやすく見直しています」(石川さん)
↑は既存のコンパスの内装。
RENO-MOBI第一号車と比べて見ると、室内レイアウトはおなじなのにかなりシックな印象です。
クーラー、FFヒーターなども標準装備

完成車の販売ということで、キャンピングカーにぜひ欲しい快適装備があらかじめ付いているのもRENO-MOBIの特徴。
展示車には今や夏の車中泊の必需品とも言える12Vクーラー、キャンピングカーの暖房の定番・FFヒーター、室内照明。
家電類の稼働に必要なサブバッテリー(100Ah×2)、1500Wインバーター。
走行中にサブバッテリーに充電できる走行充電システムまで設置されていました。
さらに、カーテンと網戸(フライスクリーンシステム)も設置済み。
追加装備なしで、夏でも冬でもキャンピングカー旅に出かけられそうです。
気になる価格は

東京キャンピングカーショー2025で展示されていたRENO-MOBI第一号車は、2年落ちでまだ走行1万2000kmのハイエースがベースということもあってか、内装だけでなく外装も言われなければ新車だと思うくらいきれいでした。
展示車の価格は税金などの登録諸費用別で945万円(消費税込み)。
ここ数年のキャンピングカー価格の値上がり具合を考えると、2年落ち、走行1万2000kmのまだ新しいハイエースに新品家具と最新設備ぜんぶ載せのキャンピングカーとしてはリーズナブルだと感じました。
また、登録時の税金が新車に比べて安くなるので、総額費用が抑えられるのもメリット。
「中古車でもハイエースは超人気の上に品薄。ここ最近だと場合によっては新車価格を上回ることもあります」(石川さん)
いきおいハイエースの中古キャンピングカーも高値安定が続いているようです。
そんな中登場したRENO-MOBIは、言ってみれば中古車以上新車未満のキャンピングカー。
『納車まで2年も3年も待てない、誰かが使っていたベッドやソファといった内装はちょっとイヤ、最新の設備がそろっている方がいい』という人には新しい選択肢になるのではないでしょうか。
前述したとおり第一号車は早々に売約済み。ですが次モデルも製作予定ということなので興味がある人はホワイトハウス(0561-37-5336)まで問い合わせてみるといいと思います。
ホワイトハウスキャンパーってどんな会社?
ホワイトハウス(本店・愛知県東郷町)は、もともとはホンダやフィアットの普通車の正規ディーラー。
事業の一環としてオリジナルキャンピングカーの製作も手掛けています。
さらに、車載用クーラー・COOL STAR(クールスター)やエバスペッヒャーのFFヒーターの総販売元でもあるなど、キャンピングカー用の設備・パーツ類も豊富にラインナップ。他社にも供給しています。
キャンピングカー製作では、ハイエースのほか、ホンダのステップワゴンやフリード、トヨタのノア・ヴォクシー、シトロエンのベルランゴなどがベースのモデルを多数発売。
一昨年からはフィアット・デュカトの正規ディーラーにもなり、デュカトベースのオリジナルキャンピングカーも複数リリースしています。
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