猛暑を克服!キャンピングカーのエアコンの賢い使い方
今年も暑い夏がやってくる。それにしてもここ数年の日本の暑さは「酷暑」のレベルだ。
さて、一昔前ならエアコン搭載のキャンピングカーは一部の輸入車に限られていた。しかも、やかましい車載発電機を回すか、容量のある外部入力がないと使えなかった。
ところが最近では、エアコンやバッテリーの進化で、エアコンを搭載したキャンピングカーが増えてきた。さらに、小型の車載専用エアコンも登場し、標準ルーフのバンコンでも搭載車両が登場してきている。
以前にもキャンピングカーのエアコンについてお伝えしたが、今回はエアコンの賢い利用法について考えてみたい。
目次
エアコンの使い方にもコツがある?
家庭用エアコンの使い方に悩む人はいないだろう。難しい操作はいらないのだ。ただスイッチを押せばいい。だが、キャンピングカーの場合はちょっと事情が異なる。
というのも、キャンピングカーの場合「どこで」「どんな条件下で」使うかによって違いがあるからだ。
例えば、RVパークやキャンプ場の電源付きサイトなど、十分な外部電源を利用できる状態ならば、家にいるときと同様に使っても問題ない。しかし、サブバッテリーのみの場合は「いかに電気を節約するか」がポイントになるのだ。
とにかく車を温めないこと!
温度の高いものを冷やすのが一番エネルギー消費が激しいのはお判りいただけるだろう。エアコンとてそれはおなじ。あらかじめ室内の温度をなるべく上げないようにすれば省エネになる。
それには、
1.走行中はカーエアコンをフルに使って車内を冷やす
ご存知の通り、カーエアコンは「車のバッテリー」で稼働する。そして車のバッテリーについては走行充電もできる。もしも『リアエアコン』の付いている車種なら、たとえ人が乗っていなくてもリアエアコンを運転して居室部分の温度を下げておこう。
2.なるべく日差しを避ける
同じ炎天下でも、遮るもののない場所と、木陰や日陰では車内温度は大きく違う。利用できそうな木陰や日陰があるなら、なるべくそういう場所に停めること。
もしもそれが無理だったとしても、オーニングが使える場所なら少しでも日陰を作ろう。そうすることで多少なりとも居室の気温上昇が防げる。
3.断熱シェードを利用する
車に限らず、一般家庭にも言えることがだが、熱が最も出入りしやすいのはガラス部分だ。そのため、断熱性にすぐれた二重ガラスが採用されるのだが、運転席まわりなどは二重ガラスにしようがない。
そこで断熱シェードを利用する。断熱シェードは冬だけでなく夏も大活躍。運転席まわりやバンコンのリアゲートなど、シングルガラスの部分には断熱シェードを取り付けるだけでいくらかでも遮熱できる。
4.カーアンブレラも有効
車用の日傘「カーアンブレラ」はとても有効だ。屋根に載せるので、キャブコンだとちょと設置が大変だが、バンコンなら楽だろう。
とにかく日差しをよけることがポイントだ。
実はエンジンが『熱源』なのだ
次なるポイントはエンジンまわりだ。延々と走った後のキャンピングカーは、エンジンも相当高温になっているのは想像に難くないだろう。
エンジン周りの断熱を
キャンピングカーのほとんどが、運転席・助手席下にエンジンがあるキャブオーバー型だ。車が停止しても、その熱はどうしても車内に伝わってくる。それを防ぐ方法は2つ。
1. 室内をカーテンで仕切る
多少狭い感じがするかもしれないが、少なくともエンジンが冷えるまでの間、運転席・助手席と居室の間を厚手のカーテンで仕切ることで、熱の伝わりを少なくすることができる。また居室の体積が小さくなれば、エアコンの効率もよくなる。
2. 断熱加工をする
カーテンより数段効果的なのが、断熱加工だ。キャンピングカービルダーも「居室の断熱加工」はしていても、エンジン周りの断熱をしているところはほとんどない。自動車メーカーから出荷されたままの状態だ。
自動車メーカーでも簡単な断熱処理はしているが、基本的に「長時間座っていても低温やけどしない程度」のものと考えた方がいい。なので、ここに断熱材を追加してやるのだ。
断熱シートはカー用品店や通販サイトなどで売られているし、トヨタ・ハイエースや日産・キャラバンなどの人気車種は、あらかじめカット加工された断熱材キットもある。
ちなみにこの処理は、夏だけでなく冬にも役立つ。エンジンの熱は冬はありがたいと思われるかもしれないが、いったん冷えると、今度はそこからしんしんと冷気が忍び込んでくる。やはり断熱しておくに越したことはないし、遮音にもなるので一石二鳥なのである。
快適な空間にするために
今時の家庭用エアコンはAI搭載など、非常に賢いものが多い。が、キャンピングカーは特殊な空間である。全体をまんべんなく冷やすにはコツがいる。
温度差をなくす工夫を
キャンピングカーは室内機を取り付けられる場所が限られているため、うまく居室全体に冷気が回りにくいことがある。また、室内に高低差がある(バンクベッドやポップアップルーフの2段ベッドなど)のも問題だ。
「ダイネットは寒いぐらい冷えてるのに、バンクは暑い」というのも珍しくない。そんな事態を解消するには『扇風機』が役に立つ。
12VやUSBで動作する小さなもので構わないので、扇風機を買っておこう。車内の空気を動かしてやることで室内各所の温度差を少なくすれば、エアコンの設定温度を少し高めにしても、体感温度は低くできる。
おまけ情報〜バッテリーへの負荷とコードの使い方
それだけ大きな電力を要するエアコンであるが、さらなるコツをお伝えしておきたい。
おまけ情報1.サブバッテリー
エアコンを外部電源なしに使用すると、サブバッテリーには負担がかかる。
サブバッテリーに使われる『ディープサイクルバッテリー』は、放電した状態(減った状態)で放置すると著しく性能が落ちてしまうという特徴がある。
旅先でエアコンを使ったときは、帰宅後なるべく早く充電するようにしよう。
おまけ情報2.コードリールの使い方
外部電源から電気を引き取る際にドラムリールを使う人は多いと思うが「使用する際にはコードは全て伸ばす」のが正解だ。
一部を巻いたまま使用していると、発熱してしまうので注意したい。被覆が融けてショートしたり、最悪の場合、火災になることも。寝ている間エアコンをかけっぱなし、なんていう場合、トラブルに気づくのが遅れることもある。
外部から電源を引くときは、面倒でもコードは全部出す、と覚えておこう。
そしてもうひとつ。配線コードはどれも同じ、ではない。安価なコードではそうはいかないが、太い配線が使われている品質のしっかりしたものなら、送電中の電圧降下が少なく、エアコンの効率もいいのだ。
ストレスなく旅を続けるためにも、家電製品とキャンピングカーならではの特性を理解しておきたい。