知識
「あれ?ここ周辺のガソリン価格安くない?」価格に地域差が出る要因とは

新型コロナウイルス(COVID-19)の流行が収まらず、生活必需品の物価上昇も続く状況で、ガソリン価格も負けじと1リッターあたりの値段が上がっています。
住んでいる場所のガソリン平均価格が高いから、隣接している都道府県へ行けば安く給油できるのではと考えている人も多いかもしれません。
そもそも、なぜガソリン価格に地域差が存在するのでしょうか。
資源エネルギー庁が公表している「石油製品価格調査」の公表結果を確認すると、レギュラーガソリン1リットルあたりの平均販売価格は169.0円(2022年8月24日発表分より参照)といまだに高い水準を維持しています。
日本全国の地域別での平均価格もいっしょにチェックしてみると、最安となるのは北海道と東北で、1リットルあたりの平均価格は166円。
対して最高値となったのは、九州の1リットルあたり175円となります。実に、地域別で10円近い価格差がついています。

ガソリン価格に地域差が出る要因には、ガソリンスタンドの立地が大きく影響しています。
人口が少なく出入りが少ない土地や、製油所から離れていて燃料を配送するコストがかかる場所では”手間賃”としてガソリンの販売価格に反映されてしまい、価格が高くなりがちです。
例えば、石油大手のENEOSでは、神奈川県の横浜や川崎を中心に全国に合計で10ヵ所の製油所と1ヵ所の製造所を置いています。
ガソリンの原材料となる原油は、海外の輸入に頼っており、船による輸送で材料を仕入れています。
海沿いに製油所や製造所を構えているため、港から離れた山間部などでは輸送に費用がかかってしまうということです。
また、人の出入りが少ない山奥、立地しているガソリンスタンドの件数が少なく”独占”状態となっていると、輸送コストと同様にガソリン価格が高くなる要因となっているようです。
さらに、資源エネルギー庁の「石油製品価格調査」を参考にして、都道府県別でガソリン平均価格を調べてみると意外な結果が判明しました。
日本全国でレギュラーガソリンの1リットルあたり最高値をマークしていたのは、長崎県の182.9円(2022年8月24日発表時点)となっていました。
とはいえ先述の通り、輸送費用が上乗せされることを考えると、日本でガソリン最高値をマークするのは、本州から離れた沖縄県になるように思えます。
しかし、沖縄県の1リットルあたりのガソリン平均価格の数値は180.6円。長崎県よりも安いわけですが、これにはカラクリがあります。

かつて、第二次世界大戦の敗戦でアメリカの支配下に置かれていた沖縄県は、1972年に日本への本土復帰を実現しました。
その際に、「沖縄復帰特別措置法」と呼ばれる条例が制定されて、内容の1つに「揮発油税及び地方揮発油税の軽減措置」が定められたのです。
揮発油税及び地方揮発油税の軽減措置により、沖縄県内で販売されているガソリン税(揮発油税)は1,000キロリットルごとに7,000円の減税補助がされています。
普通ならレギュラーガソリンが1リットルあたりで187円となるところを、減税により多少はお得に給油を実現できているというわけです。
次のページ▷ 別の県で給油するのは賢い?!
ここまで、ガソリン平均価格に地域差があるのはなぜかについて考察してきましたが、隣接している都道府県へ安さを求めて給油に赴くのはアリなのでしょうか?
結論としては「遠距離ドライブの”ついで”なら別の都道府県で給油するのもアリ」といえます。

筆者は少し前に、神奈川から大阪まで往復1000km近く移動する用事があり、ある軽自動車に乗って外出しました。
神奈川からの出発時と途中で愛知県内にて1回目、帰りも愛知県で2回目の給油を行ったものの、各所で給油したレギュラーガソリンの価格には、さほど差がありませんでした。
いずれもENEOS系列のガソリンスタンドで給油したのですが、ENEOSなら、関東には横浜と川崎、関西には和歌山と堺(大阪府)に製油所があります。
製油所が近かったことに加えて、東京から大阪を結ぶ「国道1号線」を走り続けていて、車通りの多い場所に立地するガソリンスタンドで給油したのも要因と考えられます。
筆者の経験から考えると、遠距離のドライブに出かけて偶然別の都道府県でガソリンが安く売られていたなどのケースでなければ、わざわざ他県まで出向いて給油を行うメリットは少ないと考えています。
住んでいる地域が県境、もしくは少し移動すればすぐに隣の県へ入るなどでなければ、”越境”してまで給油をしたいがために出かけても、かえってガソリンの無駄遣いと考えてよいのではないでしょうか。
安易な考えで目先の値段を気にするのではなく、燃費走行なども駆使しながら車を上手に扱い、地元で価格が低いガソリンスタンドで給油するのがよいでしょう。
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ライター:長谷川 優人
住んでいる場所のガソリン平均価格が高いから、隣接している都道府県へ行けば安く給油できるのではと考えている人も多いかもしれません。
そもそも、なぜガソリン価格に地域差が存在するのでしょうか。
なぜ都道府県によってガソリン価格が違うの?
資源エネルギー庁が公表している「石油製品価格調査」の公表結果を確認すると、レギュラーガソリン1リットルあたりの平均販売価格は169.0円(2022年8月24日発表分より参照)といまだに高い水準を維持しています。
日本全国の地域別での平均価格もいっしょにチェックしてみると、最安となるのは北海道と東北で、1リットルあたりの平均価格は166円。
対して最高値となったのは、九州の1リットルあたり175円となります。実に、地域別で10円近い価格差がついています。

@Petair/stock.adobe.com
ガソリン価格に地域差が出る要因には、ガソリンスタンドの立地が大きく影響しています。
人口が少なく出入りが少ない土地や、製油所から離れていて燃料を配送するコストがかかる場所では”手間賃”としてガソリンの販売価格に反映されてしまい、価格が高くなりがちです。
例えば、石油大手のENEOSでは、神奈川県の横浜や川崎を中心に全国に合計で10ヵ所の製油所と1ヵ所の製造所を置いています。
ガソリンの原材料となる原油は、海外の輸入に頼っており、船による輸送で材料を仕入れています。
海沿いに製油所や製造所を構えているため、港から離れた山間部などでは輸送に費用がかかってしまうということです。
また、人の出入りが少ない山奥、立地しているガソリンスタンドの件数が少なく”独占”状態となっていると、輸送コストと同様にガソリン価格が高くなる要因となっているようです。
沖縄県はガソリン最高値……のハズなのに何故?
さらに、資源エネルギー庁の「石油製品価格調査」を参考にして、都道府県別でガソリン平均価格を調べてみると意外な結果が判明しました。
日本全国でレギュラーガソリンの1リットルあたり最高値をマークしていたのは、長崎県の182.9円(2022年8月24日発表時点)となっていました。
とはいえ先述の通り、輸送費用が上乗せされることを考えると、日本でガソリン最高値をマークするのは、本州から離れた沖縄県になるように思えます。
しかし、沖縄県の1リットルあたりのガソリン平均価格の数値は180.6円。長崎県よりも安いわけですが、これにはカラクリがあります。

©7maru/stock.adobe.com
かつて、第二次世界大戦の敗戦でアメリカの支配下に置かれていた沖縄県は、1972年に日本への本土復帰を実現しました。
その際に、「沖縄復帰特別措置法」と呼ばれる条例が制定されて、内容の1つに「揮発油税及び地方揮発油税の軽減措置」が定められたのです。
揮発油税及び地方揮発油税の軽減措置により、沖縄県内で販売されているガソリン税(揮発油税)は1,000キロリットルごとに7,000円の減税補助がされています。
普通ならレギュラーガソリンが1リットルあたりで187円となるところを、減税により多少はお得に給油を実現できているというわけです。
次のページ▷ 別の県で給油するのは賢い?!
ガソリンが安い隣県まで行って給油するのは賢い方法なのか?
ここまで、ガソリン平均価格に地域差があるのはなぜかについて考察してきましたが、隣接している都道府県へ安さを求めて給油に赴くのはアリなのでしょうか?
結論としては「遠距離ドライブの”ついで”なら別の都道府県で給油するのもアリ」といえます。

©Norman01/stock.adobe.com
筆者は少し前に、神奈川から大阪まで往復1000km近く移動する用事があり、ある軽自動車に乗って外出しました。
神奈川からの出発時と途中で愛知県内にて1回目、帰りも愛知県で2回目の給油を行ったものの、各所で給油したレギュラーガソリンの価格には、さほど差がありませんでした。
いずれもENEOS系列のガソリンスタンドで給油したのですが、ENEOSなら、関東には横浜と川崎、関西には和歌山と堺(大阪府)に製油所があります。
製油所が近かったことに加えて、東京から大阪を結ぶ「国道1号線」を走り続けていて、車通りの多い場所に立地するガソリンスタンドで給油したのも要因と考えられます。
筆者の経験から考えると、遠距離のドライブに出かけて偶然別の都道府県でガソリンが安く売られていたなどのケースでなければ、わざわざ他県まで出向いて給油を行うメリットは少ないと考えています。
住んでいる地域が県境、もしくは少し移動すればすぐに隣の県へ入るなどでなければ、”越境”してまで給油をしたいがために出かけても、かえってガソリンの無駄遣いと考えてよいのではないでしょうか。
安易な考えで目先の値段を気にするのではなく、燃費走行なども駆使しながら車を上手に扱い、地元で価格が低いガソリンスタンドで給油するのがよいでしょう。
オリジナルサイトで読む
ライター:長谷川 優人