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これからは「電費」?電気自動車の燃費の良さってどう判断すればいい?



車を購入する際、「燃費のよさ」を選ぶ基準にする人は多いでしょう。

走行にかかるコストを抑えるうえでも、環境負荷を減らすうえでも、「燃料消費の少なさ」は大きなポイントです。

一方、今後普及が見込まれる電気自動車の場合には、従来の燃費の見方が適用できません。

燃費に代わって「電費」という言葉が用いられはじめていますが、カタログ上の記載方法はこれまでの燃費表示と大きく異なります。

そもそも「カタログのどこに書いてあるのかわからない」ことも多いEVの電費。

EV車種の電費性能を確認するには、一体どこをどう見ればいいのでしょうか。

電気自動車のカタログで「電費」はどこを見ればいい?


給電

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電気自動車のカタログにおいて、電費は「交流電力消費率」という名目で記載されます。

しかし、車種紹介ページなどで大々的に表示される「航続距離」などの数値に対し、交流電力消費率はあまり目立たない箇所に記されているケースも多いです。

見当たらない場合には、その車種の「主要諸元表」などをチェックしてみるとよいでしょう。

たとえばヒョンデ・IONIQ 5の主要諸元表においては、交流電力消費率として「131Wh/km」という数値が記載されています。

これは「1kmを走るのに131Whの電力が必要」だということです。

この数値を見る際に注意しておきたいのは、EVの電費表示と、ガソリン車などの燃費表示とでは、「距離」と「消費エネルギー」の関係が逆になっているということです。

一般に、日本国内の自動車カタログにおいて、ガソリン車などの燃費表示は「km/L」が用いられます。

つまり普段私たちは「1Lの燃料でどれだけの距離を走れるか」という基準で燃費をチェックしており、この数値は「高いほどよい」ことになります。

一方、電費に用いられる「Wh/km」は、「1kmの走行でどれだけの電力を消費するか」を表示するものなので、こちらの数値は「低いほどよい」といえます。

カタログの電費はガソリン車と同様「WLTCモード」で測定


なお、カタログ上の電費表示には「WLTCモード」の値が記載されます。

WLTC(Worldwide harmonized Light duty driving Test Cycle)はガソリン車などの燃費測定にも用いられる国際基準であり、EVの場合にも基本的な測定条件は同じです。

ストップ&ゴーの多い状況での「市街地モード」、信号や渋滞などが少ない状況での「郊外モード」、高速走行時の「高速道路モード」と、3つの場面を想定した数値がカタログに記載されます。

さらに、これらを平均的な時間配分で構成した「WLTCモード」が総合的な指標として用いられます。

「ハイブリッド」と「電気自動車」で走行コストはどのくらい違う?


電気自動車

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実際に、電気自動車は走行コストの面でどのくらい優れているのでしょうか。

ボディサイズや出力の違いがあるため単純な比較はできませんが、同様のボディ形状でEVとハイブリッドの両方を用意するマツダ・MX-30を例に見てみましょう。

エネルギー料金についても相場変動がありますが、さしあたりガソリン代を「170円/L」とし、電気代を「27円/kWh」として計算します。

カタログ上、MX-30のハイブリッドモデル(2WD)の燃費は「15.6km/L」であり、これを1kmあたりのガソリン代に換算すると「約10.9円」になります。

一方、EVモデル(2WD)の電費は「145Wh/km」であり、1kmあたりの電気代に換算すると「約3.9円」となります。

もちろん走行条件やガソリン価格などによって実際の数値は異なりますが、上記の比較では3倍近い差が生じており、EVの経済性が際立つ結果となりました。

さらに、トップクラスの燃費性能を誇る車種と比べても、走行コストの面でEVが優位であることに変わりはなさそうです。

たとえばトヨタ・アクア(ベースグレード)のWLTC燃費は「35.8km/L」ですが、1kmあたりのガソリン代は約4.7円。先の比較よりも差は縮まったものの、MX-30の電費には及んでいません。

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