キャブオーバーとは?バンやワゴンとの違いは?おすすめ人気モデル最新情報も
目次
キャブオーバーとワゴンの違い
キャブオーバーは、乗員のために広い室内空間を必要とするワゴンにも有効な構造です。
しかし、前席が車体前方に配置されるキャブオーバーは前面からの衝突安全性に乏しく、近年は乗員保護の観点からキャブオーバー型ではなくボンネット型のワゴンが主流になっています。
セダンをベースとしたボンネット型のワゴンはステーションワゴンと呼ばれます。
また、ミニバンはキャブオーバーバンに似た外観形状であるものの、構造上はボンネットワゴンに分類されます。
このように、バンと同じく「ワゴン」も車の構造ではなく用途を指す言葉であるため、すべてのワゴンがキャブオーバー型ではありません。
キャブオーバーとワンボックスカーの違い
高い使い勝手を誇るトヨタ ハイエースや日産 キャラバンは、どちらもキャブオーバー型のワンボックスカーです。
トヨタ タウンエースと日産 NV200バネットは、どちらもボンネット付きの1.5BOX形状のバンですが、タウンエースはキャブオーバー型であるのに対し、NV200バネットはエンジンが前方に配置されたボンネット型です。
ワンボックス(1BOX)や2BOX、1.5BOXとは、あくまで車の外観形状を指す言葉であり、必ずしも1BOXや1.5BOX形状の車がキャブオーバー型とは限りません。
ただし、全高が高くなりがちなキャブオーバー型は構造上、必然的に1BOX形状のフルキャブもしくは1.5BOX形状のセミキャブになります。
キャブオーバーのメリット
運転時の快適性は低いものの、荷室の広さを有効活用するならキャブオーバーが最適です。
とくにキャブオーバー型ワンボックスカーの圧倒的な室内長は、軽自動車であっても大人2人が荷室に横になれるほどの広さです。
また、長物を積載する必要があるマリンスポーツやウィンタースポーツの移動車や趣味用など、商用目的以外の車としてもキャブオーバーがよく選ばれます。
さらにキャブオーバー型の車は原則として後輪駆動、もしくは後輪駆動ベースの4WDであるため重い荷物を積載しても駆動輪が空転を起こしづらい特徴があります。
そのため運搬業務はもちろん、オートバイのトランスポーターとしても最適です。
欠点は多いものの、キャブオーバー型でなくては対応できない用途があります。
車中泊やアウトドアレジャー、スポーツやトランスポーターなど、過酷な環境で使う車ほどキャブオーバーの利点が光ります。
キャブオーバーのデメリット
キャブオーバーは構造上、全高が高くなるうえ、車体前面を切り落としたような形状により空気抵抗も増えます。
そのため高速道路の走行では燃費の悪さがより顕著に現れます。
さらに、前席乗員はエンジンの直上に座るため稼働時の騒音・振動が伝わりやすいなどデメリットに加え、季節や車種によっては座面や車内にエンジンの熱が伝わったり、車内にオイルやガソリンの臭いがこもるなどの低い快適性もデメリットです。
決定的な欠点は、前席乗員は車体前方に座らせられるために、正面衝突をした際には重篤な事故に発展しやすい点です。
そのため、1BOX形状のワゴンやミニバンはフルキャブから、より安全なセミキャブに変わり、現在は1.5BOX形状のボンネット型が主流になっています。
クラッシャブルゾーンの確保や車体骨格の強化などにより安全性は高められているもののキャブオーバーは、あくまで運転中の快適性よりも、運搬業務での使い勝手を優先させた商用向けの車といえるでしょう。
キャブオーバーの人気モデル7車種【最新情報】
トヨタ ハイエース
1967年に登場した初代ハイエースは、日本初のキャブオーバーバンとして登場した車であり、多くの運搬業務に用いられてきました。
また、現行型である5代目200系ハイエースは高い使い勝手から、2004年の登場以来基本構造が変わっていません。
ハイエースは用途に応じてバンとワゴンが選択可能。さらに、スーパーロング・ワイド・ハイルーフなどの拡張ボディモデルも選べるため、運搬業務から移動、趣味用途まで1台でこなせる高い汎用性を発揮します。
カスタムパーツが豊富な点もハイエースの特徴であり、業務や用途に応じて使いやすくカスタムするのがハイエースの乗り方です。
ハイエースは、マツダからボンゴブロー二イ バンとしても販売されています。
日産 キャラバン
日産 キャラバンは、トヨタ ハイエースと並んで日本経済を支えてきたキャブオーバーバン。
ハイエースと同じく、スーパーロングやハイルーフ、平床モデルなどのボディが選べるため、あらゆる用途に使用可能です。
2012年にモデルチェンジした現行型5代目は、弱点であったボディ剛性が大幅に改善。
外観はモダンなデザインに改められ、ハイエースに劣らない魅力がキャラバンには備わっています。
防水シートを装備する「プロスタイル」や、防水床パネルを装備した「トランスポーター」、車中泊用のベッドキットと脱着式テーブルが付属する「マルチベッド」など、多数の特別仕様車が用意されている点もキャラバンの特徴です。
現行型キャラバンは、いすゞ コモとしても販売されています。
トヨタ タウンエース バン
タウンエースは全長4,065×全幅1,665×全高1,930mmのコンパクトな1.5BOX形状のバンです。
セミキャブ型とはいえ、後席を畳んだ際の荷室長は1,760mmにもなり、運搬業務や車中泊、趣味など用途を問わず大活躍します。
また、コンパクトボディとキャブオーバー特有の高い着座位置により運転しやすく、搭載されるエンジン排気量は1.5Lであるため、維持費がコンパクトカー並に抑えられる点もタウンエースの美点といえるでしょう。
タウンエースは、ハイエースほどの大きさは必要でない方におすすめなライトユース向けのセミキャブオーバーバンです。
タウンエースはダイハツからグランマックス・カーゴとしても販売されています。
スズキ エブリイ
軽ワンボックスカーであるエブリイの荷室寸法は長さ1,910mm×幅1,385mm×高さ1,240mm。
荷室高や頭上空間は軽ハイトワゴンに劣るものの、荷室長ではキャブオーバー型のエブリイが勝ります。
セミキャブ型であるため前席はタイヤハウスの張り出しがあるものの、車全体での室内空間は軽自動車とは思えないほど広く、その優れた使い勝手により、エブリイは業務・趣味を問わず用いられる人気車種です。
エブリイを乗用に使うなら後席が広い5ナンバーのワゴンを選び、運搬業務や趣味で荷室を使うなら4ナンバーのバンを選びましょう。
エブリイは、日産 NV100 クリッパー・三菱 ミニキャブ・マツダ スクラムとしても販売されています。
ダイハツ ハイゼットカーゴ/アトレー
2021年12月にモデルチェンジしたハイゼットカーゴは、バンとしての高い使い勝手はそのままにあらゆる点が改善されています。
ただし、ワゴンモデルのアトレーは、現行型から4ナンバーに変更されため、ライバルのエブリイワゴンと比較して後席空間は狭くなりました。
しかし、新型の荷室寸法は長さ1,915×幅1,410×高さ1,250mmに拡大され、全項目においてエブリイを上回ります。
高機能な電動スライドドアや液晶バックミラーなど、使い勝手を高める充実したオプションも新型ハイゼットカーゴ/アトレーの大きな特徴といえるでしょう。
スバルからはサンバー、トヨタからはピクシス バンとして販売されています。
ただし、車体後端がオープンデッキになったデッキバンが選べるのはハイゼットカーゴ/アトレーのみです。
スズキ キャリイトラック
1961年に登場した初代以来、11代に渡って日本の農業を支えている軽トラがキャリイトラックです。
一時はセミキャブ化されましたが、現行型は足元空間に余裕があるフルキャブに戻されたのは、使いやすさに配慮した結果といえるでしょう。
標準モデルの荷台寸法はフロア長2,030×幅1,410mm。
大型キャビンモデルのスーパーキャリイの荷台長は1,480mmと狭くなるものの、キャビン下部はポケット状にすることで荷台フロア長1,975mmを確保。
荷台地上高は軽トラのなかでもっとも低い650mmです。
入念に防錆処理されたボディは、錆3年・穴あき5年の保証付き。
さらに錆づらいステンレスマフラーが標準装備です。
グレードによっては、スズキジムニーと同様の悪路走破性を引き上げる機能や装備が追加されます。
日産からはNT100クリッパー、マツダからはスクラムトラックとしても販売されています。
ハイゼットトラック
1960年にボンネットトラックとして登場したハイゼットトラックは、2代目からキャブオーバー型に変わりました。
そして10代目となる現行型は軽トラに革命を起こした存在です。
オレンジやレッドなどの軽トラらしからぬボディカラーに加え、キーフリー&プッシュスタートや電動格納式ドアミラー、液晶バックミラーなど、軽トラとしては過剰な快適装備がハイゼットトラックの異色な点です。
車自体は質実剛健であり、標準モデルの荷台寸法はキャリイと同じフロア長2,030×幅1,410mm。
大型キャビンモデルのジャンボは荷台長1,650mm・フロア調1,990mmと、快適性よりも荷台の広さが重視されています。
ハイゼットもキャリイと同じく錆保証付きです。
ハイゼットトラックは、トヨタからピクシストラックの車名で販売されています。
ライター:伊藤友春
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