デザイン性も機能性も洗練されたヨーロッパ製キャンピングカー



すっかり人気が定着した日本のキャンピングカー市場で、現在勢力拡大中なのがヨーロッパ製キャンピングカーだ。

日本で販売されている代表的なビルダーだけでもドイツ製、イタリア製、スロベニア製とバラエティ豊か。ボディーのタイプも、バンコン、キャブコン、フルコン、それにトレーラーと一通りあるので、かなりのバリエーションがある。

日本には根強く「輸入車=高い」というイメージがあるが、今やそれは過去の話。最近は代理店の努力もあり、良い意味で「ビックリ」するような価格設定がされている。ショーの会場でも「えっ?これがその値段なの!」という声をよく聴くようになった。

キャンピングカー先進の地・ヨーロッパ。「海外製だから」というだけで選択肢からはずしてしまうには、あまりにもったいない。今回はその魅力について、お伝えしよう。

高い機能性と「映える」デザイン

ヨーロッパ バスコン

出典:MOTORHOMES

ドイツ・デュッセルドルフで毎年開催される世界最大級のキャンピングカーショー「キャラバンサロン」。ここ10年、欠かさず取材に出かけているが、毎度圧倒されて帰ってくる。

トレーラーを含めて毎回2,000台以上の出展車両が並び、多くのビルダーがしのぎを削る、まさに真剣勝負の場。スケールも多彩さもはるかに大きく、初めて訪れたときはめまいがしたほどだ。

「限られた空間をどう使うか」「できるだけ大きな窓で開放感を、それでいて高い断熱性を実現するには」「軽量化と高級感のバランスをどうとるか」

ビルダーだけでなく、パーツメーカーも切磋琢磨している。常に最先端の機能を追求し続けているのだ。

ヨーロッパキャンピングカー 車内

出典:HOBBY

ヨーロッパ車の魅力は機能面だけにとどまらない。特に女性に人気なのが、そのデザイン性の高さだ。

日本では「男のオモチャ」的な扱いを受けることが多いキャンピングカーだが、ヨーロッパでの事情は逆だ。モデル選択の主導権を握っているのは女性なのである。

使い勝手の悪いキッチンはそっぽを向かれるし、そもそも見た目が「ダサ」くちゃ売れないのである。

アウトバーンに鍛えられた走行性能

ヨーロッパ キャンピングカー

出典:トーザイアテオ

環境問題から「速度無制限」なエリアが激減したとはいえ、ヨーロッパでは高速道路の常用速度域は120〜130km/h前後。一般道でも郊外なら80km/hが当たり前だ。ヨーロッパで運転すると、周囲の車の速さに驚かされる。

また、ヨーロッパにはアルプスを駆け巡る険しい峠道もあるし、市街地の車道の狭さは日本並みだ。そんな「過酷な道」で鍛えられた車の走行性能はダテじゃない。

スピード制限こそ違うが、道路事情は日本に通じるところもある。日本で走る限り、ストレスとは無縁の高い走行性能は魅力だ。

さて、こうして輸入車の長所を上げてほめると「外車は壊れやすいでしょ」と反証してくる人がいる。

確かに、文化も気候風土も違う国で生まれ育った車なのだから、その特性に合ったメンテナンスは必要だ。そういう意味では「日本車と同じ扱い」をすれば「壊れやすい」かもしれない。

まさか車に向かって「郷に入れば郷に従え」とも言えず、国産車よりも多少手はかかる。

それを差し引いても、あのストレス知らずの優れた走行性能を考えれば、納得できる範囲だろうと私は思う。

コストパフォーマンスは◎

ヨーロッパキャンピングカー  洗面所

出典:ENERGY RV

ヨーロッパ製キャンピングカーの装備は基本的に「フル装備」。国産車のように、キッチンやトイレを付けない、という発想はない。しかも、厳しい女性目線をパスするだけの「使い勝手」を追求している。

日本より寒い地域も多いため、断熱にもぬかりはない。

それだけのフル装備を、日本車よりやや大きい程度のボディに巧みにつめ込んでいるのだから優秀と言えるだろう。

ヨーロッパキャンピングカー 構造

出典:Smart RV

そして、冒頭に書いたようになかなか魅力的な価格設定である。

特に最近は、現地の大手ビルダーがディフュージョンブランドを展開するようになったので、よりリーズナブルなモデルが日本にも入ってくるようになった。

ディフュージョンブランドとはいえ、外観のペイントやグラフィックが多少シンプル化されていたり、家具の板厚がやや薄かったりする程度の違いでしかない。使い勝手や機能の面で劣ることはほとんどないだろう。

もちろん、車両サイズは同じキャブコンでも国産より一回り以上大きい。

ベース車両も国産ではないし、「絶対国産車がいい!」という人にとっては、マイナス点もあるかもしれない。

だが、人気急上昇の背景には、こうした理由があることを考えると、食わず嫌いで敬遠するにはあまりにもったいないと思うのだ。