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軽油ノズル

ガソリンスタンド界で密かに行われる「混ぜ物」…一斉調査もある不正軽油とは?



不正軽油という言葉を知っていますか?一般消費者には耳なじみのない存在ですが、不正軽油は大気汚染や脱税など、様々な問題を引き起こす元凶となっています。

今回は、不正軽油とは何なのか、一斉摘発が行われるほど広がってしまった背景等を考えていきます。

不正軽油とは何?自分の身近で売られてる?

不正軽油とは、軽油に他の油を混ぜて製造されたものなどを指す言葉です。

軽油はディーゼルエンジンに使用される燃料です。レギュラーガソリンと同様に、元は「原油」から作られています。

ガソリン、軽油、灯油などは、原油を蒸留抽出する過程で、蒸発する温度域が違い、別々に精製されています。

ガソリンは30℃から180℃と低い温度から蒸発する燃料、軽油は240℃から350℃という高温で蒸発する燃料です。

経油 ガゾリンスタンド 混ぜ物

©mikitea/stock.adobe.com

製造過程が異なるガソリンと軽油ですが、販売される際に課される税金も大きく違います。

ガソリンは1Lあたり53.8円のガソリン税と2.8円の石油税が課せられます。

これに対し、軽油は32.1円の軽油取引税と2.8円の石油税が課せられているのです。(ちなみに灯油は石油税2.8円だけが課されています)

この税金は、私たち消費者がガソリンや軽油を購入する際に支払っており、販売者が地方公共団体に納めています。

このとき、販売している軽油に灯油や重油などを混ぜて販売することによって、本来納めるべき軽油引取税を不正に免れている悪質な業者もいます。

全国各地で検査・調査が行われ、東京都では不正軽油に関するホットラインを解説し、首都圏から不正軽油を無くそうと積極的に動いています。

不正軽油かどうかを見分けることはできる?

石油大手元売り会社の看板を背負った給油所では、まず不正軽油の取り扱いは無いと考えていいでしょう。

不正軽油を販売したら、社会問題として大きく取り上げられ、元売り企業の信頼はガタ落ちしてしまうからです。

可能性が高いのは、安売りを特徴としている、大手の看板を背負っていない給油所です。

ガゾリンスタンド 混ぜ物

©Carolyn Franks/stock.adobe.com

燃料価格は地域ごとに差がありますが、同一地域内では価格の足並みはそろっており、お店ごとの違いは、あっても数円程度です。

こうした一般的な価格差を大きく超え、数十円単位で安く販売されている軽油があった場合には、不正軽油を使っている可能性が考えられます。

また、不審なタンクローリーが出入りする施設がある、深夜早朝時間帯だけに動いている給油現場があるなど、怪しげな情報があれば、各地方公共団体の受付窓口に相談しましょう。

環境やエンジンにも悪影響を与えてしまう

不正軽油の製造・販売に関する問題は、昨今特に多くなったわけではありません。

10年以上前から問題は続いており、各地方公共団体では、販売所への検査や、走行中の車両や工事現場の建設機械などから、軽油の抜き取り検査を行い、摘発につなげているのです。

トラックやバス、建設機械に多く使われる軽油ですが、最近ではクリーンディーゼルを売りにした乗用車も数多く登場し、一般消費者も軽油に触れる機会が増えてきました。

一部では正しく軽油が販売されていないことがあるという現状を知り、安すぎる軽油は購入しないという意識も大切になってくるでしょう。

ガス ガゾリンスタンド 混ぜ物

©Stefan Redel / stock.adobe.com

また、軽油に灯油や重油などを混ぜた場合、ディーゼル車の排出ガス中に含まれる粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)を増やし、大気汚染を引き起こす要因にもなります。

クルマのエンジンなどにも不具合や損傷を起こす可能性があるため、消費者である私たちにも、大きな影響を及ぼすものです。

景気が悪くなると増える不正軽油の問題。販売者、購入者の意識改革はもちろんですが、二重三重と言われる、自動車関連の税制に対しても見直しの目は必要となるでしょう。

税負担を逃れるための不正軽油を無くす行動は、そもそもの税金の在り方を考えるきっかけにもなってほしいものです。

ライター:Red29
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