車内に設置したスポットエアコン

【バンコンの暑さ対策】スポットエアコンを取り付けてみた!



今年の夏は、例年以上の猛暑になりそうな気配です。

「外が25℃の気温では、黒い車体の内部は50℃、白い車で47℃、ダッシュボードは70℃になる」と聞いたことがあります。

断熱加工が施されていれば、そこまでの高温にはならないかもしれませんが、夏も快適に車旅を楽しむには『暑さ対策』は必須です。

そこで夏本番を迎える前に、我が家のバンコンタイプのキャンピングカー、コンパスドルクに「スポットエアコン」をDIYで設置することにしました。

様々なエアコンの検討し悩んだ結果、「スポットエアコン」を選んだ理由や、取り付けの様子、様々な天候や時間帯で実際に使用してみた結果を紹介します。

スポットエアコンを選んだきっかけ


我が家の動く部屋・コンパスドルクは、ハイエースベースのバンコン。家庭用エアコンを取付けるとなると、場所が問題になります。特に室外機置き場。

トラックベースのキャブコンなら縦に室外機を取付けるスペースがありますが、ハイエースにはそれほどのスペースはありません。

中には室外機を横に倒して積む方もいるようですが(室外機は通常横では稼働しません。特殊な改造を施します)工賃も嵩むし、横積みしても室外機のファンに汚れや水などが付きやすく壊れやすくなります。

かといって、リヤハッチドアに積載したらドアが開けられなくなり、後方の荷物の取り出しが困難で不便。

最近はオズエンジニアリング社製(販売ホワイトハウス)のエアコンが小スペースかつ、12Vで稼働することから注目されていますが、メーカー希望価格24万円とかなり高額。更に工賃を考えたら、私が手を出せるような商品ではありません。

家庭用エアコンは、取り付け方や車種にもよると思いますが、バッテリーやインバーターが既にあるとしても、機材+工賃込み費用で間違いなく20万以上はかかってきます。

そこで、パワーと省エネ、取付けやすさと価格に重点を置いて、トヨトミ製の「スポット冷暖エアコン(TAD-22KW)」に決めました。

通常、スポットエアコンには排気ダクトしかついていませんが、スポット冷暖エアコンは吸気ダクトもついています。

排気ダクトだけだと、冷やした室内空間に隙間から暖かい空気が漏れこんで、室内を温めてしまいます。

給気ダクトを用いることで、室外から排熱に使う空気を取り入れる事により冷風の効率を高めます(※エアコンの詳細はトヨトミサポートメニュー「よくある質問」をご覧ください)。

いろいろと見比べじっくり検討し、ネットで最安値を探しだし、いよいよ購入です。

バンコンへの取り付けと工夫点


車内に設置したスポットエアコン

エアコンが届くとすぐに車内へ持っていき、2列目シートを後ろにスライドさせると、右端の足元にすっぽり入りました。背面に吸気と排気ダクトを繋いでも問題なく収まりそうです。

あとはダクトホースをどのように外と繋ぐかです。

プラダンを使って枠を作り2列目の右側窓に排気を逃がせないかと考え、窓の寸法を測ってみると、ダクト2つ分のサイズがとれそうだということがわかりました。

ダクトの排気・吸気口

6か所のネジで固定すると、ちょうどよく取付けできました。

一旦プラダンを取り外し、今度はダクトブラケットをプラダンに固定、ブラケット位置に排気の為の穴あけをします。

ダクトの排気・吸気口

ブラケットもネジ固定できるので、あとはシンクの蓋を開けたときに干渉しないギリギリの場所に固定。

穴あけしてブラケットを固定したら、再度窓枠に固定します。

ブラケットを繋げたダクトホース

ダクトホースをブラケットに繋げることができれば、あらかたの作業は完了するのですが、ダクトホースの長さが足りないという問題が発生。そこで、メーカー保証は無視して自己責任で延長することにしました。

メーカー保証に関しては、そもそも車での使用自体が対象外だと思います。もし、こちらの記事を参考にされる場合は、自分で安全性を十分確認したうえ、アレンジしてください。

問題は延長分のダクトホースをどうするか?

メーカーから同じダクトホースを取り寄せるのも手ですが極力安く済ませたい!ネットでも安い物は特にありません。

そこで、近くのホームセンターに行ってみました。すると、920円で3mのアルミ製のダクトホースが売っていたので、1番近いサイズの外径125mmを買うことにしました。

付属ホースは吸気が110mm、排気が130mm。さて、これをどう接続させるか問題です。

DIYで延長されたダクトホース

まず買ってきたダクトホースを適当にカットして、ブラケットに繋げます。

排気側ブラケットとさほど変わらない外径なので、内も外もどちらも重ねて入れるのは困難です。

そこでアルミの材質を活かし、ブラケットの内側に少しずつ曲げながら押し込んでみました。

すると上手いこと接続でき、密着して抜けなくなりました。

今度は逆側の純正ダクトとの繋ぎ目です。ブラケット同様に中に押し込もうと試みましたが、伸縮性のホースには上手く押し込めませんでした。

拡張したダクトホース

そこでアルミダクトホースに切れ目を入れて外からアルミテープで巻き、繋ぐ部分の外径を太く加工しました。太くなったアルミダクトホースに純正ダクトホースを差し込むだけの接続にしてみました。

スポットエアコンのダクトホース

その場の思いつきでしたが、しっかりと繋げることができました。

外から見た排気・吸気口

残る吸気側は、それほど密閉性を気にせず、窓枠ブラケットと純正ダクトホースよりも太いアルミダクトホースに差し込むだけにしました。

吸気・排気ダクトの設置が終わり、ドレン排水のホースをポリタンクに差し込み、やっと終了。あとはきちんと冷えてくれるかどうか‥‥。

様々な天候下で効果を検証してみた


やや気温の低い曇りの日の結果


温度計

コンセントを繋ぎ、いざ試運転! ちゃんと冷風が吹き出し口から出ました!!

この日の外気温は29℃(曇)。

作業中ドアを開けていたので、車内温度は32℃とさほど高くありませんが、ここからドアを閉め、エアコンをスタートさせると吹き出し口の温度は17.9℃。しばらくすると、16.6℃を計測。

温度計の誤差、エアコンも長く稼働していると徐々に下がっていくので、まずまずの冷風が出ていることになります。

温度計

エアコン本体は27℃を感知。ベッド付近を計測したところ20分位の稼働時では29℃を計測。

一見、高い温度に感じますが、29℃といっても除湿効果もあり快適です。冷風が届くエリアは体感温度も低く、涼しく感じます。

扇風機で車内の空気を循環させれば、確実にベッドエリアも温度が下げられると思います。

助手席側の境にあるカーテンで仕切り空間を狭くすれば、さらに冷えそうです。

ただ、排気ダクトが温かくなっているので、排気ダクトに断熱材を巻くというのは検討課題です。

車内での使用は、家庭で実感する冷房のひんやり感には及ばないことがわかりましたが、ある程度の力は証明することができました。

晴れた炎天下での結果


次は炎天下の中での実験です。

外気温31℃(駐車場は35℃)、車内温度41℃(湿度53%)という環境で試してみました。

まずエアコンのスイッチを押して稼働させると、本体に表示される温度計がHiを表示。これは、使用温度域を超えている表示です。

温度計

吹き出し口の温度を計測すると22℃。手で触れると冷たく感じますが、前回の計測時より冷気がありません。

一向に車内が冷えないし、高温度でこれ以上実験を続けるとエアコンが故障しそうなので、網戸を開けてベンチレーターを回し、車内温度を少し下げて温度を計測してみました。

本体表示温度は37℃、吹き出し口は20℃の冷気になりました。吹き出し口付近は冷たい風を感じますが、車内全体を冷やすには、晴天で高温の日は無理のようでした。

炎天下でエアコンのみで車内温度を下げるのは困難でしたが、除湿されている分、不快感はないので、幾分効果はあります。

ですが大量の電気を使ってこの結果であれば、明らかに網戸+ベンチレーターや追加扇風機を使ったほうが効率は良いでしょう。

夜の車内では?


次は夜の計測です。

実際に快適に寝る事ができるかどうかが一番の課題なので、どれほど効果があるか気になるところです。この日は珍しく気温の低い夜。

温度計

外気温21℃、車内温度25℃(湿度64%)。普通なら網戸+ベンチレーターで快適に過ごせる環境です。エアコンを稼働させて様子をみました。

まず吹き出し口の計測。

温度計

初めは10~11℃位の冷気を出していました。エアコンを付けると除湿効果が高いのでムシムシせず快適です。

しばらくすると車内温度は23℃。湿度は52%になり、吹き出し口も8.2℃の冷風が出ていました。

しかし、8.2℃の冷風が出ていても、車内全体を冷やすには時間がかかりそうでした。

30分で下がったのは2℃でした。

実験して分かったこと


これまでの実験で分かったのは、本体もしくは吸気の温度から約15℃冷やした冷風を出す能力があるということです。

そして35℃以上の環境では使わず、一度外気を循環させ、車内温度を下げてから使用すると、湿度が下がるので快適になるということ。

3回の計測で分かった最も効果的な使い方は、車内温度23~35℃で日差しのない環境下です。

そして、23℃以下なら網戸にしてベンチレーターや扇風機を使う方が良いということ。

また、車内温度35℃以上や晴天時も、網戸+ベンチレーターの方が車内温度は下げられると思います。

家庭で使うより車内で使う方が、費用対効果もよくないことが分かりました。

それらのことから、我が家の旅スタイルでは、スポットエアコンは、夜間のRVパークなどでの外部電源が利用できる環境で、快適に寝る為の準備として使用することにしました。

そもそもサブバッテリーの稼働では2~3時間が限度ですし、もし外部電源を使えなかった時、サブバッテリーを使い切った状態で夜を迎えるのは不安です。

昼は走行していることが多いので、日中使用するにしても、せいぜい短時間留守番する愛犬の徹子の為に稼働させるぐらいです。

番外編 徹子のために手作り冷風扇


実験の結果、スポットエアコンでは昼間の車内を冷やそうとしても、バッテリーを多量に消費してしまう割に家の部屋のようには冷えないことが判明。

それなら、網戸+ベンチレーター(MAXFAN)+扇風機が良いのかもしれません。

そこで車内で留守番をする可能性のある愛犬・徹子に涼んでもらう為にも冷風扇を作ってみました。

自作の冷風機

家に余っていた発砲スチロールボックスに、これまた使わなくなっていた自作換気扇のPCファンを移植して取り付けました。

保冷剤

中には保冷剤を入れ、下に吸水シートを敷いておきます。

吸水シートを敷くのは、保冷剤に結露した水分を吸収させる為です。また、結露で溜まった水分の噴射も防げます。

そして、車内の湿度を上げずに、むしろ若干下げる効果も期待しています。

自作の冷風機で涼む愛犬

PCファンなら低消費電力(5w)で、保冷剤の保つ間なら、微力ながら冷気を排出してくれます。物足りないときは排出口に扇風機を置いて風力を上げます。

保冷剤は長時間の保冷はできませんが、車内には冷凍冷蔵庫も装備しているので、ストックも準備しておけるし、繰り返し冷凍させて使い回すことも可能です。

自作の冷風機で涼む愛犬

自作冷風扇の冷感は微々たるものですが、扇風機やベンチレーターと併用することで活躍してくれることでしょう。

これで、徹子も車内で熱中症になることなく過ごせると思います。

まとめ


今回、暑い車内の温度をエアコンで下げるという実験は物足りない結果となりましたが、除湿効果があり、不快感をかなり軽減できるとわかっただけでも、実験した意味はあったのではないかと思います。

少しでも快適を求めて、自分でできることはチャレンジしたい!と考えた末、スポットエアコンを取り付けてみて良かったと思います。

スケジュールの関係でまだ旅では使用していませんが、今から夏休みが楽しみです。

バンコンでできる低予算エアコンとその効果を上手に使い、快適な旅をしたいと考えています。

これを読まれた方の中にも、エアコンの購入について悩まれている方がいると思いますので、ご検討される際に少しでも参考になれば幸いです。