私が「アルトピアーノ」を購入した理由と、購入がもたらした生活の変化について



2020年3月、まさにコロナ禍によって外出自粛や、政府による緊急事態宣言直前のタイミングで、キャンピングカーを購入しました。

キャンピングカー購入にあたっては、かなり長期間に渡って悩みましたし、自分にとってどんなキャンピングカーが合うのか、自分のキャンプスタイルなどと照らし合わせながら色々と検討を重ねました。

そして、自分にとって必要な性能・機能・装備を吟味した上で選んだキャンピングカーは、私の生活に様々な変化をもたらしてくれました。

今回は、私が「アルトピアーノ」を選んだポイント、そしてキャンピングカーを購入した事によって変わったライフスタイル等についてお話したいと思います。

購入したのは一般的なキャンピングカーではなかった

アルトピアーノ

私が購入した「アルトピアーノ」は、トヨタカローラ横浜が制作する、タウンエースベースの簡易キャンパーです。

ベッド展開可能なシート、サブバッテリー、4連排気ファン、冷凍冷蔵庫を装備していますが、一般的に思い描くような、居住スペースをシェルとして搭載する本格的なキャンピングカーではありません。

車体寸法も拡張していないため、車内スペースには余裕がなく、作り付けの収納棚や、給排水システムやギャレー等も装備していません。

人によっては、「あれはキャンピングカーとは言わないよ、車中泊仕様、簡易キャンパーだよね」と仰るかもしれませんが、私もそれは否定しません。

自分のアウトドアやキャンプのスタイルに照らし合わせ、キャンピングカーにどうしても必要なものを残し、逆に、不要な(あっても使わない)ものを省いて、「自分スタイル」の1台を選んだ結果、「アルトピアーノ」の購入に至りました。それをキャンピングカーと言わないなら、それはそれで全然かまいません。

アルトピアーノは自分にとってMPV的な存在

車内

アルトピアーノの外見は、まんま「ただの白い商用バン」で、一見するとキャンピングカーには全く見えません。

そのため、街中でも普通のクルマとして特に注目を集める事もありませんし、商業施設の駐車場にも普通に入れます。

ですが、中にはベッド展開できるダイネット(※)と、様々な家電を使用できる1500W出力のサブバッテリーとインバーターを搭載しており、ドライブの休憩時にコーヒーを淹れて寛いだり、キャンプ時には天候などに影響されずに安眠することができます。

つまり、アルトピアーノは、普段遣いからドライブやキャンプまで、筆者の生活の中で全方位的に使う事ができる、まさに自分にとってマルチ・パーパス・ヴィークル(多目的車=MPV)であると言えます。

(※)ダイネットとは食事をしたり、コーヒーなどを飲んで寛げるテーブルとソファで構成されるダイニングスペースのこと。

キャンピングカーに必須と考えた機能と装備

キャンピングカーを購入する際に、自分にとってどうしても必要と考えた性能・機能・装備は以下の3点です。

(1)対面対座のシートとテーブル

アルトピアーノ ダイネット

ドライブ途中の休憩などで「車内でコーヒーを淹れて夫婦で寛ぎたい」、これがキャンピングカーを検討するようになったそもそものスタートラインです。

車内ダイネットで寛いで、地元グルメなども楽しみたいという意向が強く、対面対座のシートにこだわりました。

(2)ベッド展開できるシート

アルトピアーノ ベッド

通常は対面シートのダイネットとして利用し、就寝時にはフラットなベッドになる事も必須条件でした。

かつてテントキャンプをしていた当時は、布1枚で仕切られたテント内での就寝は不安でしたし、安眠する事ができませんでした。

なので、天候や外部要因などに左右されず、安心して車内で就寝できるフラットベッドは必須と考えていました。

ただ、『座面を引き出して背もたれを倒し、別のクッションをここに移動する・・・』といった作業が多い方式よりも、幾つかの簡単な操作でベッドに展開できるものを望みました。

アルトピアーノには、REVOシートというベッド展開できるシートが装備されていますが、座面と背もたれの向きを変更し、シート位置をスライドさせるだけでベッド展開できる点で、魅力を感じました。

(3)電子レンジなど、1000W超の家電を使用できるサブバッテリーシステム

サブバッテリーシステム

(1)で述べたように、そもそもの検討の出発点だった「車内での休憩や飲食」を重視していたので、電子レンジや電気ケトルといった家電を使用することができるサブバッテリーシステムは必須でした。

アルトピアーノの標準装備は、500Wの疑似正弦波タイプでしたので、オプションの1500W純正弦波インバーターを選択。

サブバッテリーの負担軽減のため、設備のあるキャンプ場などでは電源を利用できるよう、外部電源への接続・充電機能もオプションで追加しています。

キャンピングカーに不要と考えた機能と装備

逆に、キャンピングカーと言えば「○○」といった定番の機能・装備であっても、自分のスタイルでは不必要と考えたものもありました。

(1)給排水システムとギャレー(シンク)

基本的に屋外で過ごす事が好きな自分のアウトドアスタイルを考えた時に、車内の給排水やギャレーは不要と考えました。

「外遊び」「外メシ」が基本の私は、車内ではなく、車外で使える「水」が必要であって、車内には不要だったのです。

(2)冷蔵庫

実は、私のアルトピアーノは冷凍冷蔵庫を装備しています。

ですが、アルトピアーノは、給排水+ギャレーか、冷凍冷蔵庫を選ぶ仕組みだったので、冷凍冷蔵庫を選んだにすぎません。

理由は同じですが、外で過ごすことが多い私には、外に持ち出せない冷蔵庫は不要と思われましたし、実際装備されていても、キャンプに行ってもドライブ中に電源を入れた事はありません。

普段は、屋外に持ち出せて、多少手荒に扱ってもビクともしない、昔ながらの氷を入れたクーラーボックスを使っています。

車内の冷蔵庫は、災害時などの保存庫として、電源を入れない状態で、ミネラルウオーターを保管しています。

クーラーボックス

(3)収納棚、収納スペース

「外遊び」「外メシ」が基本なので、キャンプ道具は全て車外に持ち出して使います。ですので、収納棚に入っているとかえって取り出すのが面倒です。

コンテナに詰めて積み込んで、現地で全て下ろして使い、自宅に戻ったらまた全てを下ろして自宅に保管というスタイルなので、収納棚は不要と考えました。

さらに、収納棚などに食器や食品、道具類が収納されていると、移動中(走行中)にガチャガチャとうるさいのではないかと考え、余計な音を出すのならと、収納などは不要と判断しました。

突き詰めると、欲しかったクルマはベッドと電源の運搬車

アルトピアーノ

以上の事を踏まえてキャンピングカーを選ぶと、自分が欲しいキャンピングカーは、「寝床と電源を運ぶ車」と突き詰める事ができました。

そういう視点でアルトピアーノを見ると、実にシンプルで、自分に必要なものだけを装備した「好みにピッタリ」なクルマと言えるのです。

アルトピアーノの購入がもたらした筆者の生活の変化とは?

前述の通り、アルトピアーノは筆者にとって「MPV」(マルチ・パーパス・ヴィークル)です。

普段の買い物や家族の送迎に使っても違和感がありませんし、ドライブやキャンプなどの際には、その機能や装備で寛ぎの時間や安眠を与えてくれます。

そんなアルトピアーノは、筆者の生活や考え方などにも変化をもたらしてくれました。

おおらかな気持ちで運転できるように

我が家は夫婦でよくドライブに出かけます。

その土地の地元グルメを買って食べたり、季節の花や紅葉を見に行ったり、単にクルマで走りたいからというケースも少なくありません。

前車のCX-5は、SUVでありながら動力面や走行性能の面でも高レベルで、走ること自体、運転すること自体を楽しめるクルマでした。

そのため、ワインディングを気持ちよく走り、運転自体を楽しむと言った事もありましたが、それ以外は「目的地まで速く快適に移動するツール」として捉えていました。

しかし、アルトピアーノは商用車、タウンエースバンがベース車のため、運転や走ること自体が楽しいクルマではありません。

非力ですし、走る・曲がる・止まるが最低限きちんとできるレベルの性能しか有していません。

アクセルを踏み込んでもうるさいだけで、スピードも出ませんので、必然的に走るペースは遅くなります。なので、運転していても他車に追い抜かれる事は当たり前、抜かれたからと言ってイライラする事も、もっと速く走ろうとも思いません。

交通の流れを阻害せず、他車に迷惑をかけないように走るのが精いっぱい。CX-5に比べると、運転中の意識がまるで違います。

これは運転に限らず、生活全般に及んでいるようで、何事に対してもおおらかにのんびり考えるようになり、生き方がスローダウンしたような気がします。

ドライブ中にクルマを止めることが大幅に増えた

我が家は夫婦して温泉が好きですし、季節の花々を見るのが好きです。

そのため、花の季節に各地の植物園などを巡って、近隣の温泉宿に泊まるようなレジャーが多かったのですが、速く快適に目的地に到着できるCX-5を運転していた時は、途中で車を止める事があまりありませんでした。

一方、アルトピアーノでの移動は、速くもなく、快適でもありませんが、ゆっくり走る分、道路沿いのお店や看板が目に入る機会が増え、クルマを止める事が多くなりました。

アルトピアーノは、移動中にたびたび車を止める事を楽しむクルマと言えるかもしれません。

アルトピアーノを止めて景色を眺め、コーヒーを味わい、夫婦で語らう…。そんな時間を作り出してくれているような気がします。

いつもアルトピアーノ関連のことを考えている自分がいる

CX-5は「目的地まで速く快適に移動するツール」として捉えており、優れた性能や装備、機能も、快適に移動するために役立つものでした。

しかし、アルトピアーノはクルマを止める事で楽しい時間ができたり、寛ぎの時間を作り出すクルマです。

最近、筆者はアルトピアーノの事を考えている自分に気づく事がよくあります。

いかに室内を快適にするか
、どうすれば外からの視線を防げるか、前回キャンプ時に必要と感じた道具を購入すべきか、
次はどこへ遊びに行こうか・・・等々、アルトピアーノそのものや、アルトピアーノを使用する際の事など、常にアルトピアーノ絡みの事を考えて楽しんでいます。

性能・機能・装備以外にも大切なこと・・・

アウトドアチェア

「なんでそんな中途半端なキャンピングカーを買ったの?」
とよく言われる事がありますが、我が家では夫婦ともにそんな風には考えていません。

前車CX-5と比べると、クルマとしての性能や機能、装備ははるかに及びませんが、クルマ選びって、性能や装備、車格だけではないんだなあ、とつくづく感じます。

クルマを選ぶ基準が違う、使用する目的が違うので、別世界のクルマをあえて比べる必要はないのかなと思います。

自動車としての性能や、キャンピングカーとしての機能、装備では他車にまったく勝てる要素のない「アルトピアーノ」ですが、乗る人の気持ちや、考え方を揉みほぐすような何かを持っているように感じます。

そんな事をどこかで願っていた我が家に、たまたまフィットしただけなのでしょうが、アルトピアーノが我が家にやってきて以降、のんびり・まったり・シンプル・平穏・・・そんな言葉が生活の中に増えたように思います。

そんな事を日々の生活の中で感じるようになった事、それ自体が「最も変わったこと」なのかもしれません。