【メスティンvsアルポット】バリ取りとシーズニングの方法を紹介!
アウトドアで「ご飯を炊く」となった際に使用するクッカーとして、最近めきめき人気を獲得している「メスティン」。その一方、筆者も含めて「アルポット」派の方も少なからずいると思います。
今回は、あまり見かけないメスティンとアルポットの『炊飯対決』として、実際に2つの調理器具を使ってご飯を炊き、どちらが簡単に炊けるのか、また炊いたご飯はどちらが美味しいのか、筆者目線で白黒つけてみたいと思います。
今回は、メスティンvsアルポット対決の第1弾として、購入後のメンテナンスとしての「バリ取り」や「シーズニング」を比較していきます。
目次
メスティンとアルポット、仕組みや構造を比較してみよう
最近のメスティンの人気ぶりはなかなかすごいものがありますね。100均のダイソーからも発売されていますし、Amazon等では様々なメーカーのメスティンがたくさん並んでいて、YouTubeなどではメスティンの炊飯動画が大量に上がっています。
最近はメスティンに人気を押され気味ですが、アルポットも一時は「炊飯と言えばアルポット」的な人気を得ていました。
メスティンの構造と仕組み
メスティンは、無垢のアルミ製クッカーで、弁当箱に取っ手を付けたような特徴的な外見を持っています。
製造元は「トランギア」というノルウェーのメーカーで、国内の販売は「イワタニ・プリムス」が手掛けています。
サイズの大きい「ラージ・メスティン」も存在しますが、一般的にメスティンと呼ばれるのは「TR-210」です。
TR-210のサイズは17.0cm×9.5cm×6.2cmで、重量150g、容積は750mlで、部品点数はわずかに3点です。
炊飯は最大1.8合までとなっています。
無垢のアルミをプレスして作られるメスティンには継ぎ目がありません。形状は、少し厚みのある弁当箱そのもので、米1合に対して200mlの水を基本量として(1.5合なら300ml)炊飯を行います。
バーナー等の熱源は付属していないので別途用意する必要がありますが、固形燃料を使用する方が多いようです。
メスティンでの炊飯は約20分間の燃焼・加熱が必要ですので、燃焼時間20分の固形燃料であれば、時間計測などの手間も不要で、自動炊飯が可能です。
構造も至ってシンプルですので、特に説明する仕組みなどはありません。
手間をかけず誰でも簡単にご飯を炊く事ができますが、美味しいご飯を炊くにはそれなりのコツが必要です。
まず、熱源からの熱エネルギーをできるだけ逃がさないため、風防の使用が必須。また、圧力がかかりにくいため、炊飯時には「重し」を乗せるのが鉄則とされています。
さらに、炊飯完了後には「蒸らし」が必要ですが、薄いアルミの本体では熱が逃げやすいので、保温ケースなどに入れて蒸らすと良いとされるなど、細かな「コツ」が存在します。
本体内に、固形燃料やアルコールバーナー、風防などを収納できるので、携帯性に関しては非常に優秀と言えます。
さらに、メスティンから直接食べてもあまり違和感がないので、ご飯を盛る茶碗が不要と言う事も、アウトドアではお役立ちポイントと言えます。
定価は1,600円(税別)ですが、昨今の人気の影響でAmazon等ではかなり高騰しています。イワタニ・プリムスのオンラインショップ「イワタニ iコレクト」であれば定価購入が可能です。
アルポットの構造と仕組み
アルポットは、国内メーカーである「大木製作所」が製造するクッカーで、すでに30年もの歴史を持っています。
メスティンと違い、構造は少々複雑で、縦長の細長いアルミカップで調理をしますが、アルミカップを収納する本体底部には、専用のアルコールバーナーを備えており、熱源とクッカーが一体構造になっているのが特徴です。
本体内にバーナーを内蔵しているため、風に強く、車内での利用の際にも炎が露出していない安心感があります。
また、本体内に熱源とアルミカップを内蔵する構造に加え、「断熱版」が設置されている事により、あまり火力の強くないアルコールバーナーの熱エネルギーを逃がさずに効率よく利用できます。それゆえ、消火後も本体内を高温に保つことができ「蒸らし」を効率よく行えます。
以前他の記事で、同じアルコール燃料を使った場合の、通常のアルコールバーナーとアルポットで湯沸かしした際の、沸騰までの時間を比較しました。
この実験で、アルポットの方の沸騰時間がかなり早かった事からも、アルポットが熱エネルギーを効率よく利用している事がわかります。
熱エネルギーを逃さずしっかり米に伝えることで、粒立ちが良いのに中まで柔らかい美味しいご飯が炊けます。
ですが、それだけに部品点数は多く、本体・本体底部(アルコールバーナーを装着)・アルコールバーナー・アルミカップ(内鍋)・内蓋・外蓋の6点から成っています。
炊飯可能な量は米2合までで、アルミポット内側に、米と水の量を示す目印があるので、事前に計量しておく必要はありません。
また、炊飯だけでなく、湯沸かしはもちろん、レトルト食品の暖めなどにも利用可能。
ですが、火力を集中させる構造や火力調節ができない上、アルミポットが縦長い(深い)形状である事等から、カレーやシチューなどを直接調理するのはあまり得意とは言えません。
ガタイは大きめで、メスティンと比べると携帯性は良いとは言えませんが、アルコールバーナーや外蓋を食器に利用する等で、本体のみで炊飯と食事が済ませられるため、他の道具類はあまり多くを必要とせず、結果的に省荷物に繋がります。
メーカー希望小売価格は11,550円(税別)ですが、Amazon等では8,000~9,000円程度で入手可能です。
メスティンとアルポットの事前準備~バリ取り
アウトドアの用品やグッズは、使用前にひと手間かけた方が、後の使い勝手が格段に良くなる場合が多いのですが、メスティンやアルポットも同様に、事前のメンテナンスを行う事で使い勝手を向上させることができます。
メスティンのバリ取り
メスティンを使用する前に必ずしなければならない事があります。それが「バリ取り」です。
メスティンの製造工程はイワタニ・プリムスのWEBから見る事ができ、製造過程でもバリ取りを行っているという事ですが、本体と蓋の「フチ」の部分には少なからず「バリ」があります(個体差あり)。
手触りが悪いだけでなく、うっかりフチを撫でるような動作をすると手指を確実に怪我しますので、「バリ取り」は必ず実施しましょう。
一般にメスティンの「バリ取り」は、100均などで購入できる「サンドペーパー(紙やすり)」を使う方法が広く紹介されています。
ただ、自宅にサンドペーパーがなかった場合、わざわさ買わなくても、台所にある「金たわし(ステンレスたわし)」で問題なく代用できます!
濡らしながら金たわしでゴシゴシ擦ることで、金属粉がでてきます。これが「バリ」です。バリが大きくてなかなか削れない場合には、爪切りのヤスリを使うとイチコロです。かなり大きな音が出ますがボロっと取れます。
「金属みがき」等を使って丁寧に仕上げる方もいらっしゃいますが、自分的には手指をケガしなければよいので、ぐるっと一周、金タワシで本体と蓋のフチを削って、指の腹でなぞってみてつるんとした感触になれば充分です。
アルポットのバリ取り
さすがに日本製と言う事で、ユーザーがバリ取りをする必要はまったくありません。
アルミカップのフチもきれいに折り返されていますので、バリが手指に直接触れる部分はありませんし、本体の各部もケガをするような部分はないので、安心して使用する事ができます。
メスティンとアルポットの事前準備~シーズニング
キャンプ道具の中には、スキレットのように焦げ付きを防止するために、油の被膜を作る作業が必要なものがあります。
この作業をシーズニング(Seasoning)と言いますが、「粉末の調味料」という意味の他に「乾燥」の意味があり、これがスキレットのシーズニングの本来の意味だという説もあります。ですが、筆者は「慣らす」「鍛える」という意味の方が合っているように思います。
まあ、言葉の意味は置いといて、そのシーズニングを行う事で、アルミ製クッカーの使い勝手を改善できるといいます。
シーズニングの目的はアルミの表面にごく薄い皮膜を作ることですが、その結果として以下のような効果を期待できます。
1.アルミニウム独特の金属臭を緩和する
不思議なのですが、アルミ臭は全く気にしない人もいれば、ひどく鼻について我慢ならないと言う人に分かれます。
2.アルミニウムの変色を防止する
アルミは変色しやすい金属です。放置しておくと黒化してしまうため、皮膜を作り変色防止を期待します。
3.焦げ付き防止(緩和)
炊飯や調理時の焦げ付きを防止するため…と言われますが、防止まで期待するのは少々無理かと。
スキレット程の明確な効果は期待できないと思います。
気持ち、焦げ付きにくくなったかも…という程度だと考えておくとよいでしょう。
シーズニングの方法
良く紹介されているシーズニング方法は、「米のとぎ汁で煮込む」という方法です。
方法はまさにそのまま「米のとぎ汁をアルミクッカーに入れて15~20分ほど加熱する」です。
我が家では実家から送ってもらう玄米を自宅で精米するため常に糠(ぬか)があるので、今回はこれを使いました。「米のとぎ汁」は、「米から糠を洗い落とした水」ですから、糠の水溶液(糠液)で煮ても同じだろう、さらに、大量に使う事でより濃厚な糠液で煮込むことができる…と思ったのです。
煮沸前の様子がこちら。事前に洗剤で良く洗い、油分を取り除いています。
アルミクッカーとしては、メスティンもアルポットも同じなので、大きな鍋に一緒に入れて糠液で20分間煮沸します。
大量の「糠(ぬか)」を投入。
メスティンとアルポットのアルミポットが隠れるだけの水を加え加熱しました。
ぐらぐらと沸騰し続けて20分。
こちらがシーズニングを完了したメスティンとアルポットのアルミカップです。
正直、何が変わったかわかりませんが、きっと、目に見えない極薄の被膜ができているのでしょう。
早速、シーズニングの効果を確かめるべく、白米を炊いて比べてみた訳ですが、その結果は次回「後編」でお伝えしようと思います。
まとめ
メスティンvsアルポットの炊飯対決の前編として、事前準備の「バリ取り」と「シーズニング」の方法をご紹介しました。
メスティンのバリ取りに関しては必ず実施した方が良いです。本稿では、よくある「サンドペーパー」を使った一般的な方法ではなく、多くの家庭の台所にあるであろう「金タワシ」を使ったバリ取りをご紹介しましたが、ケガをしなくて済むなら、ちょっとした手間を惜しむべきではないと思います。
メスティンはバリ取り必須、アルポットはバリ取り不要です。
一方、シーズニングの方は、皮膜を目で見る事ができないため、その効果は実際に炊飯をしてみないと分かりませんが、少なくとも、以前から所有・利用しているアルポットに関して言えば、これまでシーズニングせずに使用してきました。
シーズニングの有無で使用感が違うのかどうかにも注目ですが、確かにアルポットは焦げ付きやすいのが欠点と言えますので、やはりシーズニングはした方がいいでしょう。
また、WEBを探すと、米のとぎ汁だけではなく「野菜くず」や、「お茶・紅茶」、「牛乳」などでも被膜を作ることができるようなので、自分なりに研究してみるのも面白そうです。
次回はいよいよ後編、炊飯対決!どっちが簡単に炊飯できるか?どっちで炊いたご飯が美味しいのか?を比較していきます。ぜひご期待ください。