• HOME
  • 記事一覧
  • 知識
  • 架装に適した車と私が実際に架装してみたい車〜小型VAN編〜【仮想でキャンピングカーを架装 Vol.02】
架装に適した車と私が実際に架装してみたい車〜小型VAN編〜【仮想でキャンピングカーを架装 Vol.02】

架装に適した車と私が実際に架装してみたい車〜小型VAN編〜【仮想でキャンピングカーを架装 Vol.02】



仮想で架装(一応お断りしておくが決してダジャレのつもりではない)と題しておきながら、前回は架装工場でのバイト経験や国産キャンピングカーの変遷など、ほとんど昔話で終わってしまった。ここからが本題と言えば本題である。





妄想は必要だ!


キャンピングカー架装 設計図

具体的な購入計画があるわけでもないのに、キャンピングカーの写真や見取り図みたいなのを見ては、使い心地とかをあれこれ想像してみるのは楽しい。なんとなく気分が煮詰まっているけど外に出られない時など、買うつもりはなくともヤフオクに出品されているキャンピングカーを見まくったりすると良い気晴らしになったりもする。

そして、「この車だったらここにこうやって荷物を積んで。」とか「この車はここを改造すればSUPのボードを中に入れられる…」「こんな車だったら砂漠や荒野の先にある人のいない極上の波を求めてサーフトリップができる(日本にそんな場所などないのに)…」など、購入計画があるわけでもないどころか買えるわけでもないのに、結構具体的な計画やアイディアを度々思い描いてしまう。

私に妄想癖があるわけではないが、ここまでは仮想ではなく、空想や妄想の世界。もう少し先に進むと、色々な車(スッピンの状態)を見ては架装する案や計画を立ててしまい、実際に絵を描いてしまったりすることもある。仮想の世界で架装してしまうのだ。

設計図

ここでちょっと付け加えておくが、これは決してバカバカしいただの遊びではなく、実際にキャンピングカーや車中泊用の車を購入する前には、使い勝手についてはできる限り具体的に想像してみたり想定しておくことはとても大事なことなのだ。

というのも、展示会場や店頭でのキャンピングカーのディスプレイは、正直言ってあまり実際的ではないと感じることが少なからずあるからだ。

見栄え良くディスプレイするのはいいが、「実際にここに並べられた荷物をこの車に積み込んだら人はどこに乗るの?」とか「この荷物を積み込むことができて人が乗れたとしても、全部外に出さないと寝ることはできないから、SAや道の駅で車中泊しながら長旅することは無理!」とか「棚にきれいに飾られた物は、走行中はこのままでは無理だから、キャンプ地に着いたらわざわざ並べ直すの?」なんてことによく出くわす。

アウトドア雑誌などのタイアップページに関わったりした経験が何度かあるけど、そうした場面でも絶対に積みきれない荷物と人を並べてしまう(私の意思ではないけど)ようなことがよくあるのだ。

華やかな見た目に惑わされず、自分の使用目的や旅のスタイル、積み込む荷物などを考慮し、頭の中や実際に絵を描いたり表を作るなどして、具体的にシミュレーションしてみるのは失敗のない車選びには必須なのだ。

具体的に架装に適した車、あるいは架装してみたい車


車 絵

キャンピングカーにはサイズやベースとなる車のタイプによるカテゴリー分けがあるが、それとは別で自作のキャンピングカー(トレーラーは除外する)の場合は、アプローチの仕方によって大きく三つのパターンに分けることができる。

一つ目はVAN(乗用車ナンバーのミニバンも含む)やコースターやシビリアンなどの小型のバスをベースにした、基本的にはボディーに大きく手を加えない改造だ。

これはさらに、乗用車や商用車ナンバーのまま、快適に車中泊ができるようにする、どちらかと言えば「ライトな改造」と、8ナンバーを取得する、より本格的な「ヘビーな改造」の二つに分けられる。

VANベースのライトな改造


日産 キャラバン

出典:日産(NV350キャラバン)



VANをベースにしたライトな改造または改装は、最も現実的な手段で、実践している人が最も多いだろう。私も自分でVANの内装をいじったりしており、これに当てはまる。
そして、実際に現在私が仮想の世界でライトな架装をしている車(あくまで想像の世界で架装している車)は現行のニッサンNV350・E26型のキャラバンホンダ N-VANだ。

日産キャラバン シートアレンジ

出典:日産(キャラバンNV350 E26・シートアレンジ)



ハイエースではなくE26キャラバンである一番の理由は、後部座席を半分に分割して収納でき、かつフラットになるからだ。

私が現実に持っているE25(現行型ではなく先代の型)キャラバンの後部座席も左右分割はできないがフラットにすることはできる。そのため、子どもの送り迎えや子どもが喜んで一緒に車中泊をしてくれた頃は、二人寝られるようにフラットにした後部座席+足元のスペースに高さ調整のボックスを置くなどして、そこを寝場所にしていた。

しかし後部座席を左右分割できないため、一人で寝るにはベッドが広すぎて無駄が多く、荷物が多い場合は効率が悪いという欠点がある。

広いベッドの半分に荷物を置いたり座席の下に荷物を置くなど工夫をすれば良いと思われるかもしれないが、経験上、寝る時に毎度、荷物をいったん外に出して片付け直す必要があったり、必要な荷物が取り出しにくかったり(自分の寝ているベッドの下など)すると、実際は想像以上に面倒に感じる。

キャラバン DIY

だから現在は通常あまり使うことのない後部座席は畳んでおき、後部座席とは別にベッドを設けている。分割式の後部座席なら、普段は半分収納して半分は座席兼一人分のベッドベースとして使うことができる。

こうして使えばスペース利用上非常に効率が良く、荷物を動かさずに快適な就寝スペースをささっと準備できるレイアウトが可能だ。また、場合によってはかえって無駄で使いにくいとさえ感じてしまうこともある両側スライドドアも、このレイアウトでは非常に合理的で有効活用することができる。

尚かつ、常に自分以外に常時2人乗せることもできる状態になっているし、荷物が少ない場合は簡単に5人乗りにすることも、2人寝られるようにしておくこともできる。分割式の後部座席は非常に魅力的なのだ。

また、私が現在所有している旧型のE25はスーパーロングだけど、現行型のE26はE25の標準ボディーより荷室長が長く(3050mm)、私のE25のスーパーロングに近い荷室長がありながら小型車登録となるのも小さくない魅力(私のは1ナンバー登録となってしまうため、高速料金が高い)だ。

そしてE25のスーパーロングは全長が5mを切っていたが、ハイエースもキャラバンも現行型は5m超えで、実際の使い勝手(具体的にはコインパーキングやフェリーの利用)を考えると躊躇してしまい、それならいっそもっと家っぽいキャブコンとかフルサイズのVANの方が良いとも思えてしまう。

そんなわけで、今のところ新車に買い換える予定などないし、形も現在所有している旧型のE25の方が好きだけど、NV350・E26型のキャラバンの室内レイアウトを具体的に考えて図にしてみたりしている。なんてやっているうちに、次に買い換える時にはモデルチェンジしているかもしれないが、あくまで仮想だから問題なし。

ホワイトハウス N-VAN COMPO

ホワイトハウス N-VAN COMPO



次に架装を仮想してしまうのは以前知人から譲り受けたバモスの後継のN-VANだ。バモスは大変気に入っているし、まだまだ当分使えそうなのでやはり買う予定などないけど、この車には何か惹きつけられるものがある。

そして、「具体的な絵を描いたりして応募するとホンダがモニターで貸し出してくれるキャンペーン」をデビュー時にやっていたので、実際に絵を描いてみたりもした。もれなく外れたけど。

トヨタ デリボーイ

トヨタ デリボーイ



N-VANはNボックス譲りで走行性能が良さそう(どちらも実際に乗ったことはないので評判に過ぎないが)なのも魅力だが、運転席以外は全てフラットにできることが最大の魅力だ。そしてこれは実は以前持っていたトヨタ デリボーイと類似している。FR(デリボーイ)とFF(N-VAN)という大きな違いはあるが、N-VANにはデリボーイを軽自動車にしたような雰囲気がある。

デリボーイ サイド

トヨタ デリボーイ



N-VANのように床下にではないけど、デリボーイも助手席まで畳んで荷室にすることができた。実際にデリボーイがあった時は家族を乗せたりと、完全に1人乗り仕様にしたままにしておくことはできなかったのだが、「運転席以外はフラットで後ろへ行き来できるレイアウト」は特に1人で使う時に非常に使い勝手が良かった。

残念ながらこの車は友達に貸している時に事故って廃車となってしまったのだが、今だったらこの車を完全に1人乗り仕様にして使いたかったと思う。

この使い心地を経験していると、サイズはちょっと小さくなるけど、N-VANにも多いに期待が持てる気がする。

VANベースのヘビーな改造


VAN

VANや小型バスをベースにしたヘビーな改造は、本格的な水回りやキッチンの設備を設え、8ナンバーを取得する改造だ。

しかし、ヘビーな改造とは言え、フィアットのデュカトや日本では販売されていないニッサンのNV400、メルセデスのスプリンターなどの大型のVANであれば室内の高さもあるため(160cmなければキャンピングカーとして登録できない)、ボディー自体に大きく手を加えなくても本格的なキャンピングカーを製作することが比較的容易だ。こうした改造はインスタグラムやYouTubeなどで欧米の人達がやっているのを多く目にするが、心底羨ましく思ってしまう。

もし私が現行モデルや限りなく現行モデルに近いVANをベースに動く家を作るなら、キャンピングカーのベース車両の定番でもあるフィアット デュカトか日本では販売されていないニッサンのNV400辺りを選びたいと思う。あくまで仮想の架装だから何でもありだ。

前述した通り、5mを超えたハイエースやキャラバンをベースにするのは、何か中途半端な気がしてしまう。と言っても、これはあくまで私の使い方に照らし合わせた場合の意見なので、それらが良くないと言っているわけではないので、悪く思わないでほしい。

デュカトはFFレイアウトで低床なのが魅力だが4WDの設定はない。それに対して、NV400はなんと同じボディーで積載量や用途に応じてFF・FR・4WDを選ぶことが可能で、各々のパワートレインでボディーの長さ高さのバリエーションも選べるそうだ。

日産NV400

出典:日産(NV400)



NV400は実際にはルノー製のニッサンブランドだけど、自分が買える買えないは別として、ぜひ日本でも販売してくれたら面白いと思う。

日本には大き過ぎると思われてしまうようだが、乗用車に乗る人の視点から考えれば大きいけど、エルフやダイナのアルミバンを使っている人の視点から考えれば特別大きな車でもない。駐車場の制限はネックとなってしまうが、街中で機敏に動き回っている佐川急便さんのことを考えれば運転に関しては何も問題ないはずだ。

近いサイズの車で、近頃何かと話題になっている輸出用のデカハイエースがあるが、正確には分からないがエンジンの配置位置とかフロントウィンドウのスラント具合とか、私には正直言って中途半端なスペックに思え、この車にはあまり興味が湧かない。断然NV400に興味がある。

余談だがあのデカハイエースに関する記事で、「ミニバンの形はしているが巨大…」のような表現を目にした。これを書いた人は鼻がある形をしたバンをミニバンと呼ぶのだと勘違いしているのだと思うが、これは全く本末転倒だ。

「ミニバン」は、元々ダッジやフォードやシボレーのフルサイズバンに対してシボレーのアストロなどのような少し小型のバンが出現したことによる呼称だ。ビッグスリーのものより若干小ぶりでもフルサイズピックアップの範疇に入るタコマ登場の時のように「いよいよトヨタもフルサイズバンを作るようになった。」などが正しい表現だと思う。

FIAT ducato

それはさておき、実際にデュカトかNV400を仮想の世界で架装すると、先ずは最後部の少し高い中二階のような位置に横向きのベッドを設置する。これはデュカトのキャンピングカーでは定番的な配置だが、コースターなど小型のバスでは少数派だと思う。

しかし私は仮にコースターをベース車両として選んだ場合も迷わずこの配置にする。私の場合はここが仕事の道具でもある、インフレータブルSUPのボードやフォールディングカヤックなど大型の荷物の倉庫になるからだ。

FIATducato 構造図

そして室内の天井部分にボードのラックを設えておけば、観音開きのバックドアから出し入れができる。バスルーム(トイレ・シャワー室)も設置したい。運転席と助手席が回転式だと無駄がない。ここまではデュカトベースの既製のキャンピングカーにもよくあるレイアウトだ。

しかし、私はバスルームと反対側の室内の天井部分にボードのラックを設えたいわけだが、そこにボードの下に立って使うような高さのキッチンがあった場合、そこで火を使うのは都合が悪い。

デュカトのキャンピングカーは、かなり私の理想とするレイアウトの車が多いのだが、この最後の部分が大きなネックとなってしまう場合が多いのではないかと思う。立派なキッチンを作り直すくらいなら、むしろ最初から作ってしまった方が合理的と考えられる。やはりまずは仮想してみた方が良いようだ。

と言うところで、今回はVANベースのヘビーな改造の中途半端なところで終わってしまったが、トラック編へと続く。