キャンピングカー市場は変わらず活況!東京キャンピングカーショー2023振り返り
キャンピングカーの価格は高値推移
会場のあちこちで聞かれたのが「高くなった」という感想です。
実際、展示車両のプライスタグを見ても、カムロードベースのキャブコンは1000万円台が中心。
フルオプションで試算すると、1500万円超といった例も見られます。
これはキャブコンに限った話ではなく、ハイエースベースのバンコンをはじめ、軽キャンピングカーも軒並み、車両価格は上昇傾向です。
値上がりの大きな要因は、ベース車両の価格上昇と装備品の多様化の影響が考えられます。
あらゆる車種でベース車両の値段が上がっています。
それも大幅な上昇ですから、当然、キャンピングカーの価格上昇に直結せざるをえません。
車両価格の上昇はキャンピングカー業界だけの話ではありませんし、こればかりはキャンピングカービルダーの努力で対策できるものでもありません。
さらに、バンコンの主力ベース車であるトヨタ・ハイエースはマイナーチェンジを控えており(新規受注は既に停止中)、リニューアル後には更なる値上げも予想されています。
また、装備面の拡充傾向も値上がりに拍車をかけています。
軽キャンピングカーに至るまで、停泊時エアコンが“当たり前”になりつつあり、快適性を高めるこうした装備が増えるほど、価格の上昇につながっていきます。
輸入キャンピングカーには円安の打撃も
輸入車も例外ではありません。
キャンピングカーの価格上昇は世界的な傾向なので、現地価格も上昇。
輸送費も高騰している上に円安が重なっての三重苦です。
輸入車ディーラーにとっても、愛好家にとってもなかなか厳しい状況は続いています。
では、今後の展望はどうでしょうか。
私は経済アナリストではありませんが、自動車業界、キャンピングカー業界の状況をかんがみるに、残念ながらこの先も、すぐに値段が下がる要因はあまりみあたりません。
消費者はリセールバリューが高いことや、10年以上の長期ローンが組めるなど、キャンピングカーならではの利点を最大限に生かせるよう、工夫をしながら賢い買い物に努める以外ないでしょう。
大メーカーからの注目の製品が登場?
一方で、新しい風も吹きつつあります。
ショックアブソーバーや油圧機器で世界的に知られるKYB(カヤバ株式会社)がショーに持ち込んだのは、春の東京オートサロンでお披露目した「スライドアウト&エレベータールーフ」をもつキャブコン(カムロードベース)と、ハイマー(ベンツベース)に組み込んだ「フルアクティブサスペンション※」です。
前者のキャブコンに関しては、自前の油圧機器技術を活かしたコンセプトモデルの色合いが濃く、まだ実用化・製品化には至らず。
車内スペースなど、使い勝手の面では実用にはまだ遠いように思えました。
その一方で、後者のほうは実用化も早そうな気配。
商用車ベースがほとんどのため、乗り心地に不満なユーザーも多いキャンピングカーですが、フルアクティブサスペンションができれば、高級乗用車顔負けの乗り心地も夢ではありません。
積載能力に余裕のある輸入車にしか装備できない可能性はありますが、期待したい技術です。
※フルアクティブサスペンション
前後左右のサスペンションに組み込まれる機構。路面状況に合わせ上下の振動はもちろん、左右のローリングも吸収・緩和してくれる
タイヤにも見るべきものがありました。
ヨコハマタイヤが展示していたのが、キャンピングカー専用タイヤのブルーアース・キャンパー。
ヨーロッパでは当たり前のCP規格(=キャンピングカー専用規格)タイヤは、これまでミシュランからのみ発売されていましたが、国産メーカーから商品が登場したのは価格・供給の両面で歓迎できるトピックスです。
聞いてみたところ、あいにくまだ試乗できる環境はないとのことなので、こちらの商品については、続報をお伝えできるよう、引き続き注視していきたいと思っています。
まとめ
コロナ対応も五類に移行したものの、まだまだ気が許せない日々は続きます。
インフレも継続中などマイナス要因も大きい中、それでも成長傾向を見せているキャンピングカー市場。
すそ野の広がりばかりではなく、より洗練された製品が登場し、ますます成熟していくのではないかと期待しています。