ジャパンキャンピングカーショー2020の感想と注目の車種 Vol.1

ジャパンキャンピングカーショー2020の感想と注目の車種 Vol.1





話題の新型ハイエース



ジャパンキャンピングカーショー2020 グランエース

新型ハイエースは何かと話題になっていて、私も気になる車ではある。

柵のある一段高いところに置かれていて、触るどころか中を覗くこともできなかったが、Toy Factoryからポップアップルーフを備えた輸出用の新型ハイエースが参考出品のような形で展示されていた。

ゴージャスなパッセンジャーバンは日本でも「グランエース」という名前で発売されることが、既にトヨタから公式発表されているが、商用車バージョンや特装用ベース車の発売予定は今のところ未定なようだ。

グランエースは最低でも600万円以上するみたいだから、グランエースをベースにほとんど内装を作り直すような本格的な改造を施すのはコストの無駄が多く、現実的ではない。

新型ハイエースベースのキャンピングカーに興味を抱く人も多そうではあるが、特装用ベース車が発売されなければ、本格的なキャンピングカーの登場はどうなのかなといった感じは否めない。

また、短いボンネットのある形のVANということで、デュカトと似たタイプの車両として扱われそうだが、グランエースはFRだから、デュカトやニッサン バネットのように低床にすることはできない。

ジャパンキャンピングカーショー2020 デュカトベース

そして、デュカトはエンジン横置きFFで正真正銘ノーズが短い。

また、ダッジやシェビーなど古き良きアメ車のバンも新型ハイエース同様にFRのエンジン縦置きレイアウトだが、短いノーズに収まりきらないエンジンは、運転席と助手席の間に大きく張り出すことで、室内長を稼いでいた。

ジャパンキャンピングカーショー2020 グランエース

それに対し新型ハイエースは、この手の形の日本車によくあるように、外に張り出した部分が短くて一見ノーズの短い車だが、フロントガラスのスラントが強く、実際にはドライバーズシートから車の先端までの長さが結構長い。上2枚の画像を比べると一目瞭然だ。

よって、室内高でデュカトより不利なだけでなく、有効な室内長もデュカトや古き良きアメ車のフルサイズバンのようには長くはなさそうなことを残念に感じてしまう。

あまり好意的ではないと思われるかもしれないが、これが新型ハイエースに対して抱いた個人的な感想だ。

今年も軽キャンパーが人気


ジャパンキャンピングカーショー2020 N-VAN 

軽キャンパーの展示も多かった。

軽自動車は車体の価格のみならず維持費なども大きな車より大幅に安い。またキャンピングカーをセカンドカーとして考えた場合も、維持費や駐車スペースなどの負担が小さくて済むことは大きなメリットとなる。

そういったこともあり、軽キャンパーは人気が高く、どのブースも盛況だった。

また来場者の中にはキャンピングカーに興味はあるけどおぼろげで、まだ現実味のない人も多くいたと思う。

しかし(勝手な想像の域を脱しないのだが)、軽キャンパーや小型のキャンパーを見ている人は、現実的な選択肢として熱心に見入っている人が多いような気もした。

軽のイチオシはN-VANか



現在、軽のバンを製造しているメーカーはスズキとダイハツとホンダの3社のみ(スズキとダイハツは他のメーカーにOEM供給もしているが)となってしまった。

そして、スズキ(エブリイ)とダイハツ(ハイゼット)は、どちらもオーソドックスなシート下にエンジンの収まるFRレイアウトだが、ホンダのN-VANはボンネットの下にエンジンの収まるFFレイアウトであることが他の2車と大きく違う点だ。

FFレイアウトは室内高を高くとれる点では有利だが、小さいながらもエンジンの収まる部分の張り出しがあるため、エブリイ・ハイゼットと比較すると荷室の長さでは不利になってしまう。

ジャパンキャンピングカーショー2020 N-VAN シートアレンジ

それをカバーするためにN-VANは後部座席も助手席も全て床下に収納することで、長尺ものを収納できる長く平らな床を作れるようになっている。

その運転席以外全て平らになる床と、助手席とスライドアドアの間にセンターピラーのない大きな開口部がN-VANの大きな特徴として取り上げられることが多いが、キャンピングカーとしての使い心地を考えた場合、実は高い室内高こそが他の2車とN-VANとの絶対的な違いであると私は思っている。

床全面をベッドにしたエブリイやハイゼットを見て私がよく思うことは「寝るとき荷物はどうすんだろう?」だ。

展示車を見ていると、魅力的な内装の装備とかに目が行きがちで、荷物の置き場について考えることを忘れてしまう人も少なくないのではないかと思うのだが、実際に車中泊をする場合には荷物の置き場は非常に重要だ。

エブリイとハイゼットはハイルーフでも室内高が125cm未満しかない。マットの厚みなども考慮した上で中で座ることを考えると、この高さで床下に収納のあるベッドを作ろうと思った場合、ポップアップルーフでもなければ床下収納の高さは20cmくらいまでが限度ではないかと思う。

しかし、普通のハイルーフでも室内高が1,365mmあるN-VANなら、同じように考えると30cmの高さの床下収納スペースを設けられることになる。

ジャパンキャンピングカーショー2020 N-VAN ベッド

この高さがあれば、運転席も含めて室内全体を寝室にした場合も、快適に過ごせる室内高と結構な量の荷物を収納しておく床下スペースを確保することが可能だ。

また、1,365mmあると中腰で立つこともできるため、室内で寝っ転がったりせずに着替えをすることなどもできる。

こういった特徴から、実はN-VANは大きな改造をしなくても非常に現実的に使いやすい車中泊カーになる車ではないかと私は思うのである。

次回



といったところで今回はここまで。次回の内容はこのショーの話の続きで、トレーラー、ナイスなアイディア、キャンピングカーを取り巻く環境などについて。