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「軽自動車は長距離ドライブに向かない」は本当か?千葉から瀬戸大橋の車旅で思ったこと(前編)

「軽自動車は長距離ドライブに向かない」は本当か?千葉から瀬戸大橋の車旅で思ったこと(前編)



軽自動車の世間的なイメージ


「ノンターボの軽自動車では高速道路の流れについて行くのが難しい。」とか「軽自動車は高速の合流が怖い。」などのような意見は、一般人の感想だけではなく、車評などでも書かれていることがある。

確かに軽自動車はどちらかと言えば遠出より近距離での使用を主体に考えて作られている車種が多いのも事実だ。HONDAバモスを譲り受けた時にユーザーの声などを調べてみたところ、遠出や高速走行に関しては、やはりどちらかと言えば否定的な言葉が多く並んでいたし、この車は山梨の身内から貰ってきたのだが、姪からは「おじさん、こんなので千葉県まで帰れるの? 高速とか走れるの?」とまで言われた。

これが軽自動車に対する一般認識なのだろうか? キャンピングカーやバンであっても、軽自動車は長距離移動や長期の旅には不向きと思われていることも多いようだ。

本当のことを言ってしまうと、私はどちらと言えば低回転型の大き目のエンジンの車の方が好きで、実は軽自動車が特別好きなわけでもなかった(と言ってもバモス以前にも軽自動車は2サイクルエンジンのジムニーと軽トラ2台を所有したことがある。)。

しかし、感じ方は人それぞれだから仕方ないとしても、イメージ先行や判断基準の違いによって正当評価されていなったとしたら軽自動車が可哀想だ。

そんなことを考えていたところ、ちょうど瀬戸大橋近辺の島へSUPでツーリングしに行く計画が入ったので、車中泊仕様化の進む私のバモスで長距離の旅を検証してみることにした。

バモスを譲り受けて3ヶ月の間に、既に房総半島南部から大阪往復と群馬県の山間部への旅程度は経験している。山梨にも1度程里帰りさせている。しかし今回はもう少し距離も長くなるが、運転する時間も中で暮らす時間も長くなる。走行性能的なこと以外にも人車共に疲れないかがポイントだ。

 走行性能に関して


軽バン

前回大阪へ向かった時は、横浜から先は愛知県の岡崎辺りまで下道を走ったので、小田原辺りから足柄までの東名の山登りを経験していない。山梨に行った時も国道20号で行っているので、中央道の談合坂の登りを経験していない。

しかし、きつく長い登り坂の多い名阪国道で些かパワー不足を感じたことはあっても、止まりそうな速度で登坂車線を進む大型トラックの後を着いて行くことを強いられるようことなどはなかったので、今回は初日の目的地の大阪までは、横浜町田から伊勢湾岸道の亀山まで全て高速を使うことにした。

高速道路での合流


まず最初に「高速の合流が怖い」に関して言えば、私のバモスはノンターボのATミッションだが、高速道路の合流で速度が出なくて問題や恐怖を感じたことなど一度もない。似たようなことをキャブコンの運転に関しても聞くことがあるが、軽自動車だってキャブコンだって、10t満載の大型トラックよりは加速性が良いのではないだろうか?

そもそも実際世間の交通の流れはそんなに恐ろしく速いわけではない。こんなことを言っては何だが、「高速の合流が怖い」は車の性能の問題ではなく、その人の感じ方の問題じゃないと思う。

少なくとももっと遅い車(荷物満載の大型トラックやトレーラー)がいるのも事実なのだから、引け目を感じる必要などない。躊躇して妙な動きをしたりするからかえって怖く感じるようなことになるのだ。無用な遠慮などせず、普通に堂々と振る舞えば良いだけだ。

スピードについて


次にスピードに関してだが、軽自動車が「高速道路のスピードの流れに着いて行けない。」も大袈裟過ぎる。普通の乗用車やスポーツカーを基準に考えれば最高速度や加速性能に物足りなさを感じるかもしれないが、高速道路を走行する車の多勢を占めるのは大型トラック(場所と時間帯によっては圧倒的多数となることもある)なのだから、本来そっちが高速道路の流れの基準と考えるのが妥当だと私は思う。

現在の大型トラックはリミッターが付いていて時速90キロしか出ないから、日本の高速道路上には時速90キロに満たない車が多数走っている。基本的に大型トラックと同程度のスピードで走り続けることができれば高速道路の走行は問題などないことになる。

そして実際、余程の整備不良か旧車でもなければ、現在の軽自動車は大型トラックよりスピードは出るし加速性能も優れている。平均以下の速度で走る車がいても、他人に迷惑をかけることなどなく、軽バンだってちゃんと追越車線に出て抜くくらいのことは十分可能だ。

今回の実例として、小田原辺りから足柄SAまでの東名の坂道も、左ルートを走行して登坂車線に入ることもなく全く普通に走れたし、帰りの沼津から御殿場までの長い上り坂も全く問題なかった。それだけでも全く十分だ。

また、スピードが出ないと長旅では疲れてしまうといった考え方もあるが、長距離トラックドライバーは毎日90キロ以下のスピードで高速道路を走行しているのだから、長旅に必要な速度性能もそれ基準で問題ないはずだ。

そして、確かに軽バンは絶対的なスピードは速くはないが、平坦な一般道を普通に走っているときには全く遅いと感じることなどない。感じることがあるとすれば、やはり高速道路走行中と急な登り坂だけだ。

しかし、速くないのはデメリットでもあるがメリットともなる。スピードが出なければ、ついスピードを出し過ぎてしまうようなことも必然的に減る。また、軽でカッ飛ぼうと張り切っている姿って見ていて痛々しいから、諦めがつくのか開き直りなのか、むしろゆったりした気持ちでいられるようなこともある。

要するに、軽自動車の走行性能に不満や不安を感じるのは高性能な乗用車を基準に考える人の意見に過ぎないというのが私の出した結論(あくまで私個人の)だ。

高速を楽に走るちょっとしたコツ


高速道路を長時間走る際に、私は程良い速度で安定した走行をしている大型トラックを見つけ、その車と暫く勝手に行動を共にさせてもらうような走り方をすることがある。優秀なプロドライバーは無駄なことはせず、90キロしか出ないのに上手い人は追い越しのタイミングとかも絶妙なため速度も挙動も安定している。一緒に行動していると楽なのだ。

しかし、登り坂などでスピードが合わずに別れてしまうこともあるし、休憩のタイミングや行き先の違いなどで別れてしまうこともある。また、ずっと同じ車の後を着いていると飽きるので、時折その勝手に行動を共にさせてもらう「優良トラック」を変更する。

この「優良トラック」の見つけ方は勘のようなものなので簡単に説明することはできないが、これを繰り返していると運転が楽で、何を積んで何処へ行くのだろうと想像したりしながら運転していると、休憩のタイミングの2時間が案外短く感じるおすすめ技だ。

急坂走行


ターボチャージャー付きはどうかわからないが、確かにノンターボの660ccエンジンが上り坂に弱いことは否めない。しかし登坂車線を走行しなければならないことは殆どない。

それでちょっと思い至ったことがある。パワー不足を訴えるような人は、きつい坂を登る時や高速の合流や追い越しで加速したい時にもエアコン全開のままではないだろうか? エアコンはかなりの力を奪ってしまう。登り坂や加速したい時には小まめにエアコンを止めてしまうだけで感じる力が全然違う。「登らない」と思うときはエアコンを確認してみて欲しい。

また多い失敗が、登りの途中や登り始めなど変なところでスピードを落としてしまうこと。一旦エンジンの回転が落ちると登りでは回転数が回復しにくくなってしまう。「登るぞー!」と車と息を合わせた勢いも大切だ。

小さいことのメリット・デメリット


軽バン 後姿

知らない街で駐車場所やお店を探す時、あるいは迷路のような道に迷い込んでしまった時などは、小回りが利くことが本当にありがたく感じる。

また、旅先の知らない道では国道だから大丈夫だろうと思って進んで行くと、細い林道や畦道のような道になってしまうこと(400番代の国道が怪しい傾向が強い)もあるし、渋滞情報に対応したスマホのナビアプリが、時折車のサイズなど考えなしにとんでもなく細い道を案内することもある。そんな時も小さく小回りが利くと安心だ。

心理的に小さい車の前には入りやすいと感じるのだろうか? 大きな車で走行している時より、高速道路で少し無理な車間距離で前に入られることが多いように感じる。前に入られて悔しいとかではなく、安全のためにそうしたことには少し注意しておいた方が良さそうだ。

瀬戸大橋・鳴門大橋

これは大きなバンやキャンピングカーにも当てはまることだが、箱型は横風の影響を受けやすい。強風の吹く橋の上の走行は怖い。今回の旅では瀬戸大橋と鳴門大橋で10m以上の強風を体験をした。風(フウ)の「ウ」をとればキョウフ、強風と恐怖は紙一重?

というところで、今回の軽バン長距離旅検証結果はここまで。居住性などについては後編で。