「軽自動車は長距離ドライブに向かない」は本当か?千葉から瀬戸大橋の車旅で思ったこと(後編)

ドライブ・旅行

運転中の居住性

前回の「軽自動車は長距離ドライブに向かないは本当か?前編 」は走行性能などが話の中心となったが、今回は実際にやってみて、居住性はどうだったのかとか、人と車双方の疲労具合などについての報告。

バモス・エブリー/キャリーバン・ハイゼット/アトレー何れの軽バンもシート下に前輪のあるキャブオーバーではないため(同じ名前でも軽トラは現在皆キャブオーバー)、前輪のホイールハウスが邪魔をして足元は決して広くない。

バモスから足元の広々としたキャラバンに乗り換えた時に、ブレーキペダルからアクセルペダルに足を移す際にアクセルペダル踏み落とすことがあった。反対のブレーキペダルの踏み落としでなくて幸いだが……。

また、比較しては気の毒というものだが、もう一台の愛車のE25キャラバン(グレードの高いモデルだけど)の運転席が広々していて、シートの座り心地も少なくとも自分には大変しっくりきているので、それと比較すると快適性が落ちることは否めない。

しかし、それでも1日の運転時間が多い日が9時間に達する旅を1週間続けてみても、疲れてどうしようもないことなどなかった。むしろ連日運転していると、この狭さや加減やペダル位置のオフセット感にもどんどん慣れてきた印象だ。

そしてバモスはもう生産されていない車だから中古で入手する際の参考としかならないが、エンジンがなんとリアミッドシップ搭載(スポーツカーのよう)なため、シート下にエンジンのある車(現行のエブリーとハイゼット/アトレーとこれらのOEM車はシート下エンジン)のように尻やフクラハギ辺りから室内が熱くなってきたりすることがなく、室内へのエンジン音の侵入が少ない。そしてハンドリングも良くて案外ワインディングロードの運転も快適で楽しかったりする利点がある。弱点はオイルチェックなどエンジンルーム内の確認が少し面倒なこと。

因みにこれも生産終了してしまった車の話だが、スバルが自社生産していた当時のサンバー(現在はダイハツからのOEM)はポルシェ911などと同じRR(リアエンジンリアドライブ)だったため、バモス同様室内が熱くなりにくく、静粛性も高かった。さらに形がキャブオーバーだったため、比較的足元も広かった。

「静粛性が高い」ようなことを書いたが、シート下にエンジンを搭載する車と比較した場合の話であって、今時の乗用車にしか乗ったことがないような人がどう感じるかはわからない。これはあくまで自分基準だが、少なくともバモスは長距離走っても騒音や熱に悩まされるようなことはなかった。

しかし、私のバモスはなんと今時珍しい3AT。時速では概ね40km以上は同じギアが担当し、常用域の2,000回転から6,000回転のエンジンの回転数のみで実質スピード調整をしていることになる。せめてもう1段ギアがあったらなあとは思ってしまう。

 車中生活での居住性

車内のレイアウトにもよるが、ハイエース・キャラバンクラスだと、ある程度自由に体を動かすこともできるので、中に居続けていてもあまり窮屈に感じることはない。

しかし、軽バンの場合は天井高の低いステーションワゴン(車検証ではバモスも車体形状:ステーションワゴンだが)よりはマシだとしても、何と言うか自由に体を動かせない感が強い。数泊してみて思い浮かんだのは、背負って運べるサイズのテントの中にいるようなイメージだ。

自作した押入れの2段目の棚兼テーブルで仕事(この文章を書くなど)をしたり食事をするのは全く快適で、就寝中も全く問題ないのだが、あまり長時間同じ体勢で居続けるのはエコノミー症候群になりそうで良くない。

そんなときにちょっと体を動かそうと思うと外に出ることになる。オーニングやタープを張ることのできるキャンプ場などなら雨の日なども問題ないのだが、道の駅泊などの場合はちょっと不便しそうなことを実感した。

そして、これは車内の居住性の問題ではないのだが、5月だと言うのに香川県の道の駅泊で、まさかの蚊に悩まされた。

キャラバンには虫除けとかも含め生活用具一式が年中常備してあるのだが、バモス君は使い始めて日が浅いし、スペースも狭いのでその都度必要な物しか積んでいない。

季節的に虫対策など考えていなかったことが仇となり、夜中にプ~ンの音に悩まされ、この晩は全く熟睡できなかった。車に虫除けは常備しておいたほうが良さそうだ。

荷物の積載

大きな車より積める荷物は当然少ない。色々な考え方があるが、「余計な物は極力削り、身軽な方が旅は楽しい。」と考える人や、そういった工夫を楽しむ人にとっては軽バンのスペースは全く持って程良い大きさだ。

むしろ徒歩・自転車・オートバイなどでの旅のことを考えれば贅沢極まり無い条件とも考えられる程だが、引越しのようになんでもかんでも持ち運びたい人には少々物足りないかもしれない。でもそういったタイプの人は多分端から軽バンなど眼中になさそうだから何れにしても問題ないか?

今回はSUPのインフレータブルボード(空気を入れて膨らませて使うSUPボード)のプロモーションの仕事も兼ねた旅だったので、自分用以外に2本、計3本のインフレータブルボードを持って行った。インフレータブルボードはたためるとは言えそれなりの大きさがあるが、1本は屋根に積み、車内に2本積んでも就寝スペースはしっかり確保できていたので、普通の一人旅だったらかなり余裕はあると思う。

また今回、道の駅でスズキの軽バン(エブリー)で、ご夫婦と思わしき男女2人が宿泊しているのを見かけた。遠方のナンバーだった。大きな荷物(私の場合はインフレータブルSUP)がない人なら2人でも就寝に必要十分なスペースはあると思うし、屋根も有効に使えば普通の旅には全く問題ない積載量があるのは確かだ。

 まとめ

今回の一週間の旅の全走行距離は1,850km。燃費は発進停止が多く坂道も多い神戸の街中を抜けた区間が最も悪くてリッター14km未満、次に燃費が悪いのは高速道路でリッター15kmちょっとぐらい、しばらく信号のない平均時速60km位で走り続けられる区間が最も良く、リッター17kmを超えていたようだ(他の区間と混ざっているので正確には不明)。結果、全体で見るとリッター15kmは軽く超えていた。

房総半島南部から岡山へ行って、四国北部と淡路島を通ってまた房総半島南部に戻っても、かかったガソリン代は18,000円ちょっと。さらに高速代が安いので、交通費はキャラバンで出かけた場合の半分程度かそれ以下だ。

経済的なのは元より、結論を言えば軽バン(バモス)での長距離車中泊旅は何も問題なく十分可能だ。もちろんキャラバンやハイエースの方が快適だとは思うが、全然無理している感じはなく、戻ってからも特別な疲労感が残っていることなどもなく、車の方も全然好調。少なくともこの程度の期間と距離と内容の旅なら全く問題はなかった。

誤解を招かないように少し付け加えておくと、私はむしろ普通の乗用車にはあまり馴染みがなく、トラックやバンに乗ってきた経験の方が圧倒的に多いため、車の乗り心地や性能に関する感覚が一般的な感覚とは少し違っている可能性はある。

そして体力も普通より少しある方かもしれない。同じことをしても全く異なる感想を抱く人もいると思う。だが、私の旅は目的がSUPでのツーリングやサーフィンであるため、ドライブするだけでなく、途中十分体力も使っているが、その疲れを癒す寝床となり、そのための道具の運搬と移動手段の役割を、長さが3.4mに満たず、エンジンの排気量が660ccしかない車がこなしていると考えると凄いことだと思う。