マツダ プロシード

気軽に車中泊を始めよう!80年代『車旅』回顧録




二台目も結局ピックアップトラック


次の車はマツダ プロシード。またもやピックアップトラックで、まだVANは入手していない。時代はバブルで血迷ったのか、私もこの時人生唯一の新車を買ってしまった。

昔に所有していたプロシード

この車はダブルキャブのように人が寝るには長さの足りない荷台ではなく、しっかり人が寝られる長さの荷台を備えていながら、2列目のシートもあってフロントシートがフルリクライニングする。

ハイラックス同様の寝心地の荷台を備えながら、車内で寝る時は少なくとも普通のセダンと同じようには寝られる、いいとこ取りの車だった。

さらに後部座席は平なベンチシートだったので、膝を立てればそこで寝ることもできて、買ったばかりの頃はそれが嬉しくて、わざわざ後部座席で寝てみたこともあった。

ハイラックス同様ガソリンエンジンだけど、排気量は2.6Lでパワーにもゆとりがあり、5速のマニュアルトランスミッションでホイールベースも長くて高速も楽ちん。長距離ドライブも非常に楽な車だった。

この車では北海道にも行った(北海道には何度か足を運んでいるが、車で行ったのはその後妻となる人とこのプロシードで行った一度だけ)し、陸路で九州にも行ったけど、船に乗って奄美大島にも行っている。

沖縄以外は日本中のほとんどに足を踏み入れたような車だ。

その当時は湘南に住んでいたのだが、休日に近所で波がないと、千葉方面や茨城方面にも足繁く出かけ、ほぼ毎回キャンプして過ごしていた。

荷台やテントで寝ていたのだけど、キャンプ場も現在のようにはないし、RVパークなんて言葉すら日本にはまだなかった。

しかし、キャンプをしても問題のない空き地のようなところがまだあちこちに点在していて誰に迷惑をかけることもなく自由に車旅を楽しめる良い時代だった。

それは厳密に言えばグレーなことだったのかもしれないけど、そもそもそんなことをする人が少なかったから、「・・・禁止!」のような看板もなければ咎める人もいなかったのだ。

荷台にはカヤックやロングボードを載せるためのやぐらのようなものを作って設置していたのだが、これも何度か作り直していて、自分で作った箱を載せてVANのような使い方をしていた時期もあった。

しかし、この車は雨どいの辺りが錆びて修復不能なまでに穴が開いて、雨が降るとズブズブに雨漏りするようになってしまい、走行距離は10万キロ超えてもメカ的には特に何も問題はなかったのだが、残念なことに10年で廃車となってしまった。

ハイラックスもそうだったけど、90年代前半頃までの車は現在よりずっと錆に弱かったと思う。そして、それが昔は車の寿命の目安が10年10万キロなどと言われていたが理由の一つでもあったように思う。

初めてのVAN


初めのVANを入手したのは独立して自分で商売を始めるようになり、プロシード以外にもう一台車が必要になってからのことだ。トヨタ デリボーイというちょっとレアな車だ。

昔に所有していたデリボーイ

この車はプロシードと並行して使い始めた訳だが、20世紀中のほとんどは屋根のない荷台を使った半車中半車外泊で過ごし、90年代半ばを過ぎてからようやく子供の頃から夢見た「部屋のある車ライフ」がこのデリボーイ君と共にスタートすることになったのだ。

ようやくと言っても、考えてみたらそれから既に四半世紀経ってしまったことになるのだが……。

デリボーイから始まったVANも数代目になっているが、その話はまた機会があれば。

現在の車中泊仕様車

しかし、「VANやミニバンのように明らかに車中泊向きの車がなくたって、車中泊は始められ、十分楽しむことはできる」がこの記事で最も強調したかったことだ。

思い立ったら身近にある車、好きな車で車中泊を始めていただきたいと思う。